現用ベトナム軍で作業服兼通常勤務服として使用されている「K16軍服」です。
基本的に2003年に採用された「K03軍服」を、2010年代規格に合わせて小変更を加えたマイナーチェンジモデルなので、外見は殆ど変化ありません。
原型となった「K03軍服」は、ベトナム人民軍建軍以来の「K58軍服」のデザインを踏襲した物で、兵士の普段着、作業服、戦闘服として広く着用されています。
襟は開襟スタイルです。
原型の「K58軍服」以来の、第一ボタンの無い形状で、折り襟で着用する事は出来ません。
「K03」との違いのひとつ、襟章取り付けようのホールが二か所設けてあります。
従来の軍服では兵士個人が手縫いで引っ掛けループを作っていたので、便利になった点です。
袖の形状はシンプルなワイシャツスタイルです。
カフスボタンは1個設けてあります。
胸ポケットはボタン留め式です。
プリーツは単純にデザイン上の物で容量確保の機能はありません。
前合わせはボタン留めで、ボタンは5個あります。
ジャケットの裏地の様子です。
士兵用の「K07迷彩服」と比べると、やや薄手に出来ており、熱地向けの印象です。
ジャケット裏面に各種タグが縫い付けてあります。
この個体は2018年製と記載されています。
ジャケット背面の形状です。
「K03軍服」の現物が手元にないので厳密な比較は出来ませんが、話に聞く限りでは、「K16軍服」は「K03」より青みが強くなっているとの事です。
裁断はいたってシンプルで、「K58」以来のデザインを受け継いでいます。
画像は襟章を取り付けた状態です。
昔ながらのベトナム兵士のイメージそのままの印象です。
襟章は金属星章が金色の「K08襟章」の、初期に生産されたロットです。
通常は兵科章付きの複合型階級章がよく用いられていますが、画像の物は階級のみの襟章です。
K16軍服のズボンです。
ジャケット同様、形状は「K58」以来のシンプルなチノパンツ・スタイルです。
ズボンの裾には、バタつかないように纏める為のボタンが取り付けてあります。
ズボンのウエスト周りの形状は、「K03」と印象の異なる部分です。
前合わせは、「K03」ではボタン留めでしたが、「K16」ではボタンに加え、金属フックが追加されています。
ズボンの裏地の様子です。
表裏共に同じ色調です。
裏面にメーカー・タグが縫い付けてあります。
ズボン背面の形状です。
デザインは「K58」から殆ど変化はありません。
ズボン背面には、尻ポケットが1個設けてあります。
スリットポケットとボタンのデザインも昔ながらの形状を踏襲しています。
ポケット内部に表地との色の違いはありません。
ズボンの側面形状です。
カーゴポケットや膝当ての無い、大変シンプルな作りです。
ズボン裾のボタンの様子です。
「K03軍服」とは、ウエストのサイズ調節機構の有無で識別できます。
ズボン用ベルトを通すためのループに沿って、ウエストのサイズを微調整する金具が設けてあります。
金属製の爪バックルで位置を固定する仕組みで、「K17迷彩服」と同じ作りです。
ズボン両側の物入れの様子です。
全体的に見て、作業服としても普段着としても無難な作りで、ベトナムの気候に合った良い軍服だと思います。