アメリカ陸軍が1980年代~2000年代に使用していた、ウッドランド迷彩BDUとALICE装備です。
私は元来過去に興味を持つ嗜好の人間でして、現用装備にはあまり関心が無く、米軍装備もノータッチだったのですが、米軍がウッドランドパターンからピクセルパターンへの更新をほぼ完了した今、完全に“過去”となったALICE装備に俄然興味が沸いてきた次第です。
画像は1980年代初期のALICE装備の組み合わせ例です。
「ALICE」とは「オール・パーパス・ライトウェイト・インディビジュアル・キャリング・イクウィップメント」すなわち「全目的軽量携帯個人装備」と言う意味で、ベトナム戦争中に開発されたM1967ナイロン装備の流れを汲む装備品です。
具体的には「M1967」及び「M1972」装備を、1973年に「ALICE」と改称・統合した物です。
1980年代初頭と言う事で、銃剣はM16A1用の「M7バヨネット」、ファーストエイドキットは「LC-1」、ホルスターはコルトM1911A1用の「M1916」をチョイスしてみました。
実際に着装した状態です。
「PASGTヘルメット」、通称フリッツヘルメットとウッドランド迷彩BDUにM16A1アサルトライフルの組み合わせは1983年のグレナダ侵攻「アージェント・フューリー作戦」で見られた装備例です。
この時期だと、まだ「PASGTボディアーマー」は普及しておらず、BDUに直接ALICE装備を装着した兵士が多く見られます。
こちらは1980年代中期頃の一般的な米陸軍兵士の装備例です。
PASGTボディアーマーを着込んだ上からALICE装備を装着しています。
M16A1は1980年代末まで使用例が見られます。
PASGTボディアーマーは日本ではM1ボディアーマーの名称でも良く知られています。
丁度、M2ヘルメットのようにコレクター間で呼ばれる便宜的な呼称ですが、実際にはそのような呼称がなされる理由がよくわからず、出所不明な名称です。
画像の装備例ではM17ガスマスクバッグを装備していませんが、通常は装備するのが一般的です。
夏季を想定して、BDUの袖はロールアップしています。
画像では黒革製のスピードレースコンバットブーツのレプリカを履いていますが、実際に採用されたのは1980年代後半からで、この時期だと本来なら一般的な鳩目に靴紐を通すタイプの黒革コンバットブーツが使われています。
こちらは1980年代後半のALICE装備の組み立て例です。
メインウェポンに「M16A2アサルトライフル」、サイドアームに「M9ピストル」を想定しています。
M16A2に合わせて銃剣は「M9バヨネット」、M9を収納するビアンキ製「M12ホルスター」、ファーストエイドキットポーチは容量の増した「LC-2」タイプを装備しています。
ウッドランドBDUにALICE装備を着込んだ、軽装備の状態です。
基本的にボディアーマーは常に装備する物とされていますが、訓練時や熱帯地域等、状況に応じてこのような軽装備の場合もあります。
コンパスポーチは、コンパス収納時はサスペンダーに装着し、包帯を収納した際はピストルベルトに装着します。
M16A2にはコルト社製専用スコープのトイガン用モデル品を装着しています。
このスコープは4倍率で、コンパクトでかさばりませんが視野が狭く暗い為、実用性はあまり高くないようです。
PASGTボディアーマーを着装した、1980年代後半の米陸軍兵士です。
このボディアーマーはイーグルフォース製のレプリカ品で、出来は正直よくありませんが、サバイバルゲーム・ユースには軽くて便利です。
ボディアーマーはかさばりますが、アーマーの上にピストルベルトが乗るような位置に装備を調整してある為、安定して動きやすい状態に出来ました。
M16A2アサルトライフルの立射姿勢です。
M16A2アサルトライフルは1982年12月に制式採用されましたが、実際の配備は、1984年3月に米海兵隊から開始され、1990年代初頭に完全更新されました。
M9はコルトM1911A1にかわって1985年に採用されました。
M16A2アサルトライフルの膝射姿勢です。
実物だとボディアーマーの肩パッドが干渉する所ですが、柔らかいウレタンパッドのレプリカ品だと、わりあい動きやすく銃を構えるのにも不自由しません。
マガジンチェンジの様子です。
ALICE装備のマガジンポーチはプラ製のリリースバックルのおかげで、マガジンの取り出しは楽にできます。
ただ、蓋を閉める際に慣れていないとバックルを所定の位置に差し込めずに閉めそこなうことがあるので注意が必要です。
M16A2アサルトライフルの伏射姿勢です。
こちらも、レプリカ品のボディアーマーならではの理由で構えやすいです。
実物だと襟首の防弾パッドがフリッツヘルメットの後頭部に干渉して、伏せの姿勢が取りづらいです。