ベトナム人民軍で現在使われている水筒です。
私が所有している物は実物未使用品です。
この水筒は2010年代中頃から見られるようになった装備で、現在のベトナム人民軍の映像資料でも頻繁に見られます。
この水筒の登場以前は、ベトナム戦争当時と同じデザインの水筒がずっと使われていました。
また、演習の映像などを見ると、水筒自体携行していないケースも多いです。
現用水筒の正式な型番は残念ながら情報不足でわかりませんが、恐らくK07迷彩服と同時期に採用され、普及したのが2010年代半ばという感じではないかと思われます。
ベトナム戦争当時に使われていたカバー付き水筒と、基本構成は同じです。
デザインは米軍スタイルのコピーのようで、水筒にカップが付き、これをベルトループ式の水筒カバーで携行するという構造です。
水筒に重ねるようにカップが付属しています。
この組み合わせ方は米軍に準じた物で、機能性に優れた物と言えます。
水筒が樹脂製でカップが金属製というのも米軍の影響を感じる点です。
旧型水筒と比べ、水筒の容量も若干増えたかな?という印象です。
水筒本体は樹脂製で、米軍のキャンティーンから影響を受けているのがわかります。
過去のベトナム軍装備と比較して、非常にクオリティが高く、技術力の向上が実感できます。
形状は完全に米軍のプラスチック製キャンティーンを意識した作りですね。
水筒背面のくぼみ等、よく似ています。
水筒表面にはベトナム語で注意書きがモールドされています。
容量は1リットルのようです。
水筒底面にはリサイクルマークの表示があります。
エコにも配慮されている様子で、時代を感じますね。
水筒を上部から見た状態です。
水筒のキャップは滑り止め突起があり、開け閉めし易いよう配慮された作りをしています。
水筒キャップには脱落防止紐が付いています。
米軍だと軟質樹脂のストラップ、自衛隊では金属製の鎖のところ、ベトナム製では細い化繊紐なのが面白いです。
蓋を開けた状態です。
飲み口は広く、実用性も高そうです。
水筒の気密は、素材の柔軟性を利用しているのも米軍スタイルです。
水筒キャップの上部には、ガスマスク使用時にも水が飲めるように専用のキャップが付属しており、米軍に準じた作りです。
正直、中国や日本の装備よりもリアルに戦闘を意識した構造で、ベトナムという国の戦争に対するリアリズムを感じます。
このキャップにも、しっかり脱落防止紐が取り付けてあります。
水筒にはカップが付属しています。
カップは金属製です。
光の反射を抑えるためか、カップ表面は緑色に塗装されています。
水筒カップの形状はベトナム戦争当時の中国製援助物資の水筒と近い印象を受けますが、当時品と比べるとカップが深く、機能性は向上しています。
若干艶のある塗料は比較的厚塗りされている印象で、耐久性は期待できそうです。
カップの底面には特にメーカー刻印等は確認できません。
カップ内側は無塗装です。
水筒カップは飲料水による腐食を防ぐ為、錆びにくい素材が使われていると推測出来ます。
カップ内側底部には、「QN-14」の表示が確認できます。
意味は不明ですが、製造工場と製造年を示しているのでは、と推測しています。
水筒カバーは「K07迷彩服」と同じ迷彩柄で作られています。
構造自体はベトナム戦争当時の物とさほど変わらない裁断・縫製です。
装備への携行はベルトループ式です。
ベトナム人民軍ではピストルベルトを装備しますが、ベルトに装着するのはほぼ水筒のみ、まれにメディカルポーチが見られる程度なので、このシンプルさでも問題ないのでしょう。
水筒カバーは大きく開放でき、中身の取り出しは容易です。
水筒カバー内側には軍指定工場のタグがあり、製造工場名や製造年がわかります。
コレクター視点では、軍用実物を証明する重要なポイントです。
現用ベトナム軍水筒と従来の軍用水筒との比較です。
所有する3種類の水筒を並べてみました。
従来のグリーンのカバーの物も、K07迷彩水筒の登場以前には現役で使われており、2000年代の映像資料ではほぼベトナム戦争時と同じ水筒が確認出来ます。
この比較画像では一番左側に位置する水筒ですが、これは購入後だいぶ経ってから、どうやらベトナム製の民生品らしいと判明しました。
現用の水筒は素材を樹脂製とした点で、先進国レベルに並んだ、あか抜けた印象を感じます。