今回は、中越戦争当時の中国人民解放軍装備を紹介します。
中国人民解放軍 歩兵部隊小銃手の基本装備です。
「恩知らずのベトナムを懲罰する」という近代戦史上前代未聞の開戦理由により始まった中越戦争は、1979年2月17日に30万名の中国人民解放軍の奇襲攻撃によって幕を開けました。
大兵力によりベトナムを一気に蹂躙する計画でしたが、ベトナム戦争の経験豊かなベトナム民兵部隊による予想外の反撃に合い各地で大損害を受けました。
人民解放軍は決定的な勝利を掴めないまま、カンボジアに駐留中のベトナム人民軍主力が引き返してくる頃合いを見計らって、3月16日に一方的な勝利宣言ののち中国本土に引き上げました。
中国人民解放軍 歩兵部隊班用機関銃手の基本装備です。
この戦争を中国側は「対越自衛反撃戦」と呼び、現在もベトナム側に非があると主張しています。
知れば知るほど意味のわからない戦争ですが、中ソ国境紛争以来、10年ぶりの実戦を経験した中国にとっては自軍の軍事力の想像以上の弱体化が深刻に受け止められたようで、文化大革命以来の人海戦術一本やりの戦術を捨て、軍の近代化に全力で取り組むきっかけとなりました。
一般には経験豊かなベトナム民兵の攻撃で一方的に敗走した哀れな弱兵のイメージで語られる中越戦争の顛末ですが、圧倒的戦力差（中国側正規軍30万名に対し、ベトナム側民兵2万名）による力押しにより実際にはベトナム側も相応の被害を受けており、中国側が撤退時に焦土作戦を実施した為、ベトナム戦争でもほぼ無傷だったベトナム北部の主要都市が灰燼に帰する被害を受けています。
中越両国の発表に大きな差があり未だに実態が把握されていませんが、1ヶ月足らずの戦争期間での人的被害が両軍共に2万人近く、決して小規模な小競り合い等ではなく本格的な戦争だった事が伺えます。
装備例では「RPK軽機関銃」を装備していますが、実際には人民解放軍の分隊支援火器の殆どは「56式班用機槍（中国製RPD軽機関銃）」でした。
バイポッドを展開した伏射の様子です。
中越戦争当時の記録映像や、戦争映画で見られる、ラフな姿の解放軍兵士です。
中越戦争の頃は軍服の下に白無地綿製のワイシャツを着用しており、袖や襟元からシャツが覗いています。
後の「中越国境紛争」で山岳地帯の洞窟陣地に於ける長期持久戦が常態化すると、タンクトップやTシャツなどのラフな格好になっていきます。
1979年当時の資料画像を見ていると、兵士の多くは人民帽を被っており、スチールヘルメットは少数派のようです。
戦闘での頭部戦傷率の高さに直面したのか戦闘も後期になるにつれてヘルメット着用率は上がっていき、記録映像においては国産の「GK80ヘルメット」の他にも、かつての戦争での鹵獲品と思われるアメリカ製「M1ヘルメット」や日本軍の「90式鉄帽」、果てはドイツ軍の「M35ヘルメット」まで確認できます。
中越戦争では戦場が山岳地帯だった為、徒歩行軍時の足の鬱血を防ぐ目的でゲートルを巻いている様子が多く見られます。
人民解放軍の実物ゲートルは素材が綿製で、とても使いづらい代物です。
具体的には柔軟性が無く、丁度良いテンションで巻くのが非常に難しいです。
日本軍の巻脚絆の感覚で巻いていくとキツ過ぎてふくらはぎが圧迫されてしまいとても歩けないし、ゆるめに巻くと簡単にずり落ちてきてしまいます。
実際に使ってみて、相応の練習が必要と痛感しました。
中国人民解放軍では拳銃も実用性のある兵器と見なしており、小銃と共に拳銃を装備した姿が記録映像からも確認できます。
「54式手槍（中国製トカレフTT-33自動拳銃）」を撃つ人民解放軍兵士の様子です。
拳銃を構えた側の手首を握って支える、古い射撃スタイルです。
人民解放軍の装備品は負い紐でたすきがけにした重量物を貧弱な人造皮革ベルトで固定する為、非常にずり落ちやすいのですが、56式チェストリグがちょうどコルセットのように、装備位置がずれるのを防ぐ役割を果たしています。
「56式自動歩槍（中国製AK-47突撃銃）」を持っていない兵士もチェストリグだけは装備している例が見られるのは何故だろうと思っていましたが、案外これが理由かもしれません。
かつては品物はあれど情報に乏しかった中国人民解放軍の姿も、現在はインターネットでネイティブな情報に触れる事も可能で、装備品の着こなしについてはだいぶ詳しくなれました。
装備品もまだ比較的安価に流通していますし、珍しい装備を試してみたい方にはお奨めです。
【商品紹介】
「東京マルイ No20 AK47S 18歳以上スタンダード電動ガン」…安定の高性能と扱いやすい重量、手ごろな価格帯のスタンダード電動ガンです。
「CM052S RPKS-74 電動ガン」…CYMA製RPK-74軽機関銃の電動ガンです。5.45mm弾仕様のRPK-74を再現したトイガンですが、フラッシュハイダーを外して、マガジンをスチールプレスタイプか、ドラムマガジンに取り換えることでRPKとして使えます。
「CYMA メタル製2500rd 電動ドラムマガジン AK用」…RPKふくむAKシリーズ対応ドラムマガジンです。
「KSC TT33 HW 18歳以上 ガスブローバックガン」…ガスブローバックの作動良好、HW樹脂製で重量感もあり、満足度の高い逸品です。
