東ドイツ軍 レインドロップ迷彩 装備サスペンダー・UTV装備 (実物)

国家人民軍(東ドイツ軍)で採用された最後の個人装備「U.T.V.」システムの「装備サスペンダー」です。

画像はサスペンダー表面の様子です。

 

 

こちらはサスペンダー裏面の形状です。

UTV装備は1980年代に開発され、従来の装備を更新する予定でしたが、1990年の東西ドイツ統一により国家が消滅してしまい、生産された装備品のみが捨て値でミリタリー市場に放出されました。

 

 

サスペンダーの外観は、参考にしたと思われるイギリス軍「P58装備」に酷似した形状が随所に見られ、特に装備ベルトへ連結するストラップ部分はほぼ模倣と言って良い位です。

 

 

背面側肩当て部分には、何らかの用途のループ状のパーツが三箇所縫い付けられています。

 

 

側面から見ると、殆ど隙間が無い作りです。

もしかすると、従来の装備で頻繁に見られた「化学防護服」の梱包を装着する為の金具通し用ループかもしれませんが、いかんせん情報が少なく詳細不明です。

 

 

身体正面側の肩当て部分はレインドロップ迷彩生地で、袋状に縫製されています。

 

 

ナイロン素材が土台となってサスペンダー形状を維持していますが、折り曲げると画像のようにポケットのような作りになっています。

 

 

多分に推測を含みますが、ここには包帯や三角巾などの救急用品を収納する物と思われます。

サスペンダーに機能を持たせて、別途ファーストエイドポーチを用意せずに済ませる設計だとすれば、ドイツ的合理主義を感じられる部分です。

 

 

正面側サスペンダーストラップの形状です。

基本素材に使われているナイロンは、色の違いを除けば従来の装備品とほぼ同じ質感です。

 

 

画像のように、ストラップ付け根のタブを引っ張ってストラップの長さを調節します。

 

 

サスペンダー裏面の状態です。

 

 

背面側のプレート部分裏面には、スタンプの押印が見られます。

 

 

Y型サスペンダー・ストラップ部分は、基部の部分には形状を保持し強度を維持する為、芯が入っており硬く作られています。

 

 

肩当ポケット部分の裏面の様子です。

サスペンダー本体はナイロンの1枚布で作られているのがわかります。

 

 

肩部分を裏面から見ると、各部パーツのしっかりとした縫製の具合が見て取れます。

 

 

ナイロン製のこの部分は、側面から見ると厚みはない物の、コシのある芯が入っており、簡単には折り曲げられない位の硬さがあります。

 

 

前述のポケット部分は中空の為、生地が薄く柔らかいです。

包帯等の詰め物を前提とした構造と考えれば、納得できる作りと推測できます。

 

 

身体正面側ストラップの装備ベルト連結用金具を裏から見た様子です。

 

 

UTV装備共通規格の構造が良くわかります。

 

 

背面側ストラップは2本あり、H型サスペンダー・スタイルです。

 

 

ストラップ端末の形状は正面側と同じで、外見はイギリス軍P58装備に酷似しています。

 

 

H型サスペンダーの背中側ストラップの根元から、ナイロン製の紐が縫い付けられています。

このナイロン紐も用途不明なのですが、ネット情報から類推して、さかさまにベルトに通した携帯シャベルの柄がばたつかないように結び付けるための物かと思われます。

 

 

ストラップ端末の連結金具を裏から見た様子です。

 

 

身に着ける際の正面の様子です。

両肩に位置するポケット状の部分はレインドロップ迷彩生地が使われており、ナイロン部分のグリーンと色の相性は良いと思います。

 

 

身に着ける際の背面の様子です。

背面にあたる部分は、わずかながらクッションの入った幅の広いプレート状で、重量負担を軽減する工夫がなされています。

 

 

このサスペンダーは完全にUTV規格品なので、対応する装備ベルトもUTVタイプでないと連結は出来ません。

 

 

サスペンダーとベルトの連結手順はUTV装備に共通した物です。

 

 

軍規定がわからないので完全に“私のやり方”になりますが、まずワイヤーフックをベルトに通して、他の装備品との兼ね合いを考えつつ位置決めをします。

 

 

連結位置を決めたら、ベルト側面のフック差し込み穴にワイヤーフックを押し込んでいきます。

 

 

ナイロン製ベルトは硬いので、かなりチカラわざで差し込む必要があります。

 

 

上手く差し込めれば、画像のようにしっかり連結出来ます。

この調子で全ての個人装備を連結していかなければならないので苦労しますが、一旦組み上げてしまえば従来装備のようにいちいち装着する手間がかからず「服を着る感覚」で扱えます。

UTV装備は実際に配備・運用されなかった為、実用中の資料映像が無い点、国家が崩壊してしまい情報が散逸してしまった点から、実物はあるのに運用方法が不明な点が多いのが、もどかしくもあり面白くもある興味深いアイテムですね。

 

 

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