南ベトナム政府軍 ARVNパック (実物)

今回紹介するアイテムは、「ARVN(アービン)パック」です

ベトナム戦争当時、アメリカが、南ベトナム政府軍(ベトナム共和国陸軍)向けに開発した背嚢です。

ベトナム人の体格に合わせつつ、衣料品や米などを収納できるよう機能的に作られており、南ベトナム兵のみならず、適当な背嚢を支給されていなかった米軍兵士も様々な手段で入手、愛用していたと聞きます。(主に重装備を要求される特殊部隊など)

サバイバルゲームが流行し始めた頃、ミリタリー業界はベトナム戦争映画ブームでしたが、当時最も人気のあった戦争映画のひとつである「プラトーン」劇中で米兵が背負っていたのが印象的でした。

今となっては、装備考証の甘さ故、陸軍兵士がARVNパックを使うのは少なくとも一般的ではないのですが、当時「カッコイイ!欲しい!」と思って購入したものです。

 

 

ショルダーストラップは幅広で若干のクッション性があります

ベトナム戦争装備が流行していた頃はガスガン全盛期だったので、大型のエアタンクを背負ってコイルホースを連結したM16系フルオートガスガンで戦うのが一般的な姿でした。(大抵、ジャングルファティーグかウッドランドBDU、通好みはタイガーパターンでした)

当時はエアタンクを背負う都合上、容量の大きなバックパックが多用されていたので、この「ARVNパック」や、1980年代に米軍に普及していた「アリスパック」、安価な「中国人民解放軍リュックサック」がどこのサバゲーフィールドでも見られましたが、電動ガンが普及するにつれて「暑い、重い、邪魔」な背嚢は急速に廃れてしまったようです。

 

 

大型カーゴポケット2個、各部に装備連結穴&スリットがあり、機能性もよく考えられています。

本体収納部は広く、二つのカーゴポケットも大きめで収納力が高いです。

パックのフタの部分には、装備連結穴&スリットがあり、南ベトナム政府軍で使われていたM1943ショベル・ケースを吊り下げられます。

本体下部にはショベルの柄を固定するストラップもあり、プラプラすることもありません。

ちなみに、映画「プラトーン」ではM1956ショベルを装備しています。

アリスキーパーを通せるスリットがあるので、一応装備はできるのですが、連結パーツの素材強度と縫製がショベルの重さに耐えられそうにないので、真似しないほうが得策ですね。

 

 

背中側には、十字型の鉄板製フレームが仕込まれており、背嚢が極力、背中に触れないようになっています。

この構造のおかげで、発汗時の不快感を軽減したり、少しでも通気性を向上させつつ重量分散にも効果を発揮するようです。

この十字型フレームは簡単に取り外すことができるので、錆びないように手入れできるので便利です。

ARVNパック開発当初の計画では、すべての素材・縫製をベトナム現地で賄えるように作られており、このフレームも竹を削って作られるように考えられていたそうですが、実際に使われたARVNパックは全てアメリカ国内で製造されたもののようです。

 

 

ベトナム戦争当時は南ベトナム政府軍は当然として、適当な背嚢の不足していた米軍の各種特殊部隊員が個人的に入手・愛用したり、アメリカ海兵隊でもある程度まとまった数が使われていたようです。

 

 

同じくベトナム戦争でアメリカ陸軍に制式採用されていた「ライトウエイト・ラッククサック」と比べると、コットン製のシンプルな物ですが、比較的コンパクトなサイズ感と必要十分な容量から、使い勝手は良いですね。

 

 

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