日本陸軍 防暑襦袢 (個人業者製・複製品)

日本陸軍の「防暑襦袢(ぼうしょじゅはん)」です。

ミリタリーサープラスショップ「エスアンドグラフ」にて製造・販売されている複製品を購入しました。

 

 

この防暑襦袢は、昭和17年頃に採用された熱地向け被服です。

襦袢と言う通り、本来は「防暑衣(ぼうしょい)」の下に着る下着として作られた物ですが、太平洋戦争では南方戦線において野戦服として広く用いられました。

 

 

また、「軍衣」の下着となる襦袢は従来、襟の無いスタイルでしたが、防暑襦袢採用以後は、この襦袢を「夏襦袢(なつじゅはん)」として使用する事となったそうです。

なお、「冬襦袢(ふゆじゅはん)」は従来通り、起毛綿布(ネル)製の襟無し型です。

 

 

生地はカーキ色の綿布製です。

襦袢という事もあり、生地は薄手で柔らかく、肌触りが良いです。

 

 

やはり襦袢なので、裏地の類は一切ありません。

この複製品と比べると、実物の生地はもっと薄手で柔らかく、頻繁に洗濯・着用を繰り返すと割とあっさり破れてしまいます。

精巧複製品として見ると布地の質感に実物との差異が感じられますが、実用を考えるなら耐久性において有利とも言えます。

 

 

日本陸軍の防暑襦袢の特徴として、襟部分のみ防暑衣や軍衣と同じ茶褐綿布で作られています。

汚損し易い襟部分に耐久性を持たせるため、また着用時に防暑衣の外に出す襟部分に軍衣との統一感を持たせるための設計と思われます。

 

 

ボタンで留める前合わせ部分は2枚貼り合わせで強度を持たせてあります。

 

 

実物を模した書体で、サイズや製造工場のタグが押印してありますが、内容は実物とは異なります。

一目で複製品とわかるよう、あえて似て非なるスタンプにしている物と思われます。

 

 

ボタンは少し透明感のあるプラスチック製です。

実物のベークライト樹脂製ボタンを模した物と思われます。

 

 

袖はいわゆる「七分丈(しちぶたけ)」で、着用時に手首が露出する程度の、短めの丈です。

 

 

脇下に開口部があり、ボタンで留めるよう作られています。

 

 

同様の開口部は防暑衣にも設けてあります。

両者を重ね着した際にも、この機能で通気性を高め、暑い場所でも風通し良く、快適に過ごす事ができます。

 

 

こちらのボタンは前合わせのボタンと比べるとひと回り小さく、淡緑色のプラスチック製です。

 

 

防暑用途のため、襟は基本的に開襟状態で着用するデザインです。

 

 

第1ボタンとボタンホールは設けてあるので、画像のように折襟型に着用する事もできます。

夏用襦袢として使用する際には、このように着用したと考えられます。

 

 

両胸には、貼り付け式のポケットが設けてあります。

形状的には、従来の夏・冬襦袢と同様のデザインです。

 

 

雨蓋とボタン留めで機能的に作られています。

容量は少ないながら、手帳位は余裕をもって収納できます。

 

 

防暑襦袢の背面の様子です。

 

 

肩および背中の裁断です。

 

 

防暑襦袢に階級章を取り付けた状態です。

階級章は、九八式軍衣と共に採用された襟章型の物、中でも初期型にあたる複製品です。

初期型襟章は厚みがある外見から、コレクターの間では「座布団型」と呼ばれており、後の「織り出し型」と比べると、芯をフェルト布で包んで縫製されており、星章も五芒星型に切り出したフェルトを丁寧に縫い付けてあり、手間の掛かる作りとなっています。

 

 

画像は襟章取り付けの基本形となる、両襟に縫い付けた状態です。

軍衣の下に着る襦袢で、襟を軍衣に重ねて露出する為、両襟に階級章を取り付けています。

 

 

こちらは陸軍の略装における階級章の取り付け方に乗っ取った状態です。

防暑略衣袴(半袖・半ズボンの熱地専用被服)と同じ、左胸・ポケット上部に1個のみを取り付けています。

 

 

防暑襦袢単体で着用する使い方が多用された南方戦線では、この取り付け方が良く見られます。

 

 

こちらは略装の亜種で、手作りの階級章台座を用いて、階級章を簡単に取り外しできるようにした例です。

 

 

この類の台座は、個人・部隊単位で余剰の布切れ等を使い作られた物で、記録映像にも多く見られます。

画像の物は、ミリタリーサープラスショップで市販されている複製品で、名札付きのタイプです。

装備品と統制する為、所有する実物水筒の記名布と同じ「松岡」と記入しています。

 

 

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