中国人民解放軍の「91式単兵携行具」です。
今回紹介する物は1994年製造の初期型になります。
91式単兵携行具は、人民解放軍の軍備の近代化に伴い、1990年代に採用された各種新型個人装備のはしりと呼べる物です。
一見して判る通り、米軍のタクティカルベストの影響を強く受けたデザインで、既存の幌布製チェストリグとは明らかに異なる運用思想が感じられます。
この個体は実用されていた軍払い下げ品です。
画像で確認出来る通り、かなり使い込まれた中古品ですが、結果的に「ここまで酷使されていても部品の欠落や破損が無い」と言う事で、堅牢な作りが見て取れます。
ショルダーハーネスには肩パッドが付いており、使用者の負担軽減への配慮がされています。
ウエストは鳩目に通した紐でサイズ調節出来ます。
ベストには手榴弾ポーチが設けてあります。
構造は、柄付き手榴弾専用の作りです。
ベストの前合わせは2箇所の引っ掛け式バックルが取り付けてあります。
中古品のためエッジが丸くなっており、かなり磨耗が進んでいます。
マガジンポーチは「81式自動歩槍(自動小銃)」の運用を前提にしたサイズです。
AK-47用マガジンが綺麗に収納出来ます。
蓋を留めるバックルは米軍タイプのプラ製です。
背面中央には、水筒カバーが縫い付けられています。
形状は米軍スタイルで、フラップはベルクロ式で操作性は良好です。
ベスト裏面の形状です。
中古品なのでだいぶくたびれています。
素材は綿製のようで、後期型のような防水処理はされていないようです。
ベスト裏面には、布製タグが縫い付けられています。
実際に使用されていた為に脱色で判別困難ですが、辛うじて「1994年製」と読めます。
ベストに、装備品を全て収納した状態です。
初期型の特徴として、マガジンポーチは3個取り付けてあり、手榴弾ポーチは4個ありますが、配置が左右非対称になっています。
手榴弾ポーチは柄の中央をベルクロ式ストラップで固定するので、脱落防止かつ素早い取り出しが可能です。
旧式装備の手榴弾袋と比べるとかなり便利になっています。
水筒カバーには、「87式水壷」を収納しています。
見ての通り、専用設計で綺麗に収納出来ます。
91式単兵携行具開発時に既に配備されていた「78式飯盒水壷」が入るかどうか試してみます。
時期的に対応してそうな気がしましたが、形状の違いから蓋を閉める事が出来ませんでした。
手榴弾ポーチの内、3本分が右側にまとめて配置してあります。
スペースの都合から、マガジンポーチは1本分のみ配置されています。
着用時の状態にしてみました。
左右非対称の装備配置が初期型ベストの特徴です。