陸上自衛隊で長年使用されていた、「64式小銃用弾納」です。
画像の物は実物中古放出品です。
64式小銃用弾納はODビニロン製で、1本収納用と2本収納用があり、それぞれ2個ずつ支給されていました。
装備への取り付け方法はシンプルなベルトループ式で、ポーチ両端の湾曲したフックで弾帯への固定を補助する造りです。
64式弾納・1本用です。
厚みは薄く、外見と採用時期から類推するに、アメリカ海兵隊のM14用マガジンポーチの影響を受けたデザインかと思われます。
裏面にはベルトループとワイヤーフックが見えます。
素材のビニロンはかなり丈夫で、相当使い込まれた中古放出品でも使用不能なほどの破損は見られません。
弾納の下部には水抜き穴が2箇所設けられています。
蓋はスナップボタンで留められており、内部には64式小銃弾倉が1本、ぴったり納まります。
収納部には余裕はなく、完全に64式小銃専用の設計になっています。(なお、画像のマガジンはTOP製電動ガンの物です)
64式弾納・1本用の特徴として、ポーチ下部にダブルフック対応の取り付け穴が設けてあり、画像のように救急品入れや手榴弾入れを吊り下げる事が出来ます。
実際の訓練映像等では、もっぱら救急品入れを吊り下げている所が確認できます。
手榴弾入れは存在はしているようですが、私はいまだ実際の使用例を見たことがありません。
64式弾納・1本用の表面と裏面の比較です。
真横から見ると、弾納の薄さがよくわかります。
いっぽう、こちらは64式弾納・2本用です。
装備への取り付け方法は変わらず、ベルトループ式です。
なお、1990年代には2型迷彩の64式弾納が製造・支給されましたが、過渡期にはODビニロン製でスライドキーパー式の物も製造されていました。
現在、新品で入手が容易な物の大半はこの過渡期のタイプなので、1980年代までの旧型自衛隊装備を揃える際には間違えないように注意が必要ですね。
7.62㎜弾用マガジンを2本収納するため、相応の厚みがあるのがわかります。
真上から見た所と真下から見た所です。
下部には水抜き穴が2箇所設けられています。
64式弾納は、正規の取り付け位置は2本用を身体正面、その外側に1本用とされていたようですが、実際の隊員の装備方法では匍匐前進時に邪魔にならないよう、1本用を身体正面に、2本用を身体右側面に2個並べて取り付けていたようです。(匍匐時に接地する身体左側面をなるべく身軽にする為)
画像のように、64式小銃弾倉が2本、隙間無くぴったり収納できます。
画像ではトイガン用マガジンの為、収納が深く取り出しにくい印象ですが、実物弾倉は全長が若干長い為、指でつまめる程度にポーチ上に露出するようです。
【商品紹介】
「自衛隊1982―ユニフォーム・個人装備 (1981年)」…昭和自衛隊の個人装備の参考資料になります。