ソ連空挺軍で使用されていた、空挺降下帽です。
実物未使用品を入手しました。
ソ連軍の空挺降下帽としては、旧型に属するタイプで、第二次世界大戦以来のデザインを踏襲しています。
記録映像等から、1950年代辺りの使用が確認できます。
降下時の頭部保護のみに機能を絞った、シンプルなデザインが魅力です。
上から見た形状です。
帽体のコットン生地は、耐久性を考慮した硬めの素材です。
帽体内部は暗灰色で、外側より柔らかく肌触りの良いコットン生地です。
この空挺降下帽は基本形ですが、同型式で中綿を詰めてある、冬期用の防寒型降下帽もあります。
また、後には戦車帽に似たクッションパッドを備えた新型も登場しており、こちらは1980年代には使用例が確認できるほか、ほぼ形状が変わらないまま現在のロシア連邦軍でも使用されています。
空挺降下帽本体は、中厚の綿生地で出来ています。
顎紐は二重D環で留める作りです。
顎紐は本体と同じ綿製で、幅広で頑丈に作られています。
帽子の内側は暗灰色の綿布製の内張りがされています。
耳当ての部分は詰め物がしてあり、クッション性を持たせてあります。
外観的には、クッションの都合で、耳の辺りだけ、わずかに膨らんで見えます。
顎紐の固定手順です。
D環よりストラップの方が幅が広めなので留めるのに結構、手間取ります。
その分、不意に外れるようなことは無い為、使用用途を考えると安心感があります。
記録映像を見ていると、耳当てを後ろにめくりあげている空挺隊員の姿を見かけます。
この降下帽は集音の為の孔が無く、クッション材が詰めてあることもあり、音が聞こえにくい為に隊員が工夫した物と思われます。
また、日本海軍航空隊の搭乗員のように、防暑の為にめくりあげているというのもあるのでしょう。
顎紐ストラップの長さ的には、ぎりぎりで結わえ留める事ができました。
降下帽着装の様子です。
顎紐を締めていない状態です。
形状はシンプルな頭巾型で、通気口等も無いのがわかります。
厚生地の綿製で、頭部に隙間なく密着する形なので、夏期の長時間着用には向かないでしょう。
顎紐は幅広で丈夫な作りです。
顎紐を締めた、空挺降下時の状態です。
マネキンヘッドの頭部形状のせいで、綺麗に被せる事ができませんでした。
実際にはタイト気味ですがしっかり被ることができます。
耳覆いから顎にかけて、幅広でしっかりと覆い被せる作りです。
落下傘降下時の防風・防護用の為、頭部にしっかり固定できます。
後ろから見ると、実にシンプルなデザインです。
耳当て部分以外は単なる綿布なので、のちに戦車帽に似たクッションパッド付の改良型が採用されたのもうなずけます。
降下前の実写映像に見られる、耳当てを後ろで留めた状態です。
降下後は空挺軍の青いベレー帽を被っているイメージが強いですね。
作りを見比べる為にも、冬季用や戦車帽型も欲しいところです。