テッパチ&ウソッパチ ~ 陸上自衛隊 66式鉄帽 (実物&PX品)

陸上自衛隊の「66式鉄帽」です。

1966年に採用されたこのヘルメットは、通称“テッパチ”と呼ばれ、陸・海・空三自衛隊において長らく使用された、自衛隊を代表するヘルメットです。

 

 

66式鉄帽は、米軍供与のM1ヘルメットの後継として開発されたヘルメットで、基本形状はM1ヘルメットを模倣しつつ、つばの部分を若干延長する等、日本独自の改修を加えたモデルです。

 

 

本品は実物中古放出品になります。

ちなみにヘルメットの顎紐は、官品ではただの板紐ですが、殆どの隊員はPX品のワンタッチ顎紐を自費購入して付け替えて使用していたようで、私もワンタッチ顎紐を取り付けています。

 

 

66式鉄帽本体です。

表面がざらつきのあるサンドブラスト塗装されているのがわかります。

 

 

第二次世界大戦当時のM1ヘルメットを参考に開発されているため、中帽のチンストラップで外帽を固定するように出来ています。

 

 

側面から見ると、鉄帽前部の傾斜の緩さがWW2モデルを彷彿とさせつつ、つばの部分が延長されているのがよくわかります。

 

 

後方から見ると、ほぼM1ヘルメットと変わらない印象です。

 

 

内装はM1ヘルメット同様、二重構造になっています。

自衛隊では中帽が浮くのを帽子する為、後ろ側を文房具のクリップで挟み固定する事がよく行われており、中古の中帽の程度の悪い物だと、クリップ固定されていた部分に裂けが入っていたりします。

 

 

66式鉄帽の外帽です。

中古品だとフチの部分の塗装が剥離して、銀色地肌が露出している物が多いです。

 

 

66式外帽・正面、背面です。

中帽のチンストラップが無いと、つばの長さがよくわかります。

 

 

66式外帽の内側です。

米軍では、外帽を洗面器代わりに使ったり、直接火にかけてなべ代わりにしていたようです。

自衛隊ではそのような事は無かったと思いますが…。

 

 

66式外帽の顎紐取り付け金具は可動式になっています。

中帽との干渉による擦り傷が目立ちますね。

結果、内側の錆防止プライマー塗装が見えるのが興味深いです。

 

 

外帽の刻印部分です。

ここを見ると一目瞭然ですが、実はこの66式鉄帽は航空自衛隊で使用されていたものです。

 

 

こちらは66式鉄帽の中帽です。

素材は米軍と違い、プラスチック製の一体成型品です。

 

 

米軍のM1ヘルメット・ライナーと比べると、素材の違いによる質感の差が特徴的です。

 

 

側面から見るとM1ヘルメット・ライナーに比べ被りが浅く見えますが、錯覚かもしれません。

 

 

背面から見た所では、米軍の物との違いはあまり感じられません。

 

 

真上から見ると、天頂部に成型時の湯口の跡が見えます。

プラスチック製ならではの特徴ですね。

 

 

内装は米軍のWW2タイプの模倣と思われます。

日本人向けに作られた装備品ですが、この内装はあまり配慮されていないようで、激しく首を振るような動作でぐらつきが気になります。

実際にサバイバルゲームで使ってみた感覚でも、フィット感はイマイチですね。

 

 

中帽の汗バンド部分は革製ではなく、ビニール質の人造皮革製です。

保存・手入れの手間を考えるとこの方が助かります。

 

 

こちらは66式鉄帽に、迷彩鉄帽覆いを被せた状態です。

通常、サバイバルゲームではこの状態で使用しています。

画像では、擬装効果を試行錯誤していた時期で、DIY店で購入した造花の草を使って擬装しています。

 

 

見た目はなかなか良かったのですが、想定戦場の植生に対して造花の緑が明るすぎたようで、後にすべて外してしまいました。

 

 

差し込む造花の種類に留意すれば、使える装備になりそうな手ごたえは感じます。

 

 

使用した鉄帽覆いは実物中古放出品ですが、かなりくたびれた一品で、ふちの部分のほつれや擦れが目立ちます。

 

 

鉄帽覆い使用時の内装の状態です。

本来、自衛隊の鉄帽覆いは外帽と中帽をまとめて覆いかぶせる造りらしいのですが、実際には米軍のように外帽と中帽で挟み込むように使用されることが殆どでした。

訓練や作業時に、中帽のみで着用する事が広く行われていた為と思われますが、結果、鉄帽覆いと擬装網を挟み込んだ分、外帽と中帽が浮いてしまうため、前述したように鉄帽後部をクリップ止めする方法が普及したようです。

 

 

画像の66式外帽は駐屯地売店等で販売されていた、通称「ウソッパチ」と呼ばれたプラスチック製のものです。

鉄帽覆いを被せてしまうと鉄帽と区別がつかないため、鉄帽を使わなくても良い時には自衛隊員の間で愛用されていたと聞きます。

 

 

近くで見るとプラ製であることがよくわかります。

私も、鉄帽覆い使用時にはウソッパチを使っていますが、強風で飛ばされる位軽いため、作業帽と大差なく楽に着用できます。

 

 

66式鉄帽の着用状況です。

鉄帽は各国のスチールヘルメットと大差ない重量ですが、内装の作りが激しい動きに不向き、というか日本人の頭の形に合っていない為、ぐらつくのが気になります。

 

 

66式鉄帽に鉄帽覆いと擬装網、擬装バンドを装着して着用した状態です。

旧迷彩柄のこの装備が、いかにも昭和の自衛隊らしくて私は好きです。

64式小銃に一番似合う装備と言っても過言ではないでしょう。

 

 

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