中国人民解放軍の「63式自動歩槍 単兵装具」です。
「63式自動歩槍(自動小銃)」は、1960年代に主力小銃だった「56式半自動歩槍(中国製SKSカービン)」の後継として開発されたフル・セミ切り替え式自動小銃です。
「63式」制式化に合わせて採用された「63式単兵装具」は、従来のチェストリグタイプのマガジンポーチと異なり、複数の機能を備えた作りで、タクティカルベストを先取りしたような作りです。
装具の左端にマガジンポーチが2個並列に取り付けてあります。
その右隣には、一段低めの位置に、同じく2個のマガジンポーチがあります。
間に二本の板紐による装備取り付けスペースを挟み、右側には手榴弾4本分の収納ポーチが取り付けられています。
右端にはマガジンポーチが2個並列配置されています。
ショルダーハーネスは、アルミ金具で折り返してあります。
長さ調節もこの金具で行います。
ショルダーハーネス全体の作りです。
端末の遊環は人造革製です。
バックルはアルミ製で、装飾の一切無いシンプルな物です。(このバックルがプラ製の物もあります)
構造は人民解放軍ではおなじみのビニール製装備ベルトと同じ様式です。
実際に着装した所、勘合が悪いようで、外れはしないものの、ズレやすいのが気になりました。
マガジンを収納した状態です。
「63式自動歩槍」は、AK-47のマガジンに良く似た形状の20連弾倉を装備しています。
電動ガンのAKタイプ・ショートマガジンが丁度良い感じに収納出来ます。
マガジンポーチの留め具はチェストリグのトグルボタンと違い、イギリス軍のP58装備やアメリカ軍のM56装備に似たクイックリリースタイプです。
金具は金属ではなく、柔軟性のある樹脂製です。
マガジンとポーチの大きさです。
マガジンポーチ内部の状態です。
ポーチ正面が補強されている為、マガジンの出し入れはスムーズで機能的です。
マガジンは各社電動ガン用に発売されている「CONRAD TACTICAL製・AK用220連ショートマガジン」を使いました。
東京マルイ製品と互換性があり、価格も手頃なので数を揃えるには丁度良いアイテムです。
装備取り付け用と思われる板紐ストラップ部分です。
上下に取り付けられた板紐を使い、ベルトループ式の装備品が装着出来そうな作りです。
一段低い位置のマガジンポーチの両端には鳩目があり、紐が縛着されています。
4連手榴弾ポーチの蓋はマガジンポーチと同じクイックリリース金具が使われています。
装具の裏面の様子です。
ベルトのサイズ調節は裏側から行えます。
装具は緑褐色の綿製です。
幌布製チェストリグと比べると若干薄手で、柔らかい質感です。
ベルトの端末は、ループに通して固定出来ます。
アメリカ軍のM1ガーランド小銃用カートリッジベルトを彷彿とさせる構造です。
装具裏面には、タグ・スタンプが押されています。
少し薄くて読みづらいですが、「六三式自動歩槍 単兵装具」と読めます。
ベルトのバックルはアルミ製です。
人民解放軍装備ではお馴染みの、クロスさせて引っ掛けて固定するバックルは、感覚的に操作出来る良く出来た構造だと思います。
外見の良く似ている「65式幌布製外腰帯」を並べて比較してみました。
63式装具ベルトの柔らかさに比べると、65式装備ベルトの頑丈さは段違いです。
一見、流用かな?とも思えるバックル部分ですが、63式装具の方が一回り小型で、細部の形状も異なります。
63式単兵装具をベースに、個人装備を組んだ状態です。(装備品の組み合わせは構造からの推測を含みます)
装具に付属の紐は、装備品の負い紐を固定する物と想定し、「65式防毒面具」を装着しました。
二本の板紐ストラップは、位置的に「65式水壷」を装備する物と考えました。
位置的にも空きスペース的にも、収まりは良いです。
システマチックに見える装具ですが、実際の運用では扱いやすさに難があったのか、あまり普及はしなかったようです。