中国の現用ヘルメット ~ 中国人民解放軍 QGF-03 ヘルメット (実物)

中国人民解放軍の現用装備である「QGF-03ヘルメット」です。

 

 

「QGF-03」は、人民解放軍初のケブラー繊維製ヘルメット「QGF-02」の後継として開発されたヘルメットです。

 

 

「QGF-02」は性能は申し分なかったものの生産コストが高く、人民解放軍全軍への配備が困難と判断され、省力生産および実質性能向上版として「QGF-03」が採用されました。

 

 

紹介する物は実物未使用品で、取扱説明書も付属しています。

 

 

帽体の質感は「QGF-02」と大きく印象の異なる部分で、灰緑色のサンドブラスト塗装により、見た目の高級感が向上した他、実用面でもつや消し効果と色味の印象から、ヘルメット・カバー無しでの実用性も向上しているように感じます。(なお、ヘルメットの色は初期型では暗緑色だったとの事)

 

 

帽体の形状は「QGF-02」が米軍のPASGTヘルメットの模倣だったのと比べると、独自のデザインへの変更が目立ちます。

公式情報によれば、抗弾性能は「QGF-02」よりも向上しているとの事です。

 

 

コストを押さえる事を第一に設計された「QGF-03」の内装は、「QGF-02」に比べ明らかに簡素化されています。

 

 

汗止め用の革は内装・顎紐共にすべて人造皮革に変更されました。

 

 

内装部品は、縫製等の手間の掛かる構造を廃し、汗止めはスリットに突起を引っ掛けるという構造で、製造コストの低下への徹底した配慮が垣間見えます。

 

 

鉢巻き部分のサイズ調節は、民生品の安全ヘルメットのように、軟質樹脂のポッチをはめ込むタイプで、コスト低下に配慮した作りです。

 

 

ヘルメット内側には、タグ・スタンプが押印されています。

 

 

実際に使用した限りでは、汗止めの素材からくる肌触りや、吸湿性が皆無な為、快適さでは「QGF-02」には大きく劣る印象です。(コスト削減の為、開発陣も納得ずくで妥協した物と思われます)

 

 

顎紐の取り付け・取り外しは「QGF-02」に倣ったバックル式です。

 

 

バックル自体はプラスチックの一体成形で、かなりシンプル、悪く言えば安っぽい印象を受けます。

使用した感じも、素材の質感からくる引っかかりが少々感じられるものの、強度に関しては必要充分な物と思われます。

 

 

顎紐には「PLA」のアルファベット表記が織り込まれています。

 

 

こちらは、前述のヘルメット・カバーのバージョン違いで、「林地迷彩」柄で「帽徽(帽章)」の無いタイプです。

 

 

いっぽう、こちらは「荒漠迷彩」柄で「帽徽」の付いたタイプです。

 

 

「QGF-03」の配備開始時期は明確ではありませんが、確認出来る限りでは2003年後半から2004年頃には存在が確認されています。

 

 

以後の支給は順調に進められ、現在では人民解放軍の現用装備としてほぼ普及が完了したようです。

 

 

現在、「W-15ヘルメット」と呼ばれる米軍の「MICHヘルメット」に酷似したヘルメットが「人民武警・特戦(武装警察・特殊部隊)」向けに配備が確認されています。

そして2019年のパレードにおいて次期新型個人装備として「星空迷彩」と共に米軍の最新型ヘルメット「IHPS」に酷似したヘルメットが登場しました。

 

 

今後、これら新型装備に更新されていくと思われますが、一般部隊ではまだ「GK-80スチール・ヘルメット」が使われている部隊もある位なので、当分の間は「QGF-03」が人民解放軍兵士のイメージの時代が続くと思われます。

 

 

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