第二次世界大戦当時からソ連崩壊に至るまでソ連軍で使用されていた携帯ショベルとカバーです。
各時代のソ連軍装を揃えるあたって、数種類のカバーが集まりました。
全てショベルカバー単体で入手した物です。
画像上はロシア製の実物中古品で、画像下はアメリカ製の民生品です。
形状的には何の変哲もないショベルですが、いざ入手しようとすると以外に見つからないもので、手に入れるまでに結構時間がかかりました。
ソ連軍の「MPL-50」ショベルです。
「MPL」は「歩兵用小型シャベル」、「50」は「柄の長さが50㎝」という意味です。
ソ連軍ショベルのブレード部分は、菱形に尖っているのが特徴です。
ソ連軍ショベルは、米軍やドイツ軍のような折り畳み機構や多機能性は一切ありません。
シンプル極まりない構造ですが、それだけに頑丈で生産性も高いです。
柄は木製でいかにも古臭い印象ですが、酷寒地においては緊急時に暖をとる薪として使えます。
これもロシア的な合理性でしょうか。
道具が道具として存在するには、それ相応の意味があるのだと実感しました。
民生品の方は厳密には複製品と言うよりも園芸・アウトドア等で使う為の実用品として販売されている物ですが、画像のように非常に良く似ています。
このショベルカバーはソ連軍装備でも一般的に見られるタイプで、コットンのキャンバス生地で出来ておりショベルを上から挿入して蓋をストラップで留める作りです。
非常に合理的な作りで、ショベルの柄を通す穴も半円形に布地を切り欠いたのみというシンプルさです。
このショベルカバーは主に第二次世界大戦中に使用されていたモデルですが、戦後もある程度継続して使用が続けられていたようです。
「M69軍服」登場後もソ連軍の軍装マニュアルのイラストに描かれているのはこの形状の物です。(時期的には、すでに後述する戦後生産モデルが主流でした)
こちらは上記のタイプのバリエーションで、ストラップ部分が革タブではなく木製トグルボタンと紐の組み合わせになっています。
留め具の作りは第二次世界大戦以来のソ連軍で多用されたタイプです。
この留め具を使用した軍装品としては中国人民解放軍の「56式(中国製AK)マガジン収納用チェストリグ」が有名ですね。
ソ連軍装備は日本のミリタリー市場ではあまり見かけない方ですが、このショベルカバーは比較的入手しやすい複製品で、実物と比べてもよく再現されていると思います。
こちらは戦後生産されたショベルカバーで、冷戦期の主力モデルです。
ショベルカバー本体は丈夫な幌布製で、ベルトループを介して吊るす携行方法もシンプルでなじみのあるデザインです。
ショベルの収納方法はポーチの下からショベルを挿入し、柄の付け根部分をベルト金具で留め、落下するのを防ぐという作りです。
推測するに、以前のタイプではショベルの重量で布地が摩耗し、ポーチの底が抜けてしまう恐れがあったものと思われます。
このタイプならばポーチ自体への不可は最小限に抑えらるし、仮にベルト金具が負荷でちぎれてしまってもストラップだけ新品に取り替えれば修理は完了というわけです。
そう考えるとよく考えられているなと感心すると共に、あえて既存の装備品の形を変更する事の意味がわかった気がします。
3つ揃ったショベルカバーは、装備品の時代設定に合わせて活用しています。
こんな単純な構造のアイテムでも、1個当たり4,000~5,000円はしましたから、大事に使っていこうと思います。(ちなみにショベル本体は6,000~7,000円台でした)
【商品紹介】
「ソビエト製 ショベル 1984年 カバー付 実物」…戦後生産型の軍用実物ショベルとカバーのセットです。