ベトナム製フリッツヘルメット ~ 現用ベトナム軍 A2ヘルメット (実物)

現用ベトナム人民軍で使用されている「A2ヘルメット」です。

画像は陸軍の実物官給品です。

 

 

「A2ヘルメット」は「K07迷彩服」の採用と同時期に配備されはじめた装備で、アメリカ軍の「PASGTヘルメット」を模倣したデザインです。

 

 

このヘルメットはK07迷彩柄のヘルメットカバーが付いています。

ヘルメット中央には、ムゥ・コーイ(防暑帽)に使われている物と同じ金属製帽章が付けられています。

 

 

このヘルメットにはK07迷彩服と共生地のヘルメット・カバーが使われていますが、2010年代中盤あたりから、ヘルメットに直接迷彩ペイントを施されたタイプが見られるようになってきました。

 

 

上から見ると、形状はPASGTヘルメットのコピーであることが良くわかります。

 

 

内装は「ムゥ・コーイ(サンヘルメット)」と比べると、はるかに複雑で凝った作りです。

顎紐は3点支持スタイルの近代的な物です。

 

 

3点支持スタイルの顎紐には、チンカップが付属しており、ストラップはベルクロとドットボタンでしっかりと保持出来ます。

 

 

右側の顎紐内側の形状です。

 

 

ハンモック内側、鉢巻き部分の後頭部の内装です。

ナイロン製の板布をプラスチック金具で束ね、金属金具で帽体にがっちり固定してあります。

 

 

鉢巻き部分は合成皮革製で汗止め処理がされています。

 

 

鉢巻き部分には、軍用正規品を示すメーカー・タグが縫い付けてあります。

 

 

顎紐はナイロン製で、連結金具にも樹脂製品が多用された、現代的な作りです。

 

 

外見上の特徴として、顎を覆うカップが付いています。

 

 

右頬側に、留め具が来るように配置されています。

 

 

留め具は、ベルクロとドットボタンの二段構えの構造で、しっかり固定出来ます。

 

 

チン・カップは軟質樹脂製で、柔らかいです。

 

 

K07迷彩ヘルメット・カバーです。

ヘルメット形状に合わせて複数の布を縫い合わせてあり、フィット感抜群です。

 

 

ヘルメット・カバーの内側は黄緑色で、布地はK07迷彩服と同じ物と思われます。

これは陸軍向けの物ですが、海軍や空軍向けはそれぞれの迷彩服に合わせたヘルメット・カバーや迷彩塗装が施されています。

 

 

ヘルメット・カバー正面には、あらかじめ帽章のビスが通せるように通し穴が縫製されてあります。

 

 

A2ヘルメットに取り付けられている帽章は、ムゥ・コーイと同じ物です。

 

 

ヘルメット・カバーを外した状態です。

帽体の素材はごく普通のプラスチック製で、防弾能力はありません。

 

 

ヘルメットには内装を固定しているビスの頭が露出しています。

正面には金属帽章を取り付けるための穴があけられています。

 

 

私は実物を入手した当初、訓練やパレード用の物だと思っていましたが、知識を得た結果、実戦を想定した物だと判明しました。

 

 

位置づけとしては、既存のムゥ・コーイよりも頑丈で、戦闘向きのヘッドギアとして配備されたもののようで、外見のみヘルメットの体裁を持っているものの、初めから防弾・抗弾機能は考慮されていないとの事です。

なまじ形状がPASGTヘルメットに似ているため違和感がありますが、ムゥ・コーイの上位互換と考えれば納得の結論と言えます。

 

 

手にしてみると顕著ですが、帽体の厚みはサバイバルゲーム用レプリカヘルメットと大差ない薄さです。

これでも、紙を接着剤でこねてプレス成型したムゥ・コーイと比べれば丈夫なので、装備としては進化しているといえそうです。

 

 

結果的に通気性や重量の面ではムゥ・コーイよりも負担があるのか、ベトナム人民軍の映像資料では現在でも両者が併用されています。

 

 

上から見た様子です。

表面は、わずかにざらざらした造形で、光の反射を抑えたミリタリー感ある質感です。

実際の訓練映像では、表面がツルツルで成形色が濃緑色のバリエーションも確認できます。

 

 

内装の様子です。

 

 

フチの厚みから、金型で成型されたプラスチック製品だとわかります。

 

 

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