中国人民解放軍の「78式背嚢」です。
名称のとおり1970年代後半に採用された装備のようで、1979年の中越戦争や、その後の中越国境紛争で使用されているのが確認できます。
それまでは、折りたたんだ毛布類を板紐で縛った物を背負ったり、ベトナム戦争で北ベトナム軍への援助物資として送られたリュックサック型背嚢がありましたが、それらと比べると容量がかなりあり、多くの荷物を詰め込めます。
内部はゴム引き布で防水処理されており、一説には「空にした背嚢を浮き袋にして渡河した」とも聞きます。
更に内部にも板紐が縫い付けられていますが、用途は不明です。
素材はゴム引きされた化繊のようで、軽くて柔らかいですが丈夫にできています。
地面に広げて撮影しましたが、かなり柔らかいため、おりたたんで小さく丸めることもできます。
綺麗な四角形を維持するにはよほど綺麗に荷物をたたんで詰め込まなければ無理ですので、撮影時には画像のように中にダンボール箱を入れて形状を維持しています。
ショルダーハーネスは背嚢にしっかり縫い付けられており、重量物の運搬にも不安を感じません。
ショルダーハーネスのサイズ調節金具の様子です。
ショルダーハーネスの片方のみ、クイックリリース式バックルが設けてあります。
ちょうど米軍のM1956マガジンポーチのように簡単に外す事ができ、負傷者への対応等を考慮しているのがわかります。
人民解放軍装備は、見た目の安っぽさに反して実戦的な作りをしている事が、こういう部分からも理解できます。
ショルダーハーネス中央には、身体中央で結ぶ為の板紐が付いています。
重量がかかる肩の部分は特に幅と厚みを考慮した作りになっており、さらに重量分散のため板紐が追加されています。
背嚢の蓋部分は板紐と金具で閉じるようになっています。
背嚢底部は板紐が全面縫い付けられており、強度・耐久性を考慮した作りです。
背嚢の中央にはショベルを取り付けるループがあります。
実際の記録映像では、必ずしもショベルを取り付けて運用しているわけではなくナップザックのように背負っていたりもしますが、やはりショベルと組み合わせたほうが軍用品らしくて格好いいと思います。
中国人民解放軍の携帯ショベルです。
このモデルは「58式軍鍬」と言う名称で、現在も人民解放軍で使われています。
ベトナム戦争では援助物資として送られ、ベトナム人民軍では現在でも同型の物が使用されています。
中国本土のインターネットでは「老式工兵鍬」の名称で市販されており、日本でも稀に流通しています。
78式背嚢を背負った状態です。
正面の紐を縛る事で背嚢を安定させます。
78式背嚢の正面に縫い付けてあるホルダーを使い、携帯ショベルを装着しています。
78式背嚢には側面にもループが付いており、紐等を使って追加で物資を括り付けたり出来るようです。
軍装品コレクションとしてはもちろんですが、単純に大容量のリュックサックとしても割りと使い勝手の良いアイテムで、少なめの装備品ならサバイバルゲーム用品一式を詰め込んで持ち運びできるので便利です。