ベトナム戦争当時の北ベトナム軍の装備ベルトです。
画像の物はサムズミリタリ屋製の複製品です。
装備品としては、北ベトナム軍の制式装備品と思われます。
北ベトナム軍の装備ベルトはいくつもバリエーションがありますが、このタイプは比較的初期の物ではないかと推測しております。
実用例としては、南ベトナム解放民族戦線(西側呼称における、いわゆる“ベトコン”)での使用が確認できます。
逆に、北ベトナム軍の明確な着用画像は見たことがありません。
ベルト自体の機能性からも、お世辞にも使い勝手の良い装備とは言い難い印象です。
戦時中のベトナム人民軍兵士も同様の感想を持ったのか、越境部隊では鹵獲した米軍のピストルベルトが重宝されたそうです。
ベルトのサイズ調節箇所は二か所あります。
ひとつは画像のように折り曲げたベルトを金属の枠で挟み固定する構造です。
もうひとつは一般的なコの字型の金具での調節構造です。
いずれもベルト部分の硬さの為、微調節に苦労しました。
ベルトのバックルはアルミ製のようです。
表面は艶消しで野戦で目立ちにくいのは好印象ですが、バックル自体が外れやすいのが気になります。
ベルト自体が脱落するわけではありませんが、プレート部分が互い違いにズレた状態になりがちです。
ピストルベルト型との比較です。
バックルは双方とも同じ物が使われていますが、ベルト部分はかたや厚手のコットン、かたや米軍スタイルの縞織ウェッブと、見た目の印象が随分と異なります。
ピストルベルト型の弾帯は、ベトナム戦争当時の画像でも頻繁に見られる装備で、作りの良さから推測するに中国製の援助物資の可能性が高いです。
私の所有する物は、購入した店舗にて軍用実物との説明でしたが、正直実物とレプリカの区別は私には困難です。
ベルトのサイズ調節機能やベルト自体の身体への馴染み具合等、あらゆる点においてピストルベルト型のほうが使いやすいです。
資料が少ないため多分に憶測を含みますが、装備ベルト自体が基本的に中国製援助物資であり、戦訓から米軍様式のベルトへの改善要求がベトナム側から中国側へ打診された結果、ピストルベルト型が開発・提供されたのではないかと推測されます。
ベトナム戦争当時の北ベトナム軍越境部隊の着装例です。
北ベトナムは公式には南ベトナムへ軍隊を派遣していない事になっていたので(公然の秘密というヤツ)、越境時に襟章や帽章等、関与を示す恐れのある物は全て捨てたそうで、越境部隊の呼称も「南部解放武装軍」という“北ベトナムとはかかわりのない存在”という主張でした。
装備は比較的軽装で済ませています。
実際の資料画像でも、戦闘時には軽装備で戦っていたようで、リュックサックに米袋等を担いだ重装備は、もっぱら徒歩行軍時の着装例が多いです。
マガジンポーチはソビエト連邦からの援助物資という設定で、ソ連軍極初期型AK用マガジンポーチを使用しています。
このマガジンポーチは、ソ連軍がAKを採用した当初制式化されたもので、予備マガジン5本と付属品(手入れ油缶、クリーニングツール)を収納出来ます。
戦闘服の上着の裾はズボンの中にたくし込むのがベトナム戦争当時の基本スタイルです。
ズボン用ベルトは、米軍のボックス型バックルベルトを鹵獲して使用しています。
これは、当時画像でも確認できる着用例です。
ベトナム戦争当時の北ベトナム軍の装備品の着こなしは、動きの邪魔にならないよう、なるべく背中側に装備品をまとめて、身体正面はフリーにしておくと「らしく」なります。(もっともらしく解説していますが、偉大なる先達者様方からの受け売りです)
武装は中国からの援助物資である「56式自動歩槍」です。
いわゆる中国製AK-47ですが、供与されていた各種アサルトライフルは北ベトナム軍内でも貴重な自動火器であり、南ベトナムへの南進部隊に優先して配備されていたようです。
また、画像ではマガジンポーチを装備していますが、AK-47の予備マガジンは常に不足気味で、バラ弾を適当な袋に入れて携行し、戦闘中に手持ちの銃を撃ちきったらその都度、弾を込め直していたという話もあります。
実際にサバイバルゲームで使用した実感としては、この装備ベルトは拡張性が無く、ベルト自体の素材が硬い分、着け心地はいまいちで、バックルが外れやすいのが気になりました。
ただ、使用感は別として特徴的なデザインがベトナムらしさを感じさせる、装備バリエーションのひとつとして押さえておきたいアイテムです。
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