陶器製の手榴弾 ~ 日本海軍 手榴弾四型 (実物)

今回紹介するのは日本軍の陶器製手榴弾の実物です。

陶器製手榴弾は金属資源節約の為に考案された代用素材の手榴弾で、様々な形状の物が陸軍・海軍双方でそれぞれ独自に開発されています。

 

 

この真ん丸な形状のものは日本海軍で製造・支給された物で、正式名称は「手榴弾四型」と言います。

資料本でよく見られる「四式陶製手榴弾」と言う名称は米軍資料の翻訳からの伝聞による誤りとの事です。

 

 

陸軍でも形状の異なる陶器製手榴弾が作られていますが、陸海軍とも、陶器製手榴弾を実戦に投入したという話は聞いたことが無く、日本国内では本土決戦に向けて備蓄されていた模様です。

 

 

実際の運用時には、弾殻内に「八八式カーリット爆薬」を充填し、「摩擦式信管」を挿入、木製の内蓋(裏に摩擦点火剤が塗布してある)をした上でゴム製キャップで覆った状態となります。

弾殻本体も全体をゴム製カバーで覆われ、首の部分に提げ紐が結わえ付けられていたそうです。

 

 

実際に運用する際には提げ紐でベルトに結び持ち運んだ物と考えられます。

現存する物は陶器製弾殻のみで、実用時とはだいぶ印象が異なるようですね。

 

 

九七式手榴弾との大きさ比較です。

この九七式手榴弾はマイクロエース社のプラモデルです。

 

 

比べてみると、陶器製手榴弾はかなり大振りなことがわかります。

 

 

陶器製は野球ボールのような印象を受けます。

サイズが大きいのは破片効果を期待しての事と思われますが、それでも普通の手榴弾に比べれば威力は微々たるものだったと推測します。

 

 

陶器製手榴弾は、末期戦の苦し紛れ、日本軍の非合理性の引き合いに出される傾向もありますが、陶器を兵器に転用する試みは既に独ソ戦初期にソ連軍が陶器製手榴弾を製造・使用している先例があります。

 

 

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