1985年的中国制帽 ~ 中国人民解放軍 陸軍 85式軍帽・士兵用 (実物)

中国人民解放軍の「85式軍帽」です。

ミリタリーショップで購入した軍用実物のデッドストック品です。

 

 

「85式軍帽」は、「85式軍服」と共に採用された軍装品で、1965年以来階級制度を廃止していた人民解放軍が、近代化に伴う階級制度の復活を前に、まず前段階として装飾性を取り入れたものです。

 

 

65式軍服時代に徹底して排除された徽章類を、55式軍服時代の物をベースに新たにデザインした物で、領章(襟章)や帽徽(帽章)が変更されています。

 

 

ながらく解放帽のみだった帽子も、普段の勤務用に制帽スタイルの軍帽が復活し、世界各国の軍隊と並んでも遜色ない国際標準スタイルに近づきました。

 

 

軍帽は主に軍緑色の綿製で、各部に芯や詰め物がされており、スタイルを保持するように作られています。

採用当時の諸外国の制帽と比べても、可もなく不可もない、スタンダードな出来と言えます。

 

 

帽子の内側は綿素材を中心にビニール製の内張が使われており、素材や構成は従来の「65式解放帽(いわゆる人民帽)」と類似点が多いです。

 

 

軍帽のつばは、一体成型の樹脂製です。

紫外線の影響による劣化の心配はあるものの、革と比べると手入れが楽なのは良いですね。

 

 

トップには「85式帽徽(帽章)」がビス留めされています。

原型となった「58式軍帽」では鉢巻き部分に位置していたので、あえて異なるデザインを試みたのでしょうか。

 

 

「85式帽徽」は金属製で、重量感があります。

デザインは陸・海・空軍で異なり、これは陸軍のデザインです。

 

 

軍帽の顎紐は人造皮革製です。

現代のポリウレタン製コンバットブーツのような繊維質の本体を塗料で塗り固めた質感です。

 

 

製造から長い時間が経過した為、デッドストック品ながら表面にひびが発生しています。

あまり触らないように、恐る恐る取り扱っています。

 

 

現代の制帽では単なるデザイン・装飾として機能しない物も多いですが、この軍帽では顎紐は実用できます。

 

 

軍帽の裏側の状態です。

樹脂製のつばの様子がわかります。

 

 

汗止め部分はビニール製で、「78式解放帽」の中期生産型と同じ仕様です。

 

 

ビニール製汗止めをめくると、人造皮革製の芯が見えます。

素材は「65式外腰帯(装備ベルト)」と同じようです。

 

 

85式軍帽の全体像です。

 

 

デザインは奇をてらわず、スタンダードなシルエットです。

 

 

軍帽の顎紐を使用した状態です。

通常勤務で使う機会は無いと思われますが、パレードや儀仗隊で使われており、外見が引き締まって凛々しく見えます。

 

 

「85式軍帽」を着帽した、1980年代後期の中国人民解放軍陸軍士兵です。

「85式軍服」は階級制度復活の前段階として、従来の「78式軍服」に装飾性を加えたものです。

 

 

そのままでも戦闘に用いられる「85式軍服」ですが、常服(制服)として用いられる通常勤務の際には軍帽を着用します。

もちろん、従来の解放帽も「85式帽徽」を取り付けて使用されています。

 

 

士兵(兵士)クラスの「85式軍服」は全体に色味は少なく、全身を彩る“軍緑色”が印象的です。

対して軍官(将校)クラスになると、制帽の鉢巻きが赤色となり、制服にも肩章が追加されており、一目で役割がわかるように改良されています。

 

 

軍隊組織では制服と対となる制帽スタイルの帽子は、中国人民解放軍では「58式軍帽」を最後に廃止されており、「85式軍帽」は実に20年ぶりの制帽スタイルの復活となりました。

 

 

85式軍帽が使われた中越戦争にまつわる書籍や映像作品です

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