中国人民解放軍の「56式自動歩槍(自動小銃)」の電動ガンです。
リアルソード社から発売されているこの商品は、一説には実銃と同じ製造ラインで作られているとも言われ、外装は無可動実銃と比べても区別が付かない程リアルとのレビューを見たことがあります。
「56式自動歩槍」は、ソ連からの技術供与に基づく「AK-47」のライセンス生産品です。
中国での製造にあたり、ほぼフルコピーのモデルと、折りたたみ式のスパイクバヨネットを追加したモデルが並行して生産・配備されています。
また、ソ連の「AKS-47」に相当する折り畳みストックタイプの「56-1式」も開発されました。
56式小銃は、当初ソ連のAK-47と同じく切削加工で作られた削りだしフレームでしたが、1960年代にはプレスフレームの改良版が登場しています。
時期的にはソ連との関係が悪化し、技術供与が断絶していたため、入手したAKMを参考に中国側で独自に改良を加えた物と推測できます。
プレスフレーム・モデルの正確な登場時期は不明ですが、ベトナム戦争最後の年、1975年のサイゴン陥落時に撮影された写真で、存在が確認出来ます。
リアルソードの56式小銃は、実銃の現行生産品(おそらく輸出モデル)をモデルアップしたようで、プレスフレームとなっています。
本家イズマッシュ製AKシリーズでは木部は合板製ですが、中国製では単材に変更されています。
リアルソードのストックも、実銃同様の木製です。
木製部品は赤みの強いニス仕上げで、軍用量産品らしい武骨な質感が良い風合いを感じさせます。
バットストックは鉄製で、黒染め仕上げです。
バットストックのメンテナンスキット収納部分は、実銃と同じ仕組みで実際に使用出来ます。
セレクターにはアルファベットの刻印があります。
フルオートは「L」表示位置です。(“連”の英訳)
セミオートは「D」表示位置です。(“単”の英訳)
56式小銃の初期型は漢字の刻印だったようですが、ベトナム戦争当時の画像では、既に英文刻印の物が確認出来ます。
ちなみに、かつてトイガンメーカー「FTC」から販売されていたBV式フルオート・ガスガンは削り出しフレーム、漢字刻印モデルでした。
フロント・スリングスイベルは、AK-47と同じ位置にあります。
丸みを帯びた形状は56式の特徴です。
リア・スリングスイベルです。
削り出しフレームではAK-47と同じ位置にあったスリング金具は、プレスフレームではストック下部に移設されました。(AKMと同じ位置です)
チャージングハンドルは白銀色で、AK-47と同じ仕様です。
チャージングハンドルは目一杯引いて画像くらいの位置までで、引ける距離は短いです。
開口部の中にHOP調節レバーがあります。
各社AK系電動ガン同様、東京マルイ製品のコピーです。
トップカバーを外すと、バッテリー収納スペースがあります。
東京マルイ製品のコピーらしく、スティックバッテリー対応です。
フォアストックも木製で、ニス仕上げによる独特の色味・艶が格好良いです。
生産された56式小銃の多くは、中国製独自のアレンジとして折り畳み式のスパイクバヨネットが装備されています。
フォアストック下部には、バヨネットが収まるよう、溝が彫られています。
ソ連製の合板と違い、単材で出来ている中国・ノリンコ製の特徴が見て取れます。
2本の放熱用スリットは、ストック下部にのみ彫られています。
フロント周りは、スパイクバヨネット装備の為、オリジナルのAK-47とだいぶ印象が異なります。
56式独自のメカニカルな外観が魅力です。
ソ連製と違い、フロントサイトポストは円形で、真上にサイト調節用の穴が開いています。
この構造は中国製各種小火器に共通した特徴でもあります。
リアサイトはタンジェント型で、目盛にはホワイトが塗られています。
実銃同様の頑丈な作りで、不用意にぶつけたりしてもずれたり外れたりする事はありません。
付属のスプリング給弾式ノーマルマガジンです。
油紙に包まれた状態で梱包してあり、実銃のようなリアル感があります。
マガジン外装はスチールプレス製で黒染め仕上げです。
持ってみるとガンオイルのにおいが漂います。
黒染めされたスチール製の外装は大変リアルな反面、こまめにオイルで手入れしておかないと簡単に赤錆が浮いてくるのが玉にキズです。
給弾口の構造は各社AK系電動ガンシリーズに共通の、東京マルイ製品のコピー仕様です。
試しに東京マルイ製マガジンの装着を試みてみましたが、加工しないとポン付けは無理です。
サバイバルゲームでストレス無く使えるよう、別売りの500連マガジンも購入しました。
リアルソード製品は流通があまり安定しておらず、予備マガジンも入手できるタイミングが限られます。
あらかじめ予想される事態だったので、実は銃本体よりも先に予備マガジンを確保しておきました。
現在まで実用した限りでは、海外製品にありがちなマガジンの不具合は一切無く、快調に作動しております。
給弾口とゼンマイ部分以外は、ノーマル・多弾マグ共に外観は同じです。
56式小銃のマガジンはソ連製と異なり、マガジン後部のプレスではみ出した鉄板部分がなく、外観での区別は容易です。
リアルソードの56式小銃にはスパイクバヨネットが付属しています。
スパイクバヨネットは基部を引っ張って回すと展開できます。
スパイクバヨネットは軟質樹脂製で柔軟性があり、画像のようにぐにゃりと曲がり安全面の考慮が見られます。
フォアストック下部には、バヨネットが綺麗に収まるように溝が彫ってあります。
バヨネットはネジ止め式なので、回すと取り外せます。
樹脂製ながら銀色の成形色なので、遠目に見る分にはあまり違和感はありません。
とはいえ、よりリアルを追求したいので、別売りのアルミ製バヨネットを購入しました。
内容物は本体と説明書です。
梱包はしっかりしています。
付属の取扱説明書です。
アルミ製バヨネットは、金属の質感が良いですね。
バヨネットには、ネジ止め調整用ワッシャが付属しています。
56式小銃のスパイクバヨネットを展開した状態です。
このスパイクバヨネットは、制式名称は「56式刺刀」と言い、取り外した際に携行する為の革製の鞘もあります。(通常、取り外せる構造ではありませんが…)
スパイクバヨネットは独特の迫力があって格好良いです。
中国人民解放軍の軍事パレードでは、銃剣を煌めかせて足並みを揃える勇壮なシーンが見られます。
もっとも、海外での評価は、「白兵戦での実用性は低い、もしくは皆無」という物が多いようです。
「56式自動歩槍背帯」すなわちスリングベルトです。
このスリングベルトは1960年代製に多く見られる、カーキ色の個体です。
なお、1970年代に入ると鮮やかな緑色の物が多くなります。
一般に流通しているスリング両端が革製ベロの物は「56式半自動歩槍(中国製SKSカービン)」用で、AK用は革ベロは片側のみです。
56式小銃専用スリングの革タブは幅が細く、スリングスイベルに綺麗に通せます。
56式小銃用はリア・スリングスイベルにはベルト部分を通す作りで、ソ連製AK-47のスリングと同じ仕様です。
56式小銃専用スリング装着状態です。
なお、両端が革タブの「56半」用スリングも、人民解放軍では普通に併用されているのが資料映像から確認できます。
要するに、「どちらも有り」という事ですね。
リアルソード製56式小銃の外箱です。
さすがはフルメタルモデル、重量感たっぷりでコレクションとしては最高な一方、サバイバルゲームのツールとしては体力錬成の必要性を痛感する代物です。
電動ガンとしての実射性能は、東京マルイ製スタンダード電動ガンと同等レベルで、箱出し無調整でも充分使える性能です。
メタルフレームの副次効果としては、軋みが全く無い為、作動時の振動やブレが生じ難い事から集弾性は良好です。
一方で重量からくる射撃姿勢の維持の辛さ故に照準がぶれるという、人為的な理由で性能を発揮できない点も実感しています。
付属の取扱説明書です。
メンテナンス・ツール等、付属品も豊富です。
メンテナンスオイル・ボトルは中身は入っていませんでした。
購入した銃は未使用新品なので、はじめからオイルは付属しない仕様のようです。
マズルパーツが2種類付属していました。
ノーマルマガジン用のローダーも付属しています。
形状は東京マルイ製品と同型です。
オレンジ色のマズルキャップも付属しています。
海外製品だと、マズルキャップの付属しない製品のほうが多いので、好印象ですね。
キャップを装着した状態です。
事故防止のためにも、銃口管理は大事ですね。
付属のメンテナンスツールケースは、実銃用に似せた作りで、サイズもほぼ同じです。
ケースの中身はトイガン用のツールが入っています。
この工具はねじ回し&照準調節用です。
プラスドライバーの使い方です。
フロントサイトの調整の様子です。
まずフロントサイトの高さで照準をゼロセットし、射撃距離に応じてリアサイトを操作するのがAK使用時のコツです。