
現用ベトナム軍で2015年頃に導入された弾薬携行装具「K15チェストリグ」です。
画像は実物放出品です。

ベトナム人民軍ではベトナム戦争当時から、援助物資の中国製56式小銃用チェストリグを使用しており、国産化やマイナーチェンジを繰り返しながら現在でも歩兵の個人装備の基本として運用が続けられています

今回紹介する「K15チェストリグ」は、現用としては新型のチェストリグで、従来の「カーキ・グリーン系3連チェストリグ」や「K07迷彩4連チェストリグ」の後継として配備が進められています。

現在運用中の各種チェストリグが中国製リグの面影を強く残しているのと比べ、「K15」では各種ポーチのレイアウトやストラップの処理にベトナム独自のデザインが見られ、オリジナリティを感じるアイテムです。


ウエストストラップはナイロン製の板紐とプラスチック製のバックルを組み合わせてあり、旧型装備の綿板紐を蝶結びにする方式よりもずっと近代化されています。

ショルダーストラップもナイロン製となり、黒塗装金属製の金具でサイズ調節します。

余ったストラップは、アメリカ軍や自衛隊装備のようないたゴムの遊環で留めてあります。

負荷がかかる部分なので、ストラップの縫製は目に見えてしっかりと処理してあり好感が持てます。

チェストリグ正面には、マガジンポーチが4個設けてあります。

蓋はプラスチック製クイックリリースバックルで開閉でき、各ポーチはAK系のマガジンを1本収納できる容量があります。

一見すると薄手に見える生地ですが、ナイロン製でしっかりした素材感があり、縫製も実用面で安心できるレベルです。


マガジンポーチの蓋の縫い合わせ部分に、タグが縫い込んであります。

従来のチェストリグとの大きな外見のひとつとして、小型ポーチが多数付属しています。
合計6個の小型ポーチは、従来品より2個多く、それぞれのポーチに機能性が付与されています。


小型ポーチにも、マガジンポーチと同じプラスチック製クイックリリースバックルが取り付けてあります。


マガジンポーチ横の小型ポーチは手榴弾収納用と思われます。
画像ではベトナム人民軍の国産手榴弾に似ているアメリカ軍M26手榴弾の模造品を収納してみました。

映像資料からキャプチャした、ベトナム人民軍制式手榴弾の画像です。
訓練映像では練習用と思われる、オレンジイエローの模擬手榴弾が使われています。

チェストリグ左端に位置する、若干細長いポーチは、ファーストエイドポーチと思われます。


ベトナム製品は入手困難なので、類似品の中国製軍用救急パッケージを収納してみました。

小型ポーチの形状から推測し、チェストリグ1個当たり、手榴弾4個を携行できます。

チェストリグ右端のポーチは、内部の仕切りの形状から、小銃のクリーニングツール収納用と思われます。


従来のチェストリグや中国製56式リグと同じ構造で、銃手入れ油缶とメンテナンスツールキットを挿し込むループが設けてあり、綺麗に収納出来ます。

「K15チェストリグ」収納物一覧です。



取り扱い説明書や教範を見たわけでは無いので、過去の軍装品収集の経験からの推測ですが、概ね間違いはないかと思います。

チェストリグ裏面の形状です。



「K15チェストリグ」では、ナイロンが全面的に使用されており、耐久性の向上と軽量化に貢献しています。
迷彩柄も実戦向けで好感が持てます。


ナイロンストラップの縫製もしっかりしており安心感があります。

プラスチック製バックルも、自衛隊の弾帯3型のバックルに似た、耐久性を感じさせる質感で破損の心配はなさそうです。

ショルダーストラップの縫製の様子です。

裏面に「K15 AK用チェストリグ」の装備品名称がスタンプされています。
記載内容から、「Z133工場・2016年製造」と思われます。

ウエスト固定ストラップは、ナイロン紐とプラスチックバックルで出来ており、従来のコットン紐と金属ナスカンの組み合わせからの進化が見て取れます。

画像からも、ナイロンの質感が見て取れると思います。
ベトナム軍装備を見てきた身からすると、素材や縫製から、品質の向上が実感できます。

着装する際の、各ストラップの固定状態です。
プラスチックバックルが全面的に使用されており、即応性と利便性を考慮した改良点と言えます。

ウエストストラップは、板紐の蝶結びに馴れているといささか扱いづらく感じますが、一旦使い慣れてくれば便利な構造でしょう。

サイズ調節金具であらかじめジャストサイズにストラップの長さ調整をしておくことで、素早い着装が可能です。


「K15チェストリグ」の着装状態です。
武器・弾薬に関わる携行品は、全て収納出来、チェストリグ1個で戦闘準備が完結するよう工夫がされています。


現状では迷彩は「K07」パターンで製造されていますが、今後、新型迷彩服「K17」の迷彩柄に合わせたモデルが登場するかどうか、ベトナムの軍事情報を注視していきたいところです。
