日本陸軍が第二次世界大戦で使用した軍服は大別して「九八式」と「三式」の二種類があります。
また、季節や配属地に合わせて、綿製の「夏衣」と、絨製(ウール)の「冬衣」の二種類があります。
画像の軍服は「九八式夏衣」です。
夏衣の綿生地はゴワゴワした質感で、かなり硬い印象です。
「九八式軍衣」と「三式軍衣」は殆ど同型なので、外見上で区別するのは難しいです。
なので、もっぱら被服内側のタグで判別することになります。
画像の軍服は昭和16年製の「九八式夏衣」で、サイズは6号だとわかります。
実際に着用したところです。
「九八式軍衣」はサイズが1号~6号まであり、この個体は最小サイズという事になります。
思えば、私が初めて購入した本物の日本軍服でした。
写真は大昔の物ですが、現在ではウエストサイズの都合から、もう着用は不可能でしょうね…w
こちらは現在サバゲーで絶賛活躍中の「三式夏衣」です。
色はいわゆるカーキ色ですが、米軍のM1936装備や英軍のP37装備と比べると、色味は灰色がかった草色といいましょうか、日本陸軍独特の「国防色」です。(模型だと、タミヤカラーの「XF-49・カーキ」がぴったりな色味です)
日本陸軍の軍服は、「九八式」やそれ以前の物も含めて、銃剣吊りを定位置に固定する為の留め具が縫い付けられています。
この留め具のおかげで、装備ベルトの位置決めがはっきりするので、装備の着こなしがカッチリでき、私は好きな仕様です。
「三式夏衣」の内装です。
夏服のため、内張りの類は一切無く、通気性を考慮してあります。
内側には物入れ(ポケット)があり、包帯包を収納します。
タグを見ると、昭和19年製の「三式夏衣」で、サイズは大号だとわかります。
三式は生産性向上のため、サイズが大・中・小の三種類に省略されました。
襟には、汗対策の襟布が縫い付けられています。
この襟布は大戦時の日本陸軍軍服の特徴でもあり、使用時は山形縫いをしておき、洗濯時にはいちいち取り外し、また縫い直す必要があります。
大戦当時には国防色の襟布が基本ですが、私の好みであえて白色襟布を使っています。
また、脇には開口部があり、通気性を高めてあります。
この構造は、戦後の陸上自衛隊のOD作業服や、現用の迷彩服3型にも受け継がれています。
「三式夏袴」です。
軍袴(ズボン)は、「昭五式軍衣」までは長袴(ストレートズボン)でしたが、「九八式軍衣」からは短袴(乗馬ズボン)に変更されました。
短袴は夏用襦袢や防暑衣とも組み合わせて着用する為、日本陸軍装備には必須の被服と言えます。
デザインは乗馬ズボンタイプで、巻脚絆(ゲートル)を巻いた際に、動きやすく見栄えが良いのですが、単体で着用したままだとなかなかに不恰好なスタイルになってしまいます。
その為、当時の兵隊は外出時には巻脚絆の着用が義務付けられていて、結構面倒くさかったようです。
前合わせはボタン式です。
ボタンは木製です。
内装、物入れ部分にタグが押印してあり、昭和19年製の「三式夏袴」サイズは中号です。
ウエストは元々縫い付けられている腰紐で縛ります。
紐なので基本フリーサイズで、締め具合で調整します。
日本陸軍では基本的に紐類は片蝶結びで、端末はくるくる巻く等の端末処理をして、ぶらぶらさせないように指導されていたようです。
夏袴には左右に物入れ(ポケット)があります。
米軍のような尻ポケットはありません。
通常はハンカチやお菓子等、小物類を収納するのに使っていたようですが、戦闘時には手榴弾の収納にも利用されました。
夏袴の裾には紐があり、足首でしっかり固定するように出来ています。
「三式夏衣」の着装状況です。
世間一般における「カーキ色の日本兵」のイメージは、こんな感じじゃないでしょうか。
歩哨に立つ陸軍歩兵です。
足は地下足袋を履いています。
足音が目立たず、動きやすい為、民間から買い上げられた物が戦場でも愛用されていました。
「桜と兵隊」…日本兵と桜は良く似合う、と思ふ。
敵情を視察する様子。
着剣した三八式歩兵銃の長さが目立ちます。
被甲嚢(ガスマスクバッグ)を胸元に配置した、戦闘状況の装備例です。
サバイバルゲームでは三八式歩兵銃の長さがネックでもあり、魅力でもあります。
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