中国人民解放軍(略称:PLA)の「07式荒漠迷彩作戦服」です。
荒漠迷彩服は、陸軍の冬季被服および荒野・砂漠地帯向けに支給されている物です。
PLAには軍種ごとに多くの迷彩柄が使われていますが、この迷彩服は冬季用という運用上、他の迷彩服とは被服のデザインも異なり、主に遮風性を重視した防寒構造が特徴です。
前合わせ部分は遮風性を考慮し、ジッパー式になっています。
他の迷彩服がシンプルなボタン式なのと比べると、外見上の違いが興味深いです。
両胸には貼り付け式ポケットが設けられています。
雨蓋は2個のボタンで閉じられます。
腰には内蔵式ポケットが設けられています。
このあたりのデザインは、各種「07式」を踏襲しています。
左袖上腕部には小ポケットと、その上に臂章取り付け用のループが設けられています。
「07式夏季迷彩服」ではボタン留めでしたが、こちらはベルクロ式になっています。
右袖上腕部には、臂章取り付け用のループが設けられています。
基本的に臂章はこちら側のループを使って取り付けます。
手首部分はゴム内蔵で風を通さない構造です。
更にベルクロタブも追加されており、密閉性を高めてあります。
荒漠迷彩服の背面形状です。
迷彩服の裾には絞り紐が内蔵されており、遮風性を高める工夫がなされています。
前合わせはジッパー式で、その上にかぶさるようにドットボタン留め式になっています。
ウエストには絞り紐が内蔵されています。
前合わせのジッパーは上下方向に2個用意されているのが特徴です。
上方向のジッパーは襟まで届き、下方向のジッパーは裾まで閉め切ることが出来ます。
下ジッパーを完全に閉じると戦闘行動時に動きに干渉するため、画像くらいの位置でとどめておくと動きやすくてちょうど良いです。
荒漠迷彩服の内側は白地です。
内蔵ポケットの袋部分が見えます。
ウエスト内蔵紐の細部です。
ウエスト紐を引き絞ると、画像のようになります。
ウエストを絞ると体にフィットするので見た目にスマートになる他、風を通さず保温性が増す効果があります。
裾の絞り紐の伸縮範囲は広く、かなり身体に密着した状態にまで出来ます。
ウエストを絞り、前合わせを完全に閉じて防寒効果を高めた状態です。
基本はインナーで保温効果を高める運用です。
本格的な寒冷地向けには、毛皮の内張りのある防寒被服や防寒靴等の専用装備が支給されます。
戦闘や軽作業を想定した、動きやすい状態です。
布地自体はそんなに厚みは無いため、着用時期は特に選ばない印象です。
ジャケットと比べると、他の07式夏季迷彩服と変わらず、シンプルなカーゴパンツ・スタイルです。
ウエスト両側面にスリット式ポケットがあります。
ウエストにはベルトループが設けられています。
ボタンは荒漠迷彩柄に合わせた成形色の樹脂製です。
ズボンの端末はベルクロ式タブで絞ることが出来ます。
ズボンの内側にはインナーポケットの袋部分が見えます。
迷彩布地の裏側は白色です。
裏側には「07式荒漠迷彩冬季作訓服・2014年製」と表記されたタグが縫い付けられています。
ズボン背面の形状です。
背面はシンプルな物で、米軍BDUのような尻ポケットも一切ありません。
足首のベルクロ調節タブの様子がわかると思います。
ズボンを側面から見た所です。
ウエストのベルトループ部分です。
スリットポケット内側は白地です。
カーゴポケットはプリーツがあり、容量が増えるよう工夫されています。
雨蓋は2個のボタンで開閉出来ます。
足首はベルクロ式タブを使い、絞ることができます。
この構造は「07式」各種迷彩服全てに共通した特徴です。
米軍BDUの紐で絞るタイプやPLA旧式装備のボタン留めタイプに比べ、かなり使いやすく感じられます。
「07式」に規定通りの徽章を全て取り付けた状態です。
「07式領章 (襟章)」と「15式胸章」を取り付けた状態です。
襟は、報道画像でしばしば見られる着こなしで、ジッパーを完全に閉じたうえで折り襟状態にしています。
襟章は階級章で、画像の階級は「上尉」です。(日本軍に例えると“大尉”に相当します)
「15式胸章」は、それまでの「07式」にかわり2015年に制式化された現用徽章です。
右袖上腕部には、「15式臂章」を取り付けています。
こちらも現用徽章で、「07式」では軍区ごとに臂章が用意されていましたが、「15式」では「陸軍臂章」に統一・変更されました。
荒漠迷彩服を着用した状態です。
足元は、通常勤務や軽作業で多用されている「99式作訓靴(トレーニングシューズ)」を合わせてみました。
冬季服と言っても、布地は自衛隊の迷彩服と同程度の厚みで、四季を問わず運用できます。