現用ベトナム軍 キャンバスシューズ・鳩目5個タイプ (実物)

現用ベトナム軍の戦闘靴です。

いわゆるズック靴スタイルで、簡単な作りですが軽くて動きやすいです。

 

 

ベトナム製のズック靴はゴム底が黒色で布地はオリーブグリーンです。

これは主に陸軍用の特徴で、海軍向けは青色だったり、グリーンの色調にも工場や時期によるロット違いがあります。

 

 

私の所有するモデルは、ベトナム戦争当時からの仕様を強く引き継いだ時期の物で、現行生産ロットといくつかの違いがあります。

 

 

現在生産されている物は、くるぶし丈が僅かに長くなり、それに伴い鳩目が5個から6個に増加、土踏まず側のソール側面に、ジャングルブーツのような水抜き穴が2箇所設けてあります。

また、布地の色も青々とした緑色に変更されています。(現行生産品の画像は、ネットより拝借)

 

 

適度な厚みのキャンバス製の靴本体に、補強縫いで強度を持たせてあります。

 

 

靴には中敷きを入れて使用しています。

履き心地に直結するので、実用するなら中敷きは必須ですね。

 

 

ベトナム人民軍では通常、一人当たり2足が支給されており、使わないほうの靴は予備として、行軍時にはリュックサックの中に収納しています。

 

 

前述したように、現在見られるベトナム人民軍のキャンバスシューズは靴紐の鳩目が6個のタイプですが、いつ頃仕様変更されたのか、あるいは製造工場によるバージョン違いなのか、正確な所は不明です。

 

 

同じく、現行品に見られる水抜き穴も、いつから設けられたものかは不明で、自身の知識不足を痛感します。

 

 

つま先はゴム製で、中国製やフランス製のキャンバスシューズに通じるデザインです。

つま先中央に継ぎ目があるのがベトナム製独自の外見上の特徴となっています。

 

 

中国人民解放軍の「解放靴」と比べ、靴底のトレッドパターンは深く、グリップ力は高そうです。

 

 

ソールの形状は、ベトナム戦争中の中国からの援助物資の戦闘靴に酷似しており、強い影響を受けた事が推測されます。

 

 

靴底には製造メーカーのマークと靴のサイズ表記があります。

ベトナム人民軍のズック靴は、複数のメーカーで製造されているそうで、マークにも違いがありそうです。

 

 

中国製「軍輸靴」と比較してみました。

ベトナム戦争中、中国から送られた大量の援助物資は「援越装備」と呼ばれ、ベトナムの軍装規格に合わせて、自国の人民解放軍の装備とは異なるデザインの物を特別に製造していました。

 

 

戦闘靴も例に漏れず、ベトナムの地理に合わせて靴底のトレッドパターンをグリップ力の高い物とし、各部の補強を加えた「防刺型」と呼ばれる物で、人民解放軍の「解放靴」とは似て非なる輸出専用品です。

 

 

ベトナム製のキャンバスシューズは、中国製品を参考に製造されているようで、デザインが非常に似通っています。

 

 

キャンバス布の裁断や、ゴムの成形色など、似ている箇所は多いです。

 

 

靴紐の鳩目に斜めにかかる補強布も、共通点です。

 

 

靴底のパターン・形状はまさに完全模倣と言えます。

「解放靴」は日本の地下足袋にそっくりな浅いトレッドパターンなので、違いは一目瞭然です。

 

 

中国製解放靴の民生品ですが、代用になります。

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