この迷彩服は「81式迷彩服」のバリエーションのひとつで、中国本土のウェブサイトの情報によれば「84式迷彩服」と分類されるそうです。
画像は表側を着用した姿です。
基本形の「81式迷彩服」と比べるとデザインの省略化や変更が随所に見られ、実戦での戦訓を取り入れてアレンジされた物と思われます。
画像は裏面を着用した姿です。
表面迷彩柄・正面です。
表面迷彩柄・背面です。
肩にはエポーレットが縫い付けられています。
これは従来の「81式迷彩服」には無い特徴ですが、階級制度復活に備えて、肩章タイプの階級章を装着する為の構造と考えられます。
胸ポケットにはプリーツが設けられており、少しでも容量を増やせるよう工夫されています。
蓋は単純なボタン止め式で、蓋の裏にタグ・スタンプが押印されています。
スタンプの内容から、1989年製であることがわかります。
「84式」という名称ですが、このタイプの迷彩服の製造年タグに関しては、未だに1989年製以外見た事がありません。
右上腕部には包帯収納用と思われる小型ポケットがあります。
袖はボタンホール付きのタブ式になっています。
「81式迷彩服」の袖よりは扱いやすいです。
上衣のウエスト周りは「81式迷彩服」ではゴム内蔵式でしたが、「84式迷彩服」ではタブとボタン留め式に変更されています。
袖口と同様のタブ式ボタンホールです。
表面迷彩柄ズボン・正面です。
表面迷彩柄ズボン・背面です。
ファスナー部分はボタン留めで、ウエスト周りにベルトループのあるシンプルな作りです。
デザインも徹底して省略化されていて、スリットポケットも右側にしかありません。
尻ポケットも、蓋付きの物が左に1個のみあります。
ズボンの裾は「81式迷彩服」では紐で絞るタイプでしたが、「84式迷彩服」ではタブとボタンで留める方式に変更されています。
実際に着用してみて、素早い着脱にはこちらのほうが便利だと感じました。
裏面迷彩柄・正面です。
裏面迷彩柄・背面です。
肩には表側と同じくエポーレットが縫い付けられています。
裏側迷彩面には胸ポケットは無く、ジャンパーのようなスリット式のポケットがついています。
表側迷彩と同じく、上腕に小型ポケットが設けてあります。
裏側迷彩にもタブとボタンが付いており、着脱しやすく作られています。
裏面迷彩柄ズボン・正面です。
裏面迷彩柄ズボン・背面です。
裏側迷彩ではファスナー部分はそっくり裏返しになるので、取り扱いは面倒くさいです。
ウエストのベルトループはちゃんと用意されています。
表側迷彩と同じく、スリットポケットは右側にしかありません。
尻ポケットも、左に1個のみあります。
面白いのは、一見蓋付きに見えるポケットですが、実際にはデザインだけで単純にボタン留め式になっている点です。
裏側迷彩のズボンの裾にも、タブとボタンが付いています。
細部を見ていった結果、省略化といっても、実用性重視の上での事だとよくわかりました。
野戦装備として1980年代製の軍緑色装備と「65式傘兵背嚢」を装備した状態です。
「中越国境紛争」では陣地での長期篭城戦から軽装備で定期的に機関銃や手榴弾を撃ち合う様子が映像で見られますが、偵察部隊等では背嚢を背負った重装備での徒歩行軍の様子も見られます。
「56-1式自動歩槍(中国製AKS-47)」を構えた様子です。
表側迷彩の、緑の多い植生での迷彩効果の高さが伺えます。
背負っている「65式傘兵背嚢」の様子が良くわかると思います。
画像のように、携帯ショベルや対戦車手榴弾を装着する為の専用の作りになっています。
裏側迷彩は、緑の少ない荒地での迷彩効果が高いのがわかります。
1980年代の人民解放軍の装備品に使われている軍緑色は、軍用品らしからぬ鮮やかな発色が印象的です。
ヘルメットは「GK-80B」を被っています。
「GK-80A」ヘルメットよりも小ぶりで軽く、使い勝手が良いですが、明確な使用例が見られない装備品です。
【商品紹介】
「戦場からニイハオ: 中国女性従軍カメラマンの日記 単行本 – 1999/10/1」…中越国境紛争当時の、人民解放軍カメラマンの女性のノンフィクションエッセイです。戦場の体験や、撮影された写真が掲載されており、勉強になります。