アフガニスタン紛争基本ユニフォーム ~ ソ連軍 1981年型夏季アフガンカ (実物)

ソ連軍の「1981年型 夏期アフガンカ」です。

以前にもブログで紹介しましたが、今回着れるサイズの物を購入した為、改めて記事にしようと思います。

アフガンカの通称が示す通り、アフガニスタン紛争中期にそれまでの「M69熱地服」に代わって普及した防暑被服です。

防暑と言っても中央アジアの気候を前提とした作りなので、生地はたいして薄くもなく、通気性も普通で要するに1980年代米軍のBDUに相当する新型野戦服ということですね。

採用年はイマイチ不明ですが、現在は1981年型とされる事が多いみたいです。(昔はM88と呼ばれていました)

 

 

外見は米軍の「BDU」を彷彿とさせるデザインで、「M69軍服」までのソ連軍装備とは相当に印象が異なります。

 

 

背中の裁断はBDUと異なる点で、両肩から縦方向にプリーツが設けてあるほか、腰や裾に絞り紐が内蔵されている等、凝った作りが特徴です。

 

 

上腕には包帯を収納する為の小型のカーゴポケットがあります。

包帯の取り出し易さを考慮してか、フラップはベルクロ式で開け閉めが簡単にできます。

 

 

肩にはエポーレットがあります。

階級はエポーレットにリボンを縫い付けて表示します。

画像では何も縫い付けていないので、階級は「兵」です。

 

 

上衣には胸と腰に四角いカーゴポケットが合計4つ付いています。

それぞれのポケットはマチが付いており、容量が多くなる工夫がされていたり、フラップがボタン留めだったり、なんとなく米軍風味の強いデザインです。

 

 

肘には楕円形の当て布補強がしてあり、袖はオーソドックスなボタン留めです。

全体の作りに言えることですが、布地の重なる構造が多いです。

ただ、縫製はしっかりしており、丁寧な仕事ぶりが好印象です。

 

 

背面にはマチがあり、腕の取り回しを容易にしてあります。

このように細部を見てみると、熱地被服と言いつつも、米軍のフィールドジャケットを彷彿とさせる作りです。

 

 

外見とは異なり、内装や細部の縫製はいかにもロシア的な作りをしています。

 

 

アフガンカには両胸に内ポケットがあります。

簡単な袋状で、縁をボタン留めできます。

構造はM69軍服と殆ど変わりありません。

 

 

第二次世界大戦当時の「1936年型ギムナスチョルカ」以来、ソ連軍服には襟カラーがつきものですが、アフガンカも例外なく、白色綿布の襟カラーが縫い付けられています。

実物は軍支給品や売店で販売されているようですが入手できなかったため、自作した物を縫い付けて再現しました。

 

 

アフガンカは、それまでの「M69軍服」から階級章の形状が変更されており、襟章は台座を排し、金属製の徽章のみを取り付けるようになりました。

このアフガンカには野戦用の空挺徽章を取り付けています。

 

 

画像は左が滅菌包帯で、右がファーストエイドキットです。

どちらも兵士が個人で携行する救急用品です。

 

 

それぞれジャケットの収納位置が決められているそうで、左胸ポケットにファーストエイドキットを収納し、左上腕ポケットに包帯を収納します。

各ツールを収納する位置を固定しておく事で、緊急時に誰でもすぐに取り出せる、賢明な判断ですね。

 

 

アフガンカのズボンです。

スリットポケットが二つ、カーゴポケットが二つあります。

 

 

ズボンにはベルトループがあり、ズボン用ベルトを通して使いますが、このベルトループの幅が広く作ってあります。

ジャケットをたくしこんで着用する事を考慮したのか、下士官兵用バックルベルトや、士官用2バックルベルトがちょうど通るサイズです。

 

 

それまでのズボン同様、小ポケットが付いています。(たしか懐中時計用のポケットだったと思います)

 

 

M69軍服では乗馬ズボンスタイルでしたが、アフガンカは熱地服のようなストレートズボンスタイルです。

 

 

膝部分には損耗対策の当て布がしてあります。

 

 

一見すると米軍のカーゴパンツと大差ないように見えますが、ズボンの折り目の部分が縫い合わせてあるのが特徴です。

 

 

ズボン背面の形状です。

尻ポケットは無く、あっさりしています。

 

 

ズボン付属のボタンとベルトで、大まかなウエスト調整が可能です。

ここもソ連軍服伝統の作りです。

 

 

ズボン側面の形状です。

スリットポケットやカーゴポケットの位置や形状がわかりやすいと思います。

 

 

裏地の様子です。

ポケットの袋部分や、ウエストの補強の様子がわかります。

 

 

カーゴポケットは箱型で、側面がプリーツ型に縫製されており、容量を確保する工夫がされています。

 

 

裾には絞り紐があり、足に回してブーツを履きやすくする板紐もついています。

このあたりの作りは、ソ連軍服の伝統をそのまま受け継いでいます。

 

 

アフガン派遣部隊にはパナーマハットがよく似合います。

映画「第9中隊」でアフガニスタンに到着した空挺隊員達のパナーマハットが格好良かったです。

 

 

アフガンカと同時期に見られるようになったツバ付き作業帽との組み合わせです。

デザインはそのままに、迷彩柄で作られた物が長らくロシア連邦軍でも使われていました。

「マブータキャップ」と言う呼び方もされますが、「マブータ(特殊部隊用被服)」と対になる帽子は裁断がちょっと異なるので、私は「アフガンカキャップ」と呼んで区別しています。

 

 

背負っているのは「RD-54空挺背嚢」です。

腰の装備ベルトには「熱地用水筒」と「携帯ショベル」を装備しています。

 

 

パナーマハットを被ると俄然アフガン風味が増しますね。

手にしているのは空挺軍のメインウェポン「AKS-74」東京マルイ製次世代電動ガンです。

アフガンらしさを出すため、ストックに包帯を仕込みゴム製止血帯でぐるぐる巻きにしています。

 

 

背中のRD-54空挺背嚢には、ポンチョとKZS迷彩カバーオールの上着を縛着してあります。

 

 

個人携帯ショベルは、RD-54の付属ポーチに収納していますが、実際の所このポーチの使用例は見た事がありません。

背嚢に無造作に突っ込んである場合が殆どで、柄の部分が蓋から飛び出している姿がよく見られます。

水筒はアフガン派遣部隊、中でも空挺軍に優先的に支給されていた「熱地用水筒」です。

本体は白色または透明のポリ製で、コットン製のカバーに収納してあります。

 

 

アフガンカと空挺軍装備の組み合わせの着こなしの魅力は何といっても襟元からチラリと見えるボーダーシャツでしょう。(これがやりたくて空挺コスしてるようなモンですw)

迷彩効果などガン無視した美意識と、実用性一点張りのAKのような装備が混在しているのがソ連軍の魅力ですね。

 

 

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