1960~1970年代的陸軍士兵 ~ 中国人民解放軍 陸軍 士兵装備 [56式半自動小銃 (SKS)]

1965年から1970年代の「中国人民解放軍 陸軍 歩兵」装備です。

着用しているのは「65式軍服」です。

 

 

「65式軍服」の採用された時代、人民解放軍は階級制度を廃止しており、役職上指揮官は「指令員」と呼ばれましたが、全ての兵士が「戦士」という扱いでした。

外見上は、一般兵が2ポケット・ジャケット、指揮官は4ポケット・ジャケットの違いがあります。

 

 

帽子は「65式解放帽」で、いわゆる人民帽と言われる物です。

生地は綿製で、役職を問わず、星型の帽徽(帽章)が取り付けられています。

 

 

ジャケットの上から、「65式幌布製外腰帯(装備ベルト)」を締めています。

装備ベルトは初期は土黄色の幌布製、後に小豆色のビニール人造革製が普及します。

当時の画像を見ると、1970年代全般までは幌布製の使用例が多いです。

 

 

こちらはズボン用ベルトの「65式幌布製内腰帯」です。

ズボン用ベルトも後に人造革製に変わっていきました。

 

 

軍靴は「解放靴」と呼ばれるズック靴です。

画像の物は「55式解放靴」で、土黄色の幌布と、黒色のゴム靴底が特徴です。

後継の「65式解放靴」では、デザインは全く変わらず色が軍緑色に変更されており、民生品も含めれば現在でも製造されているロングセラー・アイテムです。

 

 

野戦装備の人民解放軍陸軍士兵です。

装備は「中越戦争」で一般的に見られた、ゲートルを巻いた状態です。

 

 

「中越戦争」の起きた1979年当時は、ヘルメットは殆ど普及していませんでした。

 

 

基本装備は「雑嚢」「水筒」「手榴弾(4個)」、必要に応じて「背嚢」「防毒面」を追加装備する事もあります。

 

 

この時代の歩兵部隊の主力火器は「56式半自動歩槍(セミオート・カービン)」です。

 

 

「56式半自動歩槍」は、ソ連軍の「SKSカービン」をライセンス生産したモデルで、基本構造は同じですが、折り畳み銃剣の形状をナイフ形からスパイクバヨネットに変更したり、ストックを合板から単材に変えるなど、中国独自の改修がなされています。

 

 

制式採用当初は「56式騎槍」とも呼ばれた本銃は、「56半」の略称で親しまれ、採用から20年近く人民解放軍の主力小銃として運用されました。

 

 

「中越戦争」は人民解放軍にとって「中ソ国境紛争」以来、20年振りの大規模な戦争経験となりましたが、結果的に軍装備が完全に時代遅れとなっている事を、損害によって思い知る事になりました。

 

 

「中越戦争」後も、中国とベトナムの間では国境を巡る断続的な軍事衝突が1980年代を通して続きましたが、最前線では「56式自動歩槍」への装備更新と新型小銃「81式自動歩槍」の支給が進められ、「56半」は急速に姿を消していきました。

 

 

「56式半自動歩槍子弾袋」は、チェストリグタイプで、10発の7.62㎜×39小銃弾をクリップで纏めた弾薬を、各ポケットに収納しています。

 

 

身体左側面には、「65式雑嚢」と「65式水壷」を重ねて装備しています。

これら装備の形状や着装方法は、旧日本軍の影響を強く感じる所です。

 

 

今回、もっともオーソドックスな着装状況を再現していますが、当時の画像を見ると、兵士それぞれに装備品の着装位置はまちまちで、各々が使いやすい手段で持ち運んでいたようです。

 

 

身体右側面には、「4連木柄手榴弾袋」を襷掛けにしています。

この時代の標準的な手榴弾は「67式木柄手榴弾」です。

 

 

「65式」装備は、制式採用当時の1960年代から既に古臭い印象がありましたが、実際に着装してみると身体へのフィット感があり、意外と使い勝手が良いです。

中国的合理性を感じさせる、実に魅力的な装備だと思います。

 

 

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