ベトナム人民軍のビニール製装備ベルトです。
日本国内でも軍用実物が流通している(いた)数少ないベトナム軍装備のひとつです。
このベルトは現在でもベトナム人民軍で使用されています。
流石に主流はピストルベルトですが、将校の軽装時や、拳銃を携行する際に使われているのが確認できます。
厳密には若干形状に違いはあるそうですが、ベトナム戦争末期から存在しているアイテムで、特に1980年代にはベトナム人民軍装備ベルトとしては主流と言える程、当時の映像資料でも確認出来ます。
バックル正面には尖り星があしらわれています。
ベトナムらしい装飾です。
裏面から見ると、バックルの構造がよくわかります。
バックルは金属の板を折り曲げただけの実にシンプルな作りです。
反対側にはベルトの折り曲げ部分にひっかける金具があります。
ベルトのサイズ調節は、画像のようにベルトの折り曲げ位置で調整し、遊環で抑える構造です。
ビニール製ベルトには相応の厚みがあり、耐久性は十分です。
歴史的に考察すると、1970年代後半あたりから服の着こなしが変化してきたようで、上着の裾をズボンにたくしこまず、外に出すスタイルが一般化したため、その上に締める装備ベルトとして、軽量で丈夫な、付け外しのしやすいプレスバックル製の本装備が歓迎されたのではないかと推測しております。
ビニール製ベルトは製造過程で付いたと思われる、表面のモールドが目立ちます。
原料をローラーでプレスして延ばしたような感じです。
ベルトの全景です。
バックルの表面はなめらかで、光の反射具合が良い感じに精悍に見えます。
画像のように、フックに金具をひっかけるだけの単純な装着方法です。
モデルになったと思われる中国人民解放軍のビニール製「65式外腰帯」と比較してみました。
一見すると類似している両者ですが、バックルの構造は全く異なります。
ベルト部分も、ベトナム製は表面に繊維状の凸凹が見られます。
ベトナム製はビニール感が特に顕著で、表裏ともに質感は変わりません。
一方、中国製は、厚みがあり、裏面は目の詰まった繊維のような質感です。
重ねてみるとわかりますが、ベトナム製ベルトのほうがほんの少し、一回り位、幅が広いです。