現用ベトナム人民軍の装備品のひとつ「米袋(兵糧袋)」です。
ベトナム戦争当時からほぼデザインの変更なく、現在も生産・支給が行われています。
米袋は、米が主食のアジアの軍隊ならではの装備品です。
同様の装備は中国人民解放軍でも使用されていました。
身近な例では、旧日本軍では米袋という装備こそありませんでしたが、配給された米は官給品の靴下に詰めて携行していました。
米食主体の軍隊は東アジア、東南アジアに多く存在しますが、それぞれの国の装備品事情にも興味津々です。
全体の構造は一枚の長い布を斜めに巻くように縫って、筒状に端部を縫い付けてあります。
袋の口はねじって結ぶという実にシンプルな作りです。
細長い筒状の袋の、片方が開口部で、もう片方は完全に縫い閉じられています。
米袋の収納口は片方の端にあります。
フチに製造メーカーのタグが付いているのが、現用装備らしいポイントです。
色は現用ベトナム軍のTシャツや作業服、防暑帽と同じ色味です。
私は勝手に「ベトナムグリーン」と呼んでいます。
米袋の全長は150㎝です。
片方の端を縫い留めてある完全な筒状で、米を運ぶのに充分な容量があります。
ベトナム戦争当時の米袋と比較して見ました。
基本的に形状は全く同じです。
旧式モデルと違う点として、現用モデルは軍用正規品を示すタグが縫い付けてあります。
画像の米袋は、両方ともベトナム製軍用実物です。
どちらも素材は綿布製のようです。
ライトカーキ色とライトグリーン色という見た目の違いが目につきますが、ベトナム戦時モデルにもカーキとグリーンの両方のモデルが存在した為、現用品は、戦時モデルの代用品として流用できます。
米袋の使用状態です。
実際に分量にして12合ほどのお米を入れてみました。
袋の口は単純にひねって結んでいます。
中身入りの米袋は、ずっしりと重いです。
ベトナム人民軍の米袋の携行方法は、資料映像を見る限りでは、現在は首とリュックサックの間に引っ掛けるように吊るしたり、左肩に吊るし、右肩に銃を担ぐなどの扱いが見られます。
ベトナム戦争中のような、輪っかにしてたすき掛け、というスタイルは見たことがありません。
もちろん、携行装備の量次第で様々な運用手段があるでしょうから、「正しい・間違い」という事ではなく、確認できたスタイルがこんな感じ、という事で参考にして頂ければ幸いです。