九六式軽機関銃 (S&T製・電動ガン)

S&Tから発売されている電動ガン「九六式軽機関銃」を紹介します。

九六式軽機関銃は日本軍が使用した代表的な自動火器で、中国大陸戦線から南方戦線、硫黄島や沖縄で物量に勝る連合軍を相手に頑強な抵抗を示し活躍しました。

 

 

日本軍好きなら調達必至の逸品ですが、希望小売価格10万円超えという、電動ガンとしてはかなりの高額商品です。

この製品が発売されるまで、エアガン・モデルガン含め、精巧な出来の物はKTW製のみ、大昔にアドベンから無可動組み立てキットも出ていましたが、再現度は残念な出来でした。

 

 

コピー元であるKTW製品は高嶺の花で(なんせ30万円台…)宝くじでも当たらなければまず手にする事は出来ません。

その点、S&T製品は三分の一の値段なので「安い!」と即決!(既に金銭感覚がおかしな事になっているのは気にしてはいけない…w)

 

 

S&T製は、外装はKTW製品をかなり参考にしていますが、内部メカは独自の専用メカボックスを採用しており、実射性能は箱出しそのままで充分実用レベルに達しております。

 

 

パッケージは最近のS&T製品に共通のデザインです。

 

 

隅に機種を示す表示があります。

 

 

側面にはより大きく商品画像が表示されています。

 

 

梱包はS&T製品ではおなじみの銃の形にくりぬかれた緩衝材にグイっと押し込まれた状態です。

 

 

第二次世界大戦の時期のフルサイズの軽機関銃という事で、結構なボリュームです。

 

 

緩衝材の空きスペースには、消炎器(フラッシュハイダー)が収まるような形状にくりぬかれており、今後のバリエーション展開に期待が持てそうな予感。

 

 

付属の取扱説明書です。

 

 

一枚紙を四つ折りにした簡素な物ですが、写真を豊富に使い、わかりやすく解説してあります。

 

 

弾倉を付けていない状態の軽機関銃です。

機関部のメカメカしさが強調されて、この状態も格好良いです。

 

 

弾倉を装填した状態の軽機関銃です。

独特の上から装填するスタイルと、湾曲した弾倉が特徴的です。

 

 

軽機関銃の各部形状です。

外装は、フルメタル・リアルウッド製で剛性は抜群です。

 

 

安全装置は引金前方にあります。

棒状のレバーを持ち上げると「安全」状態になります。

 

 

「火」の位置に回すと射撃可能となります。

 

 

銃口回りの形状です。

銃口先端にはネジが切ってあり、ラッパ型の消炎器や、可動式の銃口蓋を取り付ける事が出来ます。

 

 

二脚を展開した状態です。

展開位置は二か所選択でき、画像は90度展開した状態です。

 

 

より姿勢を低くしたい場合には、画像のように更に前方に角度を付けて固定出来ます。

 

 

軽機関銃正面図です。

真正面から見ると、意外と厚みがなく、シンプルに見えます。

例えるなら、自衛隊の攻撃ヘリ「コブラ」を見たときの印象に近いですね。

 

 

実銃では射撃時に加熱した銃身を交換する機能が設けてありますが、この電動ガンでも再現されており、銃身留めレバーは可動します。

 

 

画像のようにレバーを引っ張って縦に回すと、銃身前部を取り外せます。

ただし、インナーバレルは丸ごと残りますので、後処理は破損を防ぐ為、操作しないほうがよさそうです。

 

 

照星(フロントサイト)はオフセット位置にあります。

歩兵銃と似た形状で、左右にガードが付いたスタイルです。

 

 

一体型の鋳物のようで、鋳造らしい荒々しい表面処理が武骨で格好良いです。

照準器の先端には凹みがあり、実銃では緑色の夜光塗料が塗布されていたようです。

 

 

照門(リアサイト)は大型で、かなり凝った作りの照尺となっています。

 

 

照準調整には、ローレット溝の彫られた大型のダイヤルを操作します。

このデザイン、“チェッコ機銃”を参考にしたことは明白ですね。

 

 

照準器は左側にオフセット配置されており、右側には光学照準器を取り付ける為のレールが設けてあります。

 

 

ダイヤル操作で、画像のように照尺を上下動できます。

 

 

照門左側には小型のダイヤルがあり、照準の左右調節が可能です。

電動ガンでは再現されていませんが、実銃では照準孔の下にくぼみがあり、照星同様に夜光塗料が塗布されていたようです。

 

 

実際に照準器を覗いた状態を再現してみました。

ぼやけてしまい上手く映っていませんが、感触としては、照門が目に近すぎて、照準孔が視界内で「溶ける」感じに見えます。

 

 

旧型にあたる十一年式軽機関銃では露出していた蹴子(エキストラクター)は、九六式軽機関銃ではカバーが取り付けてあります。

 

 

電動ガンではカバーの可動が再現されており、画像のようにボタンを押して開ける事が出来ます。

中にある蹴子は簡単なモールド再現でリアルではありませんが、本来動くべきところが動くように作られているのは、機能上意味がなくても、モデルガン視点では嬉しいポイントです。

 

 

槓桿(ボルトハンドル)も、機能はありませんが可動式で、画像のように操作出来ます。

 

 

スプリングテンションやクリック感は一切ありませんが、形だけでも前後動出来るのは、弾薬装填の“ごっこ遊び”にとっては重要なポイントです。

 

 

実銃ではボルト及びスプリングを取り出せる発条留も、機能が再現されており、レバー操作で取り外すことが可能です。

 

 

電動ガンではメカボックスが入っているので特に意味のない機能ですが、とにかく細部に至るまで再現性へのこだわりが感じられるのは好印象です。

 

 

今度は、軽機関銃を右側面から見てみます。

 

 

槓桿や照尺が無い分、右側面はシンプルな外観をしています。

 

 

各部形状です。

 

 

弾倉を装填した機関部の外観です。

弾倉蓋の真下にある蓋は実銃では排莢時に連動して稼働します。

電動ガンではこの蓋を開けると、中にHOP調節ダイヤルがあります。

 

 

機関部の下部には閂子室蓋(ロッキングラグ・カバー)が再現してあります。

トイガンとしての英語表記がちょっと雰囲気を損ねるのが残念です。

 

 

閂子室蓋は実銃同様に可動式で、開けると内部へのアクセスが可能です。

 

 

握把(グリップ)は木製で滑り止めの細い溝が多数彫られています。

握ってみると、結構太いと感じました。

 

 

引金は、用心鉄を突き抜けて伸びており、独特のデザインです。

機能上いかなる必要性からこのような形状に至ったのか、非常に興味深いです。

 

 

握把底部には六角レンチでねじ止めがしてあります。

 

 

銃口付近の様子です。

後継の九九式軽機関銃では、ラッパ型の消炎器が標準装備されています。

 

 

銃身と並んで配置されている瓦斯筒(ガスピストン)には、負革金具が取り付けてあります。

恐らく亜鉛ダイキャスト製で、長期使用で破損の恐れがありますが、ちょっと担いだりする分には問題ないかな、という印象です。

 

 

瓦斯筒の形状もガス抜き孔等の外見がよく再現されています。

 

 

銃身取り付け基部付近に、「九六式」の各種刻印が再現されています。

銃の刻印としては珍しい、漢字表記に大日本帝国陸軍らしさをひしひしと感じます。

なお、二脚操作により縦に目立つ傷が入っていますが、AKのセレクター操作傷と同じく、“そういうもの”なので仕方ないですね。

 

 

二脚を展開した状態です。

サバイバルゲームでの使用では、フィールド内でもセーフティエリアでも、基本的に脚は折り畳む事は殆どありません。

 

 

伏撃ちの際には、二脚の固定位置を変える事で、より低い姿勢を取る事が出来ます。

実際の戦時中の画像でも、この角度での使用は多くみられます。

 

 

二脚の可動範囲です。

最後の折り畳み状態はかなり無理をしており破損の恐れもある為現実的ではありませんが、実銃では負革の使用時にこの位置で扱われている様子が頻繁に確認出来ます。

 

 

銃床(ストック)は木製で、外装はS&T製品ではおなじみの塗装仕上げです。

 

 

S&T製の木製部品に共通の問題ですが、使っていくうちに塗装が剥がれて、玩具っぽい傷の付き方をしていくのが気になります。

 

 

面倒なので実施しておりませんが、いったん塗装を全て剥がして、オイル仕上げやニス仕上げをし直すとかなり見違えるんじゃないかと思います。

 

 

バッテリーはストック内に収納します。

 

 

床尾板(バットストック)の二か所のネジを外して取り外します。

スペースはあまり広くないので、ミニSバッテリー位のサイズに対応しているようです。

 

 

九六式軽機関銃弾倉です。

弾倉はフルサイズの6.5粍小銃実包を納めるだけあって、アサルトライフルの感覚で見るとかなり大柄です。

 

 

付属の弾倉はスプリング給弾の90連マガジンです。

 

 

別売りで800連フラッシュマガジンも同時発売されたので、迷うことなく購入しました。

 

 

ただし、マガジン1本で1万円ちょっとの価格は、ガスブローバック並み、いやそれ以上に高いです。

 

 

電動ガンのマガジンの値段じゃないよなーと思いつつ、存分に火力を発揮する為にはやむを得ない出費と自分を納得させました。

 

 

ちなみに、ノーマルマガジンも価格は大差ないため、数をそろえるのは躊躇してしまいますね。

 

 

BB弾は、弾倉上部の蓋を開けてジャラジャラと流し込みます。

 

 

ちなみに外装は共用のようで、ノーマルマガジンも蓋は開きます。(特に意味はありませんが)

 

 

フラッシュマガジンなので、ゼンマイは内部にあり、ゼンマイを巻くための引き紐が取り付けてあります。

 

 

この紐を4~5回引けば、ゼンマイを巻き切ることが出来ます。

なお、800発全弾撃ちきるには、追加でゼンマイを巻く必要があります。

 

 

給弾口には蓋があり、弾倉を装填しないときは閉じる事が出来ます。

 

 

蓋は板金の爪でロックされており、力を加えて持ち上げれば開放されます。

 

 

弾倉はAK-47のように、前部に引っ掛けるように装填します。

 

 

反対側から見た蓋の様子です。

 

 

給弾口は電動ガンで見慣れた構造ですが、上から装填するので普段と位置が逆なので、奇妙な感じがします。

 

 

弾倉が大型なので、外観も迫力があります。

 

 

二脚の間に、着剣装置が設けてあります。

軽機関銃に銃剣を取り付ける発想は日本軍以外には例を知りません。

 

 

一説には銃剣をカウンターウエイトとする事で、射撃を安定させ命中精度を高める為とされており、実際に命中率が上がったレポートもありますが、あくまで戦後の研究者の推測と結果であり、戦時中の資料では一切触れられていません。

 

 

本銃への実物銃剣の装着を試みた所、微妙にサイズが合わず、取り付けられませんでした。

差し込もうとしても、画像の辺りまでしか入っていきません。

ネット上では箱出し着剣出来ているような記事もあり、銃側か銃剣側に個体差があるのかもしれません。

 

 

さりとて諦めきれるはずもなく、ヤスリがけで徹底抗戦を試みました。

体感ではかなり苦労して削り込んだ気がします。

 

 

必勝の信念のもと奮闘努力の甲斐あって、着剣成功致しました。

「万歳!」

 

 

着剣した軽機関銃の様子です。

この姿、日本軍ならではの雄姿ですね。

 

 

軽機関銃に着剣装置を取り付けた設計者及び制式採用した軍関係者の真意は不明ですが、間違いなく言える事は「大変格好良い!」です。

 

 

撮影に使用した銃剣は実物の刀身をアルミ製に替え、黒染仕上げにした合法加工品です。

唾の曲がった三十年式銃剣の姿には、勇ましさを感じます。

 

 

S&T製九六式軽機関銃、価格以上に楽しめる満足度の高い電動ガンですね。

 

 

S&Tは日本軍銃火器を手の届く価格帯で次々とリリースしており、今後も目が離せない存在と言えましょう。

 

 

ただ、日本のトイガン業界の健全な発展という視点からいえば、三八式歩兵銃といい九六式軽機関銃といい、S&T製品の明かな“パクり行為”は決して良い傾向とは言えません…。

 

 

とはいえ、いちトイガンユーザーとしては、かたや価格が手頃だったり、実射性能が向上していたりと、ありがたい存在である事も否定できません。

 

 

特に、日本のメーカーから再販されない製品のリリースや(64式小銃や九七式狙撃銃)、外装はコピーしつつも内部メカを独自開発している点(今回の九六式軽機関銃)は、企業努力として大変評価しております。

 

 

願わくば、潰しあいにならない形での黙認と共存をして頂ければと、S&TとKTW、(あとタナカワークスその他諸々…)それぞれの愛好ユーザーである私は願っております。

 

 

【商品紹介】

☆ブログ掲載後、数年でS&Tでの生産は終了いたしました。

現在は、「Golden Eagle」というメーカーから、同じ物が生産・販売されており、購入できます。



Amazonでも購入できます。

 

 

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