中国人民解放軍(略称:PLA)の「06式防弾背心(ボディアーマー)」です。
2006年制式の装備品で、PLA全軍に本格的に採用された物としては、初の個人防弾装備と考えられます。(防弾ベスト自体は、過去にも様々な種類が確認されています)
外見は米軍の「インターセプター・ボディアーマー」に酷似した作りです。
「06式」の名称から、採用後10年以上経過している筈ですが、現在に至るまでメディア露出は多くなく、あまり普及していない可能性もあります。(ボディアーマー自体が普及していない模様)
一方、国際平和維持活動での海外派遣部隊は、より新型のプレートアーマーを全員装備しており、今後は新型のほうがPLAの基本装備になるかもしれません。
股間・大腿部内側の防御部位です。
形状は、ほぼ米軍の模倣のようです。
ベスト前面一杯に、パルステープが縫い付けてあり、米軍MOLLE規格に準じた装備品を任意の位置に装着出来ます。
首周りにも防御アーマーが設けられています。
頚部は、襟部分と、正面を覆う部分の二重構造になっています。
それぞれ別パーツで、取り外し可能です。
背面にもパルステープがあり、水筒やガスマスクバッグを取り付ける事が出来ます。
また、ウエストのサイズ調節用コードが設けられています。
背中には防弾プレートを収納するスペースと開閉用ジッパーがあります。
そのすぐ上部には、救助・運搬用の取っ手が設けられています。
防弾背心のベスト本体です。
襟アーマー部、股間アーマー部は取り外し式なので、ベスト単体だとこの状態です。
着用時のサイズ調節は、この状態でウエストの紐と両肩のベルクロ位置を調節していると楽です。
ベスト正面は着物のように二重にベルクロで重ねて固定します。
広げる場合もベルクロをバリバリ剥がして外します。
ベルクロは幅広ですが縦長ですので、外れ過ぎずきつすぎず、使いやすいです。
画像の面に抗弾プレートを収納します。
収納口はジッパー式で扱いやすいです。
ジッパーを開けた中の状態です。
ベストを広げると、こんな感じです。
ベストは表裏ともに同素材の迷彩柄ナイロン製です。
画像のように、裏面にはベルクロ式収納口があり、おそらくはソフトアーマーを収納するためのスペースが設けられています。
ベストの背中に接する部分には、縦長のクッション材が内蔵されており、着心地にも配慮されています。
クッション面下部にベルクロ式の開口部があり、ここから背面に防弾素材を収納出来ます。
両肩は背面にストラップがあり、内側のベルクロにより固定位置を微調整して最適なサイズ位置に出来ます。
背面には画像のようにジッパー式開口部があり、抗弾プレートの収納スペースが設けられています。
背面の首に近い位置には緊急時に掴むための手提げがあります。
人間一人と装備品の重量を掴んで引っ張っても破損しないよう、縫製は特に念入りで、非常に頑丈に出来ています。
ウエストは、両側面のコードを引っ張って締め付けを調節できます。
パラシュートコードと同種の素材のようで、まず千切れそうに無い丈夫な素材です。
ベストには装備ベルトに相当する位置に内蔵ベルトがあり、プラスチック製のクイックリリース・バックルで着脱します。
ベルト自体は取り外す事は出来ません。
襟部分は画像のように独立した構造の物で、ベストへはドットボタンを使い取り付けます。
襟部は長い1枚構造をくるりと巻いて正面をベルクロ留めしてあります。
表面は迷彩柄の硬いナイロン生地ですが、裏面はコットン地のようです。
襟部後ろ両側には、ネックガードを取り付ける為のドットボタンが設けられています。
画像のストラップはベストへの取り付け用で、先端にドットボタンが付いています。
襟部は画像のように長い1枚構造です。
ネックガード部分です。
内部が袋状になっており、防弾素材を収納出来ます。
ネックガード正面にはベルクロ式ストラップが付いています。
ただ、対応するループ等の構造が見当たらず、どういう意図の物かはわかりません。
ネックガード下部には防弾素材を仕込む為のベルクロ式の収納口があります。
襟部とネックガードを連結した状態です。
ベスト側首周りの裏側に、ストラップを通すループがあります。
ループに、ネック・アーマーのストラップを通して、ドットボタンを留めて固定します。
ネック・アーマー装着後の正面です。
同じく、背面です。
ネックガードのストラップを、ネック・アーマーにドットボタンで留めます。
ネックガード取り付け完了。
ネックガード正面のベルクロ付きストラップの用途は、いまだ不明です。
ネック・アーマーパーツを取り付け完了後のベスト正面。
ネック・アーマーパーツを取り付け完了後のベスト背面。
防弾背心の股間アーマー部分です。
先端には、通気穴が2箇所あります。
股間アーマー上部には、ベストに連結するためのストラップが2箇所あります。
股間アーマーの収納口はベルクロ留めになっており、ここから抗弾プレートを収納出来ます。
収納部内部は、表面裏側が防水コーティングされており、裏面はコットン地のようです。
股間アーマーは、ベスト下端に、画像のようにストラップで連結します。
防弾背心に装具を取り付けた状態です。
米軍のボディアーマーではアーマーを着用した上から、MOLLEベストを重ね着する方法が基本で、酷暑地域などで出来るだけ装具を少なく済ませたい場合はボディアーマーに備え付けのパルステープに直接装備品を取り付けるようですが、PLAの防弾背心は画像で確認できるものは防弾背心に直接装備品を取り付けている例が多いようです。
実際に着装した感じでは、装備品に弾倉や水筒などの中身を満載した状態だと、重さで着用するまでがなかなか手こずります。
着装後は、バランス等安定しており、十分に役立つと感じました。