中国人民解放軍 2連手榴弾袋・クイックリリースタイプ (実物)

中国人民解放軍の「2連木柄手榴弾袋」です。

前回紹介した2連手榴弾袋よりも新しいタイプで、各部が改良されています。

 

 

画像の個体は軍用実物のデッドストック品ですが、通常みられる工場のタグ・スタンプが見られません。

 

 

同仕様の4連手榴弾袋は割と見かけますが、2連タイプは珍しいと思い入手しました。

 

 

基本的な構造は前回紹介した物と概ね同じです。

 

 

中国製旧式装備は、裏面に製造年度や装備品名、製造工場の情報が黒インクでスタンプされていますが、中にはスタンプの痕跡すら無い物もあります。

これが工場出荷のタイミングによるものか、生産管理から外れた員数外的な物か、残念ながら詳細は推測するほかありません。

 

 

弾頭収納ポケット部分は、底部の補強縫いが直線的になっている点など、旧製品よりも縫製の手間が簡略化されています。

 

 

この手榴弾袋の一番の特徴は、手榴弾を固定する蓋にクイックリリース式バックルが用いられている点です。

 

 

画像のように、タブを引っ張る事で容易に留め具が外れます。

 

 

蓋が開放されると、柄を掴んで素早く手榴弾を取り出せます。

 

 

実際に触ってみると、旧式に比べて格段に扱いやすく感じられます。

 

 

タブを挿し込む角環は自由に可動します。

この形式の金具は、古くはイギリス軍の装備で用いられたものと記憶しております。

 

 

蓋側の角環も可動する作りです。

このタイプのバックルは、軍事大国アメリカもM1956装備で取り入れており、ベトナム戦争で広く運用されていました。

 

 

中国がアメリカやイギリスの影響を受けたかどうかは推測するより他ありませんが、少なくとも「63式小銃」用の弾倉携行具には、類似の構造が取り入れられています。

 

 

サイズ調節用金具はおそらく鉄製で、防錆と保護色を兼ねて軍緑色で塗装してあります。

 

 

人民解放軍の旧式装備は時代が新しくなるにつれて各部の作りが簡略化される傾向が見られますが、最低限の補強はしっかりしており、そこは流石の軍用品、と感心します。

 

 

実際に着用した状態です。

軍装は1980年代後期に用いられた「85式軍服」を着用しています。

 

 

ショルダーストラップの金具の配置から推測して、左腰側にたすき掛けしました。

記録映像では、左右の別なく、各個人が使いやすい位置に身に着けているようです。

 

 

ベルトの上からたすき掛けにして、ウエストストラップで固定しています。

 

 

ベルトは1960年代中頃から普及した合成皮革製の「65式外腰帯」です。

このベルトも息の長い装備品で、バックルに星章の装飾を追加した改良型の「87式外腰帯」は、驚くべきことに現在でも民兵組織や学生の軍事教練で見られます。

 

 

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