ソ連軍 下士官兵用バックルベルト・比較 (実物放出品)

今回は、第二次世界大戦後のソ連地上軍の兵士が使用した、装備ベルトを紹介します。

第二次世界大戦中、「労農赤軍」の時代は、一般的なベルト様式の物が使われていましたが、戦後は金属製バックル式に変更されました。

 

 

ソ連軍の下士官兵用ベルトは、時代ごとに様々なバリエーションがありますが、一様に「金属製バックルにベルト端部金具を引っかける」構造になっています。

 

 

こちらは「コットン製兵士用ベルト」といった名称で販売されているベルトです。

ただし、軍用ではありません。

 

 

実際には、軍とは異なる「軍事建設隊」という組織で使用されていた物です。

軍事建設隊はれっきとした独立組織で、軍で使われている装備品と類似の目的の装備品でも、独自のデザインの物を使用していました。

 

 

このベルトは市場価値が低く、安価で大量に流出したことがありました(最近は見かけません)が、注目すべきはバックルで、このバックルはソ連地上軍初期の野戦ベルトバックルとほぼ同じ物が使われています。

 

 

すなわち、部品取りとして価値があるとも言えます。

なお、構造は現在良く見かけるカーキ色に塗装された「野戦バックルベルト」と類似点が多くみられますが、関連性は不明です。

 

 

ベルトに使われているコットンウェッブはかなり頑丈に出来ており、質感やサイズ、色味等の類似性から第二次世界大戦中のドイツ国防軍アフリカ向け装備ベルトの複製品に流用されていたりします。

 

 

第二次世界大戦後のソ連地上軍で制式化された初期の野戦ベルトは、表面は金属地肌のシルバーのままで、裏面を光沢のあるグレーで塗装してありました。

 

 

軍事建設隊のベルトのバックルは、理由は不明ながら仕様が同じ為、代用品として最適と思われます。

 

 

バックルは金属製で、四角い板をゆるく湾曲させた形状です。

 

 

裏面にベルトを通す針金製のループと、引っ掛け用フックが溶接されています。

 

 

コットンウェッブ塗装の合皮ベルトと組み合わせて、初期型野戦ベルトを再現してみました。

 

 

大雑把な区分では、この野戦ベルトの仕様は、1950年代全般に該当する装備のようです。

なお、常勤ベルトについては、ソ連崩壊に至るまで、一貫して真鍮素材の金バックルが使われています。

 

 

のちの野戦ベルトは保護色(ロシアングリーンもしくはカーキ色と推定)で塗装されたバックルになりますが、形状は変わりません。

色が違うだけでも、だいぶ印象は異なります。

 

 

こちらはバックルがカーキ色に塗装されている野戦用装備ベルトです。

現在、ミリタリー市場で最も多く流通している下士官兵用ベルトです。

 

 

野戦用ベルトは、そうそうに規定されていたものの、実際に支給される事は殆ど無かったようで、当時の映像資料を見ても、日常勤務から大規模な演習まで、金ぴかのバックルを輝かせています。

 

 

この野戦用バックルベルトは、時期としてはソ連崩壊前後の1989年以降に生産された物が市場に放出されたらしく、状態の良い物が多数流通していますが、逆に実用例は希少と言えるかもしれません。

 

 

ベルト本体はコットンウェッブ製で、表側を革風に塗装したフェイクレザー製です。

この仕様も、冷戦時代の一般的な下士官兵用ベルトとは異なります。

 

 

ソ連時代の実態はともかく、軍装品としては適度に強度のあるやわらかなベルトで非常に使いやすいです。

反面、ソ連式のベルトループスタイルの装備品を吊っていると、重量に負けてたわんできてしまう傾向もあります。

 

 

バックルの裏面は一般的な物と同型ですが、ベルト端部のひかっけ金具の形状が異なります。

当時主流の物は端部金具が着脱出来ましたが、このベルトは仕様上、完全に縫い付けられている為、取り外せません。

 

 

こちらは実際に冷戦時代に多用されていた、一般的な下士官兵用ベルトです。

 

 

特徴は光り輝く金色の真鍮製バックルです。

 

 

サープラス品なので、未使用ながら長期保管による錆や曇りがあります。

これは致し方ないですね。

 

 

バックルと対になる引っ掛け用金具が特徴的です。

 

 

ベルトは一見、革製に見えますが、人造皮革製です。

冷戦当時の下士官兵用ベルトは、この素材が多用されていました。

 

 

このベルトの特色は素材が人造皮革である点です。

ビニールとコットンウェッブを圧縮成形したような、独特の材質です。

 

 

ベルトをバックルに通し、折り返して游環で押さえて固定します。

バックルのベルト通し部分の手作り感が、実物らしさを感じさせます。

 

 

現在よく見かける塗装された野戦ベルトと比べると、ベルトの作りの違いから、バックルの構造が一部異なるのがよくわかります。

 

 

現在、新たに製造されている実物相当の複製品でも良くみられる、取り外し可能な引っ掛け金具です。

複製品では、本革製ベルトと組み合わせて販売されている例が良くみられます。

 

 

ベルトバックルを連結した状態です。

アフガニスタン駐留部隊など、野戦スレした兵士は、しばしばバックルを極端に折り曲げる“兵隊ファッション”をしていました。

もったいないので再現するならレプリカ推奨ですね…w

 

 

単純な作りですが、これでも容易に外れるような事はありません。

やはり軍用品、よく考えてデザインされており感心することしきりです。

 

 

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