1980年代的陸軍士兵 ~ 中国人民解放軍 陸軍 軍官装備 [56-1式小銃 (AKS-47)]

中国人民解放軍の「85式軍服」を着用した陸軍軍官装備です。

「85式軍服」は「78式軍服」の後継として採用された軍服です。

 

 

「85式軍服」は、1980年代からの軍の近代化の過程で、階級制度を復活させる事が決定し、その前段階として軍服に装飾性を付加し、指揮官と兵士の外見上の区別を明確にするために制定されました。

 

 

「85式軍服」は、つまるところ「78式軍服」の「紅領章(襟章)」を「85式領章」に取り替えた物です。

時を同じくして「解放帽」にも「85式帽徽(帽章)」を導入しています。

 

 

「85式軍服」では、特に軍官には肩章と金色のボタンを取り入れた常勤服が導入されています。

常勤服は後方勤務や普段着として用いられており、訓練や実戦では78式軍服に軍官用領章を取り付けた物が野戦服として使われているのが資料画像で確認できます。

 

 

1980年代には階級制度自体はまだ採用されていませんが、軍官クラスと士兵クラスにそれぞれ専用の領章を採用しており、見た目の違いで両者を容易に識別出来る様になりました。

 

 

元来、人民解放軍ではヘルメットの使用に消極的でしたが、1979年の「中越戦争」での戦死傷率の高さから、1980年代には「GK-80A」スチール・ヘルメットの配備が進められました。

 

 

1985年以降の中越国境における軍官の野戦装備例です。

人民解放軍は「中越国境紛争(1979年~1989年)」で実戦経験を積んでいきました。

 

 

指揮官は通常、護身用の拳銃を携行しますが、実戦では火力強化の為「56-1式自動歩槍」も合わせて装備する事が少なくなかったようです。

 

 

「56-1式自動歩槍」は中国でコピー生産された「AKS-47」です。

コンパクトな武装を必要とする各種兵科(部隊指揮官・車輛乗員・空挺部隊・偵察部隊等)に配備されました。

 

 

指揮官の携行している拳銃は「54式手槍」です。

「54式」は正式にライセンス生産された「トカレフTT-33」です。

 

 

上級指揮官向けには携行性に優れた各種中型拳銃、例えば「マカロフPM」をコピーした「59式手槍」や、「ワルサーPPK」を独自改良した「64式手槍」も支給されていましたが、目にする機会は少ないです。

 

 

また、運用意図以外にも、中国製の拳銃には機械的信頼性に問題がある物も多く、設計は古いものの頑丈で信頼性の高い「54式」が重用されたという事情もあるようです。

 

 

こちらは催涙弾に対処する為「65式防毒面具」を装着した状態です。

 

 

「65式防毒面具」はフィルター内蔵式の使い捨てタイプのガスマスクで、人民解放軍では広く普及したモデルです。

 

 

相当数が生産されたようで、後継機種が採用された現在でも未開封のデッドストック品が安価で市場流通しています。

 

 

旧共産圏諸国では化学兵器対処訓練は盛んに行われていましたが、実戦でも致死性のガスの使用は不明ですが、突撃前の催涙ガス攻撃はある程度実施されていたようで、洋の東西問わず、様々な戦場でガスマスクは“実用”されています。

 

 

「65式防毒面具」は、右利きの兵士に対応した作りで、銃を構える際にキャニスターが干渉しないよう、左右非対称なデザインになっています。

 

 

人民解放軍の個人装備は、1990年代にタクティカルベスト型の携行具が採用されるまで、昔ながらの負い紐でたすき掛けするスタイルだったので、装具が増えると相応の重量負担を感じます。

実戦では作戦内容によって更に荷物を満載した背嚢や携帯ショベルを背負う為、結構な重装備となります。

 

 

【商品紹介】

「戦場からニイハオ: 中国女性従軍カメラマンの日記 単行本 – 1999/10/1」…中越国境紛争当時の、人民解放軍カメラマンの女性のノンフィクションエッセイです。戦場の体験や、撮影された写真が掲載されており、勉強になります。

 

 

最新情報をチェックしよう!