中国人民解放軍の、空降兵(空挺部隊)向けに開発された、「65式傘兵头盔(ヘルメット)」です。
画像は、実物デッドストック品です。
「65式傘兵ヘルメット」は、名称のとおり1965年頃に採用されたと思われ、1960年代から人民解放軍空軍の傘兵(落下傘部隊)で使われていました。
空降部隊設立当初は、ソ連空挺軍の物に良く似たクッション材入りの帽子(戦車帽に似たデザインでカーキ色の物)が使われており、「65式傘兵ヘルメット」の採用後も、訓練等で併用されていたようです。
内装は革製の汗止めやハンモック構造等、なかなか凝った作りをしています。
頭部に接触する部分はクッション性のある作りになっており、保護ヘルメットとしての細かな工夫が見られます。
ヘルメット本体はグラスファイバー製です。
実際に触ってみた質感は、ごくわずかに弾力のあるプラスチックと言う感じです。
「65式傘兵ヘルメット」の用途は落下傘降下時の着地の衝撃に対する頭部の保護が目的で、外観から連想される防弾・抗弾性能は一切考慮されておりません。
顎紐は若干薄手のナイロン製で、両側にある金具でサイズ調整出来ます。
顎部分は二枚に分かれており、ヘルメットが安定するように作られています。
顎紐の調節には、引っ張りやすいようにタブがあり、操作性にも配慮が見られます。
ヘルメットには取り外し式の耳当てが付属しており、落下傘降下時に保護目的で着用し、降下後に取り外して戦闘に移行する物と推測されます。
耳当ての着脱はドットボタンで行います。
耳当てはスポンジ質のクッション材をナイロン生地でくるんで縫製してあり、下部にはナイロン製の顎紐があり、これを結ぶことで耳・頬部分を覆い、保護する事が出来ます。
耳当てには穴が開けてあり、音が聞き取りやすいよう配慮されています。
ヘルメットに耳当てを装着した、降下時の状態です。
耐衝撃用と言うこともあり、帽体は厚みがあります。
スチールヘルメットのようなずっしりとした重みはありませんが、民生品の安全ヘルメットと比べると、明らかに重いです。
内装がクッション性のある作りなので、被り心地は良好です。
降下後、耳当てを取り外した状態です。
ヘルメットの外見は米軍の「M1ヘルメット」に似た印象を受けます。
人民解放軍の代表的スチールヘルメット「GK-80A」とは明らかに異なる形状です。
1991年頃には、マイナーチェンジ版の「91式傘兵ヘルメット」が採用されますが、完全更新されたわけではなく、在庫のある限りは運用は続けられていたようで、混在している様子が資料画像から確認できます。