中国人民解放軍の「65式雑嚢」です。
中国語では、かばん類は「包」と呼称するらしく、中国のウェブサイトで調べると「軍包」「解放包」等と表記されています。
この個体は1960年代までの中国人民解放軍装備の特徴である「土黄色(カーキ)」の綿素材で作られています。
形状・色味など、旧日本軍の雑嚢を彷彿とさせる一品です。
蓋の止め金具は二箇所あります。
板紐をバックルに通して固定する方式です。
構造もシンプルでわかりやすく使い勝手も良いです。
追い紐の調整金具も一般的な物です。
この雑嚢は金属部分が全て緑色に塗装されています。
金属金具の塗装処理は錆防止の目的が多いので、もしかすると鉄製なのかもしれません。
雑嚢内部には仕切りがあり、仕切りのみ白綿布が用いられています。(押印されたタグスタンプを見やすくするためでしょうか?)
雑嚢に荷物を詰めてみた所です。
目一杯物を詰めるとこのくらい膨らみます
さほど大きなかばんではありませんが、外見を気にしなければ、結構色々詰め込めます。
シンプルだからこその使いやすさが感じられます。
ただし、ここまでパンパンに詰めてしまうと、装備着装時に水筒や手榴弾袋と干渉してしまうので、内容量は程々が良いようです。
開発の際に参考にしたであろうと思われる、日本陸軍の雑嚢と並べてみました。
第二次世界大戦中の中国軍(国府軍・共産党軍)は基本的にドイツ式装備だったので、日本軍の雑嚢のデザインとの相似性は、やはり日本軍の装備品の影響を受けた物と推察しています。
色味・形状ともよく似ています。
印象としては、紐から金具式にして使いやすくする一方、装備ベルトへの引っ掛けフックを省略するなど中国独自の簡略化がなされているように感じられます。
一方、こちらは1980年代以降一般化した「軍緑色(濃緑色)」のタイプです。
外見や縫製は変わらず、素材も大差ないようですが、迷彩効果を考慮してか、かなり鮮やかなグリーンになりました。
金具の形状もそのまま変更はありません。
雑嚢の内側は、以前の物と同様、白綿布が使われています。(ここが濃緑色の個体もあります)
1980年代製にも、タグスタンプが押印されています。
この色味の雑嚢は、特に「78式雑嚢」の名称で区分されている記述もあります。
チャイナグリーンとでも形容すべきなこの色は、軍用品としてはいささか鮮やかすぎて安っぽく見えてしまいます。(ハマるとそこが魅力的に思えてくるんですけどね…w)
1960年代製と1980年代製を並べてみましたが、色味の違いは一目瞭然ですね。
なお、既に記述してあるように中国本土での漢字表記では、カーキ色は「土黄色」、緑色は「軍緑色」と呼ばれているようです。
【商品紹介】
「中国軍 フィールドバッグ S」…軍緑色の65式雑嚢の複製品です。