第二次世界大戦以来、ソ連軍兵士の行軍を支えた装備品である「メショク(背嚢)」を紹介します。
ソ連軍の背嚢は各国軍の背嚢と比べて、非常に簡素な作りが特徴です。
もともと、1930年代に当時の軍事標準のごく普通の背嚢を採用していたソ連軍(当時は「労農赤軍」と呼称)ですが、第二次世界大戦勃発による大量動員に対応するため、それまで補助的に使用されていた簡略型の背嚢に生産を切り替え、前線に送り続けました。
戦時中に扱いやすさを認識された為、戦後も小改良を加えつつ使用され続けており、現代のロシア連邦軍の一部でも使用例が見られます。
この背嚢は第二次世界大戦当時のモデルで、中国製の複製品です。
綿製の生地は柔らかめで、色味も明るい印象です。
素材の違いで、戦後実物よりも肌触りは良いです。
構造はナップザックのような作りで非常にシンプルですが、あまりに簡素過ぎて、初見では使い方がわからないほど。
背嚢の結び方①
背嚢の結び方②
背嚢の結び方③
背嚢の結び方④
背嚢の結び方⑤
背嚢の結び方⑥
背嚢の結び方⑦
使い方は、荷物を詰め込んだあと、背負い紐の末端で袋の口を縛り、そのまま背負います。
こうすれば、内容物の重さで常に口の部分にテンションがかかり、解けることもありません。
背負ったままでは中身が取り出せませんが、どのみち中身の出し入れは背嚢を下ろしてから行うのであり、ここまで簡単な作りでありながら機能面でも諸外国のバックパックに見劣りしない、よくできた装備だと思います。
この複製品では、前合わせ部分は木製のトグルボタンをループに通す方式を再現しています。
実物でもいろんなタイプがあり、そもそも前合わせ自体付いていない物も普通にあります。
こちらは第二次世界大戦後に製造されたモデルで、軍用実物未使用品です。
戦後型背嚢も基本的な構造は同じですが、ポンチョを丸めたロールを縛着するためのストラップが4箇所、大型ポケットが1個追加されています。
各国軍の例だと、飯盒や食器類を収納するポケットが設けてありますが、ソ連軍ではどうなのでしょう?追加された大賀ポケットですが、飯盒を収納するにはちょっと容量が小さいようです。
画像では、丸めたポンチョを縛着してあります。
画像では2個の背嚢が写っていますが、それぞれ1970年代製、1980年代製です。
時代によって素材・縫製も若干異なるばかりか、サイズ自体にも差があるのは、規格が変更されたのか、それとも大らかな社会主義国のお国柄か…。
比較すると、古いほうが縫製が丁寧な印象ですね。
前合わせの部分はバックル式で、戦時複製品より使いやすいです。
複製品と比べると、硬めの布地で作られています。色味や質感は同じくソ連軍のポンチョやゴルカと酷似しています。
素材強度の面でも申し分ないようです。
コットン製で軽く柔らかく適度なサイズ、かつかなりコンパクトに丸めることもできるので、普段の買物の際にエコバックとして使ったり、災害時の非常持ち出し袋としても使えそうです。
【商品紹介】
「ソビエト連邦 ソ連赤軍 ロシア 雑嚢」…第二次世界大戦バージョンの複製品です。
「PetriStor ソ連製 リュックサック」…戦後製造の実物です。
「デッドストック パラトカ」…戦後製造の実物です。