ソ連軍のブッシュハット ~ パナーマ (実物)

ソ連軍の防暑被服の中でも、アフガンカと並んで有名な防暑帽「パナーマ」です。

アフガニスタン派遣部隊での着用例が有名ですが、原型は遡って第二次世界大戦以前から存在します。

当時の物は帽子の正面に大判の赤星のアップリケが縫い付けられていました。

1939年に勃発したノモンハン事件(ソ連側呼称:ハルヒン・ゴールの戦闘)の戦場写真でも見られる軍装品です。

戦後は画像のように帽章は控えめになり(偽装効果を狙って?)主に中央アジア方面の兵士向けに支給されていました。

 

 

帽子にはカーキグリーンの顎紐が樹脂ボタンを介して取り付けられています。

この顎紐は士官向けの野戦制帽と同じ物で、質感は非常に薄っぺらいビニール素材のようです。

使うときのことを考えると、広いつばがあるのにどうやって顎に回すのか疑問でしたが、現物を見る顎紐ボタン直下に切れ込みがあり、そこから顎紐を通すことができます。(画像では確認困難ですね・・・失礼)

ただ、いったん顎紐を取り外し、スリットに通して改めてボタンを付け直す必要がある為、実用性は低いと思います。(当時の画像でも顎紐の実用例は見た試しがありません。取り外してしまった例は多くみられますが)

 

 

縦長の帽子の形が独特ですが、この長い帽子の内部空洞と多数の空気穴を利用して通気性を確保しているようです。

 

 

通気孔は金属製の鳩目をかしめてあります。

通気孔は、初期の物では金属鳩目ではなく、縫製で仕上げられていました。

 

 

帽子裏側には周囲に汗止めが設けられています。

素材は薄手の合成皮革で、吸湿性は一切ありません。

帽子自体が比較的硬くてコシのある素材のため、型崩れせず形状を維持しています。(ちなみに複製品だとコシのない素材の物が多く、実物と比べてしまうと質感の違いが気になります)

 

 

帽子の正面に、金属製の帽章を取り付けてあります。

帽章はピロトカ(舟形帽)に使われている物と同じです。

 

 

帽子正面の裏面にはタブが付いており、金属帽章を取り付けた際にピンが頭に触れないように配慮した作りになっています。

ピロトカ(舟形帽)をはじめとするソ連軍帽子類に共通の特徴です。

 

 

最新情報をチェックしよう!