中国人民解放軍の「85式軍服」を着用した陸軍士兵装備です。
「85式軍服」は「78式軍服」の後継として採用された被服です。
軍服自体は「78式軍服」と変わらず、襟章を「85式領章」に変更した物です。
軍服と共に「解放帽」にも「85式帽徽(帽章)」を導入しています。
「85式軍服」の採用された時期には「GK-80A」スチール・ヘルメットが普及していました。
ベルトは「65式外腰帯」が使用されています。
のちにバックルに“八一星章”のレリーフを追加した「87式外腰帯」が採用されました。
足回りは1950年代から使われているゴム底ズック靴の通称「解放靴」が変わらず使用されています。
画像の物はローカット・タイプで、もっぱら通常勤務での日常用に使われていましたが、実戦でも普通に使用されています。
こちらは革製編上靴です。
靴底は厚いゴム製で、デザインは旧日本軍の編上靴や米軍のアンクルブーツに酷似しています。
革製の靴自体は冬用に複数種類が使われていたようで、この編上靴も1980年代の資料画像で使用されているのが確認出来ます。
中越国境紛争当時の陸軍士兵の装備例です。
この頃にはスチールヘルメットが普及しており、大半の兵士が着用しています。
装具類は1970年代から登場し始めた軍緑色の物を合わせてみました。
米軍をはじめとする各国軍の装備品に比べると色味が明るいため初見では軍用品っぽくないなー、と感じたものですが、今では見慣れてしまって何の違和感もありません。
使用しているのは「56式自動歩槍(中国製AK-47)」です。
「56式」は採用当初は分類上“サブマシンガン”とされ、分隊長クラスのみに配備されていましたが、1979年の「中越戦争」でベトナム側に火力で圧倒された事から、1980年代には大量配備が進められており、「中越国境紛争」では人民解放軍兵士の主力小銃として使われていました。
「56式」は折り畳み式のスパイク・バヨネットが装備されているのが特徴ですが、人民解放軍では白兵戦を重視しており、「断面が三角のスパイク銃剣が刺突力に最適で致死性が高い」という研究結果の元に採用されたそうです。
中越国境紛争では、各種迷彩服も試験的に投入されました。
画像は最も多く使用された「81式迷彩服」です。
この迷彩服は両面に異なる迷彩パターンがプリントされたリバーシブル式で、表面が草地および春夏用、裏面が荒地および秋冬用とされています。
中越紛争では、画像のようにジャケットのみ迷彩服を重ね着した姿も確認出来ます。(81式は元々重ね着前提で作られたそうです)
迷彩パターンは海外の迷彩服を参考に作られています。
裏面は「ダックハンター」や「フロッグスキン」と呼ばれる迷彩柄ですが、なかなか効果的な迷彩です。
対ベトナム戦では、実際に白兵戦が行われたそうで、「ベトナム側は銃剣による死者の多さに『中国軍は銃剣に毒を塗っている』と非難していた」、と中国側文献に記載されており、中国側は「ベトナム側の医療体制が貧弱な為に、戦傷死が多いだけ」と結論付けています。
81式迷彩服は細部の異なるバリエーションが多いのですが、基本形ではフードが内蔵されており、画像のように頭に被って擬装効果を高める事が出来ます。
【商品紹介】
「戦場からニイハオ: 中国女性従軍カメラマンの日記 単行本 – 1999/10/1」…中越国境紛争当時の、人民解放軍カメラマンの女性のノンフィクションエッセイです。戦場の体験や、撮影された写真が掲載されており、勉強になります。