アフガニスタン紛争でソ連軍の使用した半長靴スタイルの編上靴です。
本品は当時製造された実物中古品です。
ソ連軍ではもともと、中央アジア方面の部隊向けに、くるぶし丈の編上靴と、対になるストレートズボンスタイルの熱地服が支給されていました。
アフガニスタン紛争における地上軍・空挺軍の派遣により、一般部隊の長靴では現地の気候に不向きな為、アフガニスタン向けの熱地靴が開発・支給されました。
最初期のタイプはアメリカ軍のジャングルブーツを完全模倣したデザインで、黒革と黒綿布で作られていました。
ただ、支給された数は少なく、使用されたのもごく短期間だったようで、いまだに実用例は見たことがありません。
その後も、断続的に半長靴の試作開発・投入が繰り返されており、バリエーションは多数あります。
本品は定番と呼べるデザインの本革製半長靴です。
アフガニスタン紛争も後半になると、ポリウレタン製の半長靴が多数支給されるようになります。
こちらは、素材の都合上経年劣化が避けられず、現在では未使用新品でも加水分解が進み、表面が裂けたり、ソールが割れてしまう物が多数あるようです。
ソールは一般部隊の長靴と同じパターンの物が使われています。
靴底の素材はゴム製で、かなり硬いです。
履き心地はお世辞にも良いとは言えませんが、耐久性は期待できます。
コットン製の靴紐を解いた状態です。
靴紐の鳩目はシンプルな穴空きホールで、革の裏面も丁寧に処理されています。
靴先の二重縫いやシボ加工された革の表面処理、色味など、自衛隊の旧型半長靴を彷彿とさせるデザインです。
支給当時の感覚だとクッション性が高く履きやすいポリウレタン製が好まれたと思いますが、現在コレクターの手に渡り長期保存されている状況から言えば、革製品で良かったな、というのが正直な感想です。
実際に軍で使用されていた中古品なので、使い込まれた革の質感が良い風合いになっています。