リー・エンフィールド No.1 Mk Ⅲ* (S&T製・エアコッキング)

S&Tから発売されたエアコッキングライフル「リー・エンフィールド No.1 Mk Ⅲ*」小銃です。

この小銃はイギリス軍の主力小銃リー・エンフィールドシリーズの中でも1907年に制式化されたモデルで、第一次世界大戦で本格投入され、続く第二次世界大戦でも運用されたイギリス軍を代表する歩兵銃です。

 

 

命名基準が変更される以前の「SMLE」の表記から、通称「スメリー」と呼ばれたこの小銃は、イギリス本国軍のみならず、広大な植民地軍、英連邦各国軍で使用されたので、使用弾薬と共に世界中に普及した名銃でもあります。

 

 

私は基本、軍装に銃を合わせるタイプの趣味ですが、イギリス軍装備は守備範囲外です。

それでも、銃そのものへの興味から、SMLEを手にいれました。

 

 

S&T製品ではおなじみのパッケージに包まれて、木製ストックのクラシカルな外見の銃が手元に届きました。

結論、大変満足であります!

 

 

取り扱い説明書はフルカラー印刷の1枚紙を四つ折りにしたものです。

簡素ながら必要な情報は全て記載されており、過不足なく理解できます。

 

 

SMLEは第一次世界大戦から使われているだけあり、レトロな魅力あふれる外観です。

このモデルは、既に他社でトイガン化されている後継型の「No.4 MkⅠ」が第二次世界大戦中に普及していく中でも併用されていた他、戦後も二線級装備として使われ続けているので、色々な軍装と合わせられるのが良いですね。

 

 

木製ストックは丸みを帯びた印象です。

日本軍の小銃やモシン・ナガン小銃を見慣れているためか、初見では「ハンドガード、太いなぁ」と感じました。

 

 

バレル周辺は銃身の突出部分が無い、、リー・エンフィールド小銃独特のスタイルが面白いです。

 

 

フロントバンド等の主要パーツは、質感から見て亜鉛ダイキャスト製のようです。

 

 

バレルを覗くと、真鍮製のインナーバレルが見えます。

 

 

大戦時の歩兵銃なので当然のように着剣装置が取り付けてあります。

銃身真下の突起に銃剣のリングを通し、ストック下部のバヨネットラグで固定します。

専用の銃剣は「P1907バヨネット」ですが、残念ながら実物・複製品ともに所有しておらず、装着できる作りかどうかは確認できません。

 

 

バヨネットラグの後ろの金具はスリングスイベルではなく、「叉銃(さじゅう)」用のフックです。

叉銃は軍隊の休憩時などに3~4挺の小銃を交差させて保管する方法で、地面に直置きするより埃を防ぎ、すぐに手に取る事ができるため、両大戦時には各国で行われていた軍隊の所作です。

 

 

フロントサイトは側面にサイトガードがあり、軍用銃らしい重厚な印象を受けます。

 

 

フロントサイトは四角い突起型で、ドイツ軍のモーゼル小銃やソ連赤軍のモシン・ナガン小銃と同様の、馴染のある形状です。

 

 

リアサイトからフォアストック周りの形状は、他国にない独特のスタイルをしています。

 

 

上下のストックを固定するバンドには、下部にスリングスイベルが取り付けてあります。

 

 

フォアストック上面はリアサイト前方が斜めに削られています。

 

 

リアサイトはモーゼル小銃と同じ押しボタン式のタンジェントサイトです。

古い銃器らしく、射程距離は2,000mまで目盛りが刻まれています。

 

 

フロントサイト同様、サイトガードが設けてあり、外見上の特徴となっています。

 

 

照準器は世界大戦当時の世界標準である凹凸型のアイアンサイトですが、アリサカ・ライフルやモーゼルと比べると、ちょっと狙いが付けづらい印象です。

具体的には凹の凹みが浅いのと、サイトガードが視界に入るために、目標に照準を合わせるのに手間取るという感じですね。

 

 

レシーバー周辺は、グリップ部分の構造や着脱式マガジン等、同時期の他国の小銃には見られないSMLE独自のデザインが見られます。

 

 

レシーバー前方側面に、シリアルナンバーの刻印が再現されています。

 

 

リー・エンフィールドシリーズの特徴である、外装式のマガジンです。

この機構により、他国に見られない装弾数10発の容量を誇ります。

 

 

マガジンはトリガー前方のレバーを押すとロックが解除され、取り外す事ができます。

 

 

弾倉がストック外部に露出する構造自体はイタリアのカルカノ小銃をはじめ少なくありませんが、現代の自動小銃のような着脱可能な作りはリー・エンフィールド特有の物と言えます。

実銃ではあくまで手入れ時の分解の利便性を含めた設計で、「マガジンチェンジ」を前提としていない為、リリースレバーはかなり硬いみたいです。
トイガンでは実銃の構造を再現しつつ、予備弾倉の利用を考えて操作しやすく作られています。

 

 

マガジンを外すと、内部のピストンスプリングが確認出来ます。

 

 

マガジン収納部前方には、Uの字状のリングが設けてあります。

 

 

マガジンはスプリング給弾式で装弾数は35発です。

コッキングエアガンの中でも特に大容量なので、予備のマガジン1本もあれば、1ゲームで弾切れになる事はまずないでしょう。

 

 

マガジンの外装はスチール製で、表面処理もリアル感があり、良い雰囲気に仕上がっています。

 

 

今のところ、給弾不良もなく、信頼性も高い印象です。

予備マガジンも安価で流通しているので、サバイバルゲームでの実用性は抜群と言えます。

 

 

リアサイト後方ストック側面に、可変HOP調節レバーがあります。

一見してわかる通り、東京マルイのエアコッキングライフル「VSR-10」の構造を模倣した物で、操作感もほぼ同様の感覚で行えます。

 

 

トリガーは特別重くも軽くも無く、適度に引きしろもあり、悪くない印象です。

前述のVSR-10よりは繊細さに欠ける感じがしますが、同社のスプリングフィールドM1903A3よりは、かなり快適な撃ち味です。

 

 

ちょうどリアサイトガードの真下の位置で、レシーバーとストックがねじ止めしてあります。

 

 

レシーバー真上から見たボルトアクション動作の様子です。

 

 

実銃ではボルトストロークが短く速射向きの構造が有名ですが、トイガンでも外見を似せているぶん、装填操作が素早く出来る気がします。

 

 

ボルトを引き切ると、レシーバーのスキマから内蔵されたピストン先端が確認できます。

 

 

側面から見ると、ボルト操作の様子がわかりやすいです。

 

 

リー・エンフィールド小銃の構造的特徴である、ストックの連結部分には、工場刻印が再現されています。

 

 

コッキングされると、ボルト後端が後退するところも再現されています。

 

 

発砲すると前進位置に戻ります。

こういう細部の機構が再現されていると、モデルガン的に楽しいです。

 

 

レシーバー周辺はメカニカルなディテールが集中していて、見ていて飽きません。

いっぽう中国製ならではと言うべきか、新品箱出し直後にしては表面仕上げに雑味が目立ちます。

 

 

コッキングインジケーターは、指で引っ張るだけでコック状態にできるので、ボルト操作(ピストンのコッキング)しなくてもトリガーを引けば連動して動きます。

 

 

ボルトハンドルの可動範囲は画像の通りです。

ターンボルト式という事もあり、素早いコッキングに向いています。

 

 

ストックは赤味の強い茶色で美しいです。

ネット情報に基づくと、透明塗料で塗装されており、ニス仕上げのように見えるようです。

 

 

ストック下面のスリングスイベルは基部が可動式になっています。

大戦期の小銃としてスタンダードな作りです。

 

 

ストック下部の様子です。

床尾板は丸くカドを落としてあります。

また、耐久性を考慮してか、中央部に厚みを持たせてあります。

 

 

ストック側面の様子です。

床尾板のわずかに湾曲した形状が良く再現されています。

 

 

ストック上部の様子です。

上面のカドをスパッと切り落とした形状が独特ですね。

 

 

床尾板は実銃では真鍮製ですが、トイガンでは亜鉛ダイキャスト製で、金色に塗装してあります。

 

 

付属ツール収納部も実銃風に再現してあり、開閉できます。

トイガンとしての実用性に関わらない、こういった細部まで再現してあると、モデルガン好きとしてはテンションが上がりますね。

 

 

SMLE左側面の形状です。

 

 

SMLEのマズル周辺は、先端をぶった切ったような見た目が特徴です。

 

 

ストックは全体に太めで、いかにも頑丈そうな外見が頼もしいです。

 

 

量産品故に外れもあるという事で、残念な事に上部ストックに凹みがあります。

棘が立っているので、握ると結構痛いのが面倒です。

翻って考えるに、東京マルイが現在に至るもかたくなに木製部品を避けるのも、トラブルを未然に防ぐ為なのかなと思ったり。

 

 

タンジェントサイトの再現度も高いです。

 

 

側面のボタンを押すと照門を調節できます。

 

 

最大で2,000mまで調節可能です。

流石に射程2kmは命中精度云々の話では無くなってきますが…。

 

 

アジャストボタンの右側にダイヤルがあり、実銃同様に可動します。

 

 

ダイヤル回すと、左側に刻まれた目盛りに合わせて、より微細な照準距離の調整ができます。

同時期の他国の小銃には見られない、非常に手の込んだ構造です。

 

 

タンジェントサイトのテンションは、板バネで維持されています。

 

 

レシーバー左側面の様子です。

レシーバーのゴツさに比べて、グリップは細く、握りやすいです。

 

 

トリガー上方にセフティレバーがあります。

画像の位置でセフティ解除、射撃可能状態です。

 

 

セフティレバーをした方向に下ろすとセフティが掛かります。

画像は安全状態です。

グリップを握った状態で親指で操作できるので使いやすいです。

 

 

トリガーガード下面に、S&Tの製品管理番号がプリントされています。

位置的に悪目立ちはしないと思いますが、気になる場合は塗りつぶしても良いでしょう。

 

 

左側面から見たボルト操作の様子です。

 

 

塗装ですが、落ち着いた色調で高級感があり、個人的には好みの仕上げです。

 

 

サバイバルゲームに投入した際の軍装です。

イギリス軍装備は持っていない為、戦友からお借りしたアフガンゲリラ装備で行きました。

正規軍以外の軍装は守備範囲外でしたが、ムジャヒディンの服装は軽装で動きやすく、寒風も防いでくれるのでかなり便利な装備だと感じました。

 

 

SMLEEを実射した感想は、メカのコピー元であるVSR-10に比べるとボルト操作は若干重く、金属部品の動きの渋さもありスムーズなコッキングにはコツがいりますが、それらも含めて軍用銃らしい撃ち味と感じました。

 

 

弾道はフラットで飛距離・集弾性ともに良好で、ボルトアクションライフルとして充分、実用に耐えるエアソフトガンです。

 

 

普段愛用しているKTW製三八式歩兵銃と比べて良いと感じた点は装弾数の多さで、しっかり狙って撃つぶんには1ゲームで弾切れになる心配がないのが有り難いです。

また、予備マガジンの再装填も容易でサバイバルゲーム・ツールとしても優れていると感じました。

 

 

【商品紹介】


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