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日本陸軍が太平洋戦争で使用した最も標準的な軍服である「九八式軍衣(きゅうはちしきぐんい)」、その夏用ズボンである「夏袴(なつこ)」の複製品です。
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新たに購入した防暑襦袢と組み合わせる際に、実物夏袴のみ損耗が進むのを避ける為、複製品を探していました。
そこで見つけたのがこの商品で、ミリタリーサープラスショップ「エスアンドグラフ」にて製造・販売されている製品です。
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実物の織りに近い生地を用いて製造されたとの商品説明に興味があって入手しましたが、実際、良く再現されていると思います。
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夏袴の前合わせはボタン留めで、第1ボタンのみ露出しています。
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ボタンは第1ボタンとその他のボタンでは種類が異なるのが興味深いです。
いずれのボタンもプラスチック製で、実物におけるベークライト樹脂製ボタンを再現したものと思われます。
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夏袴の内側は、ウエスト周りのみ内張りがされています。
内張りと物入れ部分は、白無地綿布製です。
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夏袴の裾には紐が縫い付けてあり、結び留める作りです。
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二本の締め紐の縫い付け位置は、足首で上手く締められるように配置されています。
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夏袴後面の様子です。
写真だと目立ちませんが、裁断はふとももは広く、カーブを描いて膝下に絞った形状です。
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アメリカ軍のチノパンツ等と違い、尻ポケットはありません。
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裾の締め紐は、足首のアーチに合うように、斜めに縫い付けてあります。
利便性を考慮した工夫に感心するところです。
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夏袴側面の様子です。
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腰紐はしっかり縫い込まれており、取り外す事はできません。
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夏袴の両側面には、スリットポケット型の物入れが設けてあります。
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使用例としては、戦闘時に手榴弾を収納する記述を見た事があります。
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足首に向かって、細くなっている夏袴の形状がわかります。
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裾の形状は、足首に対してしっかり覆い留められるよう工夫されています。
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後面から見た腰紐の様子です。
腰紐はだいぶ長いのですが、これは紐の結び方に起因する物です。
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腰紐の結び方は、まず両側面および背面のベルトループ合計3か所に通します。
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各ベルトループに通した腰紐を前方に持ってきます。
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夏袴を履いた状態で、腰紐を引っ張り締めて、正面でひと結びします。
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そして両側面のベルトループに再度、腰紐を通します。
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そのまま腰紐をベルトループを基点に折り返し、余りをくるくると巻いて端末処理とします。
このように結び留める為、腰紐は長くなっているわけです。
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実際に着用した状態です。
外見は、「短袴(たんこ)」と呼ばれる、ふともも部分にふくらみがあり、膝から下が絞ってある乗馬ズボン型です。
日本陸軍の軍服は、詰襟の「昭五式軍衣(しょうごしきぐんい)」までは、民生品のようなストレートズボン型の「長袴(ちょうこ)」でしたが、九八式軍衣からはゲートルを巻いた際に動きやすいよう、機能性を考慮して短袴型が採用されました。
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ちょうど同時期に日本の仮想敵国であったソビエト連邦の軍隊「労農赤軍」も、1935年型軍服から兵士の軍服に乗馬ズボンスタイルを取り入れており、参考にした可能性も無くはないかな、と思います。
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夏袴と合わせて着用している防暑襦袢は、やや大きめのサイズなので長袖に見えますが、本来は手首が露出する程度の七分丈が適正サイズです。
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腰紐を以って締め上げる、短袴独特の腰回りの様子がわかると思います。
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短袴の末端は画像のように締め紐で結び留めます。
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上から巻脚絆(まききゃはん)を装着して、着装完了です。
巻脚絆はくるぶし位置から巻き始め、膝下まで巻き上げます。
画像のように板紐をバッテンの形に巻く方法は「戦闘巻き」と呼ばれ、普通に巻きとめるよりもほどけにくいとされています。
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防暑襦袢と組み合わせた、中国戦線南部や南太平洋戦線での一般的な帝国陸軍将兵の姿です。
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歩兵をはじめとする各兵種の下士官兵は、外出時には巻脚絆と帯剣が義務付けられていました。
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