帝国陸海軍の軍装ゲーマーにとってのメインウェポン「三八式歩兵銃」です。
KTW製の本銃は実射性能においてダントツで、実戦派ゲーマーにとって頼りになるトイガンですが、同時に10万円越えと高額なので高値の花でもあります。
私はコツコツ貯蓄した上で、ようやく本銃を手にする事が出来ました。
入手したのは製造第6ロット品で、主要パーツが装金属化され、それまでの物より強度と質感が増した品です。
機関部他、艶を抑えた塗装で品があり、木製ストックも美しく、価格に見合った高級感が素晴らしいです。
銃床(ストック)は出荷時には無垢の状態なので、自分好みに仕上げるのが楽しみ。
私は付属のワトコ油で仕上げました。
何度も繰り返し塗り、ゲームで使っていく内に深みのある良い色合いになりました。
照尺(リアサイト)は日本軍銃器の標準的な物で、基本的に画像の状態で照準、射撃します。
金属製ですが、クリック感はイマイチで、ガタつきがあります。
価格の割には、ちょっと貧弱な印象を受けます。
リアサイトは起倒式で、実銃では射撃距離に応じて起こして使います。
KTWの物は起こして照準していると割と簡単に倒れてしまうので実用的ではありませんが、そもそもエアガンの射距離では使う必要もありませんね。
三八式歩兵銃はサイトベースが低く、照準点がめいっぱい銃身に近いのが特徴です。
このサイトの低さが抜群の命中精度に貢献しているのは間違いないですね。
リアサイトはVノッチ型で、精密さよりも、素早い照準に向いた造りです。
槓桿(ボルトハンドル)は根元がしっかり溶接されていて、強度面の不安は一切感じません。
ボルト後端の円形パーツは実銃では安全装置ですが、本銃では外見を再現してあるのみで、機能はありません。
形状は初期型を再現してあり、円柱の側面にも滑り止めの溝が彫られています。(側面溝は、のちに省略されています)
コッキングは程よい重さで、コッキングの軽さで評価の高い東京マルイ製VSR-10シリーズと比べても、本銃の方が操作が楽な気がします。
ターンボルトに慣れているとストレートボルトハンドルの操作感は違和感を感じるかもしれません。
ボルト操作のコツは、ボルトハンドルを手のひら全体でしっかり握り、きっちり90度起こしてやる事。
この操作感こそ、日本軍小銃ならではの面白さです。
遊底覆(ダストカバー)は、タナカ製では別売りですが、本銃には標準装備されています。
コッキングの際にカチャリと金属音を立てるのが快感です。
なお、ボルト操作時にグラつきを感じる時は、ボルトアッセンブリの固定ネジが緩んでいる事が殆どなので、増し締めしてやるとガッチリ固定されます。
コッキングした状態で上から見た所です。
菊の御紋章と三八式の刻印が日本軍銃器独特の魅力を放っています。
また、内部にはKTW製品に共通のピストン形状がチラ見えしています。
一見シンプルな構造ですがメーカーによって絶妙な調整がされており、他の追随を許さないエアガンとしての性能を有しています。
ストックはワトコ油で仕上てからサバイバルゲームで使用していくうちに、良い風合いになってきました。
木製ストックの質感は、さすが高額商品であり、満足度では中華銃は比較になりませんね。
床尾板(バットストック)は南部鉄製だそうで、重厚感ある造りです。
フロントサイトも含め、本銃の形状は三八式歩兵銃の初期生産型を再現してあります。
軍装考証上、明治・大正・昭和すべての軍装に組み合わせられるのが魅力ですね。
弾倉底板(マガジンプレート)は樹脂製と金属製パーツが混在しています。
BB弾の装填はマガジンプレートを外して行います。
トリガー内側のボタンを押すとマガジンプレートが外れます。
この辺りの構造は実銃の弾倉分解手順と同じ造りです。
マガジンプレートを外すと、中から給弾機構が現れます。
弾倉内には約22発装填できますが、構造上撃ち切れず、2~3発残ってしまいます。(逆さにすれば全弾撃ち尽くせます)
現在流通している第7ロット以降では、改良されて全弾撃ち切れるようです。
給弾にはまずダイヤルを、クリック感が無くなり完全に止まるまで回します。
すると画像に写っている真鍮パイプが引っ込み、給弾口が空くので、BB弾を流し込みます。
画像は22発装填完了した状態で、うっすらとBB弾が見えると思います。
フィールド・レギュレーションに合わせて、エクセル製0.25gバイオBB弾(OD)を使っていますが、少々直径が小さい為、後述するようなトラブルの原因になっています。
選べる余地があるなら、サイズの都合で東京マルイ製BB弾との相性が良いようです。
このあと、マガジンプレートをはめると、四角のボタンが押されて薬室にBB弾が装填され、準備完了です。
装弾数22発(実質18発程度)では1ゲームを戦い抜くには少ない為、予備マガジンが欲しい所ですが、上述のような弾倉内蔵式の構造では戦闘中の再装填は難しいです。
なんとか使える方法はないかと考え、弾薬盒に入るサイズの「銀ダンローダー」を使ってみました。
銀ダンローダーはワンプッシュで4発のBB弾が出てきます。
出口は銀ダンのマガジンリップにハマる形状になっていて、KTWの丸い給弾穴に対しては上手く流し込めませんでした。
今の所、アイデア倒れの失敗例になっていますが、改造を施して使えるツールに出来ないものかと思案中。
フィールドでの弾速測定(0.2gBB弾使用)では、初速80/s台で安定しています。
本銃は、サイズの割に軽量で、人によっては拍子抜けするかもしれません。
程よい重量感と重心バランスの良さで、立撃姿勢でも余裕を持ってしっかり狙えます。
体力に乏しい私のようなゲーマーには大変ありがたい点です。
現用装備に囲まれて、ひとり「最後の日本兵」な気分で戦います。
エアコッキングで全長も長く、アンブッシュで気配を消しつつ確実に狙撃していくのが最適な戦い方でしょう。
しかし私には苦手な戦法なので、いつも一転攻勢を狙って前線に出てしまいます。(そして蜂の巣に…)
実際にゲームに投入してみると、色々と気になる点も出てきます。
そこで、三八式を使ってきた私の私見による「利点・欠点」を以下に語ってみました。
まずは「欠点」から…。
【欠点】
☆可動部が少ない…実銃では機能する部分が単なるモールドだったり、パーツ化されていても機能を有していないなど、BB弾発射以外のギミックは徹底して存在しません。
☆セーフティがない…この銃にはセーフティが付いていません。
上記の点にも関わる部分ですが、本来の安全装置は形のみの部品で、セーフティ機能はなく、可動もしません。
タナカ製品と同じつもりで操作しようとすると、全く動かないので戸惑います。
☆サイトのガタつき…リアサイトはライブで可動しますが、全体に作りが緩いようです。
サイトベースは金属ですが調整ノブは樹脂製で、クリック感に乏しいので少し不安になります。
☆ネジ類が緩みがち…ゲームで使い込むうちにネジが緩んでくるのはすべてのトイガンに共通の部分ですが、本銃は特に気をつけておいたほうがいいでしょう。
ネジの数自体は少ないですが、ボルト操作の繰り返しによるものか、機関部とストックの接合ネジが緩みがちです。
私は定期的にチェックし、緩みを見つけたら締め込むようにしています。
☆まれに弾づまりする…これはごくまれに、それも銃を立て気味にして素早いボルト操作をしたときぐらいですが、機関部内で弾ポロし、ボルトとピストンの間に挟まってボルトが閉鎖できなくなります。
そうなったら、ボルトを軽く前後動することで隙間から弾がポロっと出てきます。
無理やりボルトを押し込んだりしなければ対処可能ですが、戦闘中に発生したら致命的でしょう。
☆再装填が難しい…装弾数は22発前後とボルトアクションとしては決して少なくはないのですが、一旦打ち尽くしてしまうと、マガジン式でない為、戦闘中の弾薬の再装填は困難で事実上不可能と考えた方が良いです。
サバイバルゲームで使うときは、弾切れしたら速やかにサイドアームに切り替えるのが懸命でしょうね。
先に欠点を羅列したのは、それを上回る利点があるからです。
今度は利点について述べてみます。
【利点】
☆命中精度…両方使った私のあくまで主観ですが、VSR-10以上の命中精度だと思います。
好条件下においては、射距離30メートルでスコープに頼らずヘッドショットが可能です。
☆唯一の初期型モデル…バットストックがフラットで、フロントサイトにガードが付かない初期型は、KTWのみがモデルアップしていますから貴重です。(S&T製との住み分けも出来ますね)
☆コッキングしやすい…デフォルトで初速90m/s前半とVSR-10と同等の威力ですが、ボルトの引きはVSR-10より軽いです。
ボルトハンドルがストレート型なのも引きやすさに貢献しているようですね。
☆ボルトの作動音が気持ちいい…実射性能とは関わりありませんが、コッキングの際にボルトカバーが放つ金属摩擦音が実に格好良く、楽しいです。
火力に乏しく、価格も高いのでなかなか手が出せない本銃ですが、日本軍装備でサバゲーをする醍醐味は、KTW製品の「勝てる」性能あってこそ充分に堪能出来ると思います。
三八式歩兵銃は近年、中国のメーカー「S&T」からも発売され、比較的安価なこともあって、売れているようです。
願わくば、身近に日本軍装趣味ゲーマーが登場する事を期待したいです。
【商品紹介】