ソ連軍の迷彩カバーオール「KZS」です。
第二次世界大戦以来、ソ連軍では個人装備として通常の野戦服の上に羽織る迷彩カバーオールを用いていました。
特に有名なのが「KLMK」に代表されるBEREZKA(白樺)迷彩装備ですが、この「KZS」は核戦争下における運用を前提として開発されました。
「KLMK」と比べると色味がくすんだ感じに見えます。
私の所有物は明るい黄緑色が目立つ色調ですが、もっと生地が丈夫で色味が茶系の物も見かけます。
特徴は生地がメッシュ状になっている点です。
生地はあまり丈夫ではないようで、洗濯したり、たたんだり広げたり着込んだりする度に、こまかい繊維くずがぼろぼろ落ちてきます。
首周りには、頭をすっぽり覆える大きなフードが付いています。
非常にゆったりした作りで、ヘルメットを被った状態でも余裕で被れるサイズです。
また、首元背面にボタンがあり、フードを被らない時はバタつかないようにボタン留めできます。
「KZS」は核兵器の使用が想定される状況で着用する物で、長い袖や大きいフードを使い全身を覆う事で、被爆時の熱線でカバーオールが燃える代わりに身体の延焼を防ぐ機能がある(と説明されて)います。
その為、意図的に可燃性の薬品をしみ込ませてある為、一度選択するとまるで染料が溶け出したかと勘違いするような汚水が流れてきてびっくりします。(二度目の洗濯では問題ありませんでした)
前述したような理由により、「KLMK」と比べて袖丈がかなり長く作られています。
長い袖は、通常は捲り上げてボタンで留めるようにできており、いざ状況に入ったら袖と頭のフードを展開して全身を覆い隠せるよう作られています。
「KZS」は2ピースになっています。
ズボンは、ウエストと裾がゴム内蔵です。
他のソ連軍被服と違い絞り紐などは一切なく、一刻を争う状況時に素早く脱ぎ着できるように設計されていると想像されます。
膝部分には、当て布がしてあり、摩擦による汚損に対処してあります。
ズボンのポケットのある位置には切れ込み加工がしてあり、中に着たズボンのポケットに手が届くようにしてあります。
「KZS」自体にはポケット機能は一切付与されていません。
「KZS」を着用したソ連地上軍兵士です。
メッシュパーカーと言う事で、夏でも快適に過ごせるかと思いましたが、普通に蒸し風呂状態でした…w
「KLMK」だと、下着の上からそのまま羽織って夏仕様、など着こなしが工夫出来るのですが、「KZS」は毛羽立った生地が肌に触れるとかなり不快です。
伏せた状態の迷彩効果はなかなかの物です。
特に季節の変わり目の春・秋季に最適な色合いかなと思います。
実用上のネックとしてはズボンの内蔵ゴムがヘタってしまっており、激しく動くと戦闘中でも構わずズリ落ちてきてしまいます。
一旦ヘタってしまったゴムは元に戻せないのでゴムを入れなおすか、ズボンを改造してベルトループを追加するなどの手を加えたほうが良いですね。
「KLMK」をはじめとした迷彩カバーオールは、アフガニスタン紛争でも多用されています。
画像はアフガ二スタン派遣部隊に見られる、「KZS」の上着と「アフガンカ」のズボンを組み合わせた着こなし例です。
上半身はメッシュ素材のKZSで防暑と迷彩効果を意識しつつ、下半身は厚手のズボンで怪我を防ぐという、なかなか理にかなったコーディネイトです。
「KZS」を着用し「SVDドラグノフ狙撃銃」を装備した、ソ連空挺軍狙撃手です。
「KZS」の大きなフードはヘルメットごと余裕で覆い隠せるので、画像のように迷彩効果も期待できます。
「SVDドラグノフ用マガジンポーチ」は、ベルトループ部分を「RD-54空挺背嚢」の前部ストラップに通して身に着けています。
当時の戦場写真では各種マガジンポーチを兵士が独自に切り取ったり縫い合わせたりして手製のチェストリグを作成した例がしばしば見られます。
実際に切断加工するのはあまりにも勿体無いので、装備品の組み方を工夫して簡易再現してみました。
ヘルメットの縁の部分でうまい具合にずり落ちないので、「KZS」のフードを被った運用はなかなか便利で実用的です。
アフガ二スタン派遣部隊では重装備の例が多く見られ、ソ連空挺軍ではRD-54空挺背嚢が多用されています。
物資補給に乏しく、思うように自動車化できない山岳地帯での捜索戦闘では個人でできるだけの物資・弾薬を携行したいという心理からでしょう。
RD-54の下部には、付属の板紐でロールしたポンチョをくくり付けています。
また、腰には容量の多いポリ製の熱地用水筒を提げています。
【商品紹介】