中国人民解放軍で現在も使われている現用装備「99式作訓靴(トレーニングシューズ)」です。
この靴は丈の短いローカットタイプと、丈がくるぶしまであるハイカットタイプの2種類があります。
人民解放軍では1950年以来、ゴム底・幌布製の「解放靴」が戦闘靴として愛用されて来ました。
年代ごとに布地の素材や色味、ゴムの質等に多少の変化はあれど、外見は全く変更されないまま使われており、民生品としては現在でも製造・販売されています。
1997年、世界標準に合わせた革製の編み上げ靴「07式作戦靴(コンバットブーツ)」が制式化され、いよいよ人民解放軍もズック靴は廃止されるのかと思いきや、思ったほど配備は進まなかったようです。
そんな中、1999年に既存の解放靴のアップデート版として、この「99式作訓靴」が採用されました。
現在は戦闘靴としての「作戦靴」と併用する形で、軽作業や普段履き、通常訓練用に「作訓靴」が活用されています。
「07式作戦服」採用後は、林地迷彩柄の物も製造されていますが、99式独自迷彩の物も平行して製造・使用されているようです。
従来の解放靴と比べると、かかと部分のクッション性が大幅に向上しています。
靴底内部にサイズ表記があり、「25.5cm」と読み取れます。
靴底も解放靴と比べると、トレッドパターンがしっかりしたグリップ力の高い物で、全般的に機能性は格段に向上しています。
土踏まずの部分には、「3531工場・軍用品・25.5cm」の記載があります。
作訓靴は、解放靴と同様、ハイカット型とローカット型の2種類が採用されています。
こちらはハイカットタイプになります。
両者の明確な運用区分は無いようで、基本的には履き易いローカットを普段履きに、足首まで保護するハイカットを訓練用に用いているようですが、ローカットで作戦行動をしている画像もざらに見られるので、支給状況もまちまちなのかもしれません。
ハイカットタイプのかかとには、履き易いようにつまみが設けてあります。
細かい所まで使い勝手に配慮された設計で感心します。
99式作訓靴の素材は防水処理された布製で、迷彩パターンは独自の物です。
各種迷彩服と組み合わせる際にも併用が利くので、軍装趣味者にはありがたい仕様です。
靴の内部は、厚みのあるスポンジ質でクッション性は良好です。
靴底の作りもローカットタイプと同様です。
靴底には同じく「3531工場・軍用品・25.5cm」の記載があります。