ベトナム人民軍の「K07迷彩服」です。
「K07」の型番が示すように、2007年に採用された戦闘服で、ベトナム人民軍で本格的に導入された迷彩服として知られています。
この迷彩服は、ベトナム人民軍陸軍の下士官・兵向けの実物官給品です。
ベトナム人民軍では迷彩服の素材や裁断が「将校」と「下士官・兵」で異なります。
現代の軍隊でも、制服では階級ごとにデザインの異なる国もありますが、野戦服までデザインを変えてある例は珍しいです。
襟はボタン留めで開襟でも折り襟でも着用できます。
画像は開襟スタイルです。
こちらは折り襟スタイルです。
襟にはスリットが設けてあり、ピンを通して襟章を取り付ける事ができます。
画像はブリキの爪が取り付けられた、古いタイプの襟章です。
この爪を通して固定します。
「K08襟章」を取り付けた状態です。
折り襟にした状態です。
第1ボタンは外に露出しないデザインです。
肩にエポーレットが設けてあります。
エポーレットはボタン留めですが、途中で縫い付けてあり、固定具としての機能はありません。
あくまで装飾として設けられた物のようです。
胸ポケットはカーゴポケット型で、近代的な印象を受けます。
蓋は2個の樹脂製ボタンで留める作りです。
ポケットは側面にプリーツが付けてあり、容量を増やす工夫がされています。
左腕上部に臂章が縫い付けてあります。
臂章にはベトナム語で「ベトナム人民軍」と表記してあります。
肘部分には当て布による補強がされています。
手首はカフスボタン式で、2段階にサイズ調節できます。
迷彩生地は、裏地がライムグリーンで、袖まくりをすると色のコントラストが映えます。
軍官用と違い、士兵用にはまくった袖を留めるタブはありません。
左胸ポケット上部に、胸章が縫い付けてあります。
右胸ポケット上部に、名札が縫い付けてあります。
名札はベルクロ式で、自由に取り外し可能です。
前合わせはボタン式で、裾は画像の位置までめくれます。
ジャケット裏地の様子です。
前合わせの裏側に、メーカー・タグが縫い付けてあり、表記から「2017年製」と分かります。
ベトナム軍服のサイズ表記は自衛隊の物と似ており、「4B」は横幅太目で、おおむねMサイズ相当です。
ジャケット背面の形状です。
自衛隊の迷彩服にあるような擬装ループ等も無く、シンプルなデザインです。
装備ベルトを装着する位置に合わせて、ベルト留め用タブが設けてあります。
「K07」迷彩ズボンです。
ジャケット同様、アメリカ軍BDUに似た印象を受けます。
ズボンの裾はボタン留めで纏められるように出来ています。
膝に当て布による補強がしてあります。
また、ズボンをまくり上げた際にずり落ちないように留める為のボタンが縫い付けてあります。
ウエスト周りの様子です。
ズボン用ベルトを通す為のループと、沿う形でサイズ調節機能が設けてあります。
ウエストサイズ調節は、内蔵されているタブを引っ張り出し、ボタン留めする事でおこなえます。
ズボン両側に、スリットポケットが設けてあります。
前合わせはボタン留めスタイルです。
ズボン裏地の様子です。
ポケット類はオリーブグリーンの薄手の生地で縫製されています。
ズボン裏面に、製造工場のタグが縫い付けてあり、2017年製とわかります。
ズボン背面の様子です。
迷彩柄はパターンが大きめのリーフ迷彩で、一見するとアメリカ軍のウッドランド迷彩に似た印象を受けます。
外見上の特徴は、蓋付きの尻ポケットが2個設けてある点、太もも部分にはポケットが無い点です。
尻ポケットは蓋付きで、ボタン留めできます。
ズボンの側面形状です。
カーゴポケットは無い為、各国軍の迷彩ズボンと比べるとシンプルな印象です。
ズボンの裾まとめ用ボタンの様子です。
膝の辺りにあるボタンはズボンの裾をまくり上げた際にずり落ちない様に留める為の物です。
ウエスト周りの様子です。
ベルトループとウエスト調節タブ、フラップ付きの尻ポケットがあります。
両サイドにあるスリットポケットの袋部分はグリーン単色の生地が使われています。
ズボン内側に、半ズボン型で着用する際に使うタブが縫い込んであります。
画像のように裾をまくり上げてボタン留めすると、半ズボンとして着用できます。
半ズボン型にするとこんな感じです。
防暑目的もあるでしょうが、作業時に泥はねや水たまり対策の為の必要性を考慮したのでは、と推測しています。
「K07迷彩服」を着用した状態です。
従来のシャツスタイル作業服と比べ、裁断がゆったりしているので動きやすいです。
帽子は迷彩服と共生地で作られたブッシュハットです。
訓練での使用例はあまり見られませんが、ツバが広く顎紐もワンタッチで調整できる、便利な防暑帽です。
「K07迷彩帽」を着用した状態です。
士兵用迷彩服はポケットが2個のみなのが、軍官用との識別ポイントです。
迷彩生地は耐久性重視で中厚の素材が使われており、着心地は陸上自衛隊の迷彩服に似ています。
ベトナム製の現用ピストルベルトを身に着けた状態です。
迷彩服の両脇にベルトを固定するボタン留め式タブがあるのが実用的で便利です。
現在は2017年に採用された「K17迷彩服」への更新が進んでいますが、まだまだ双方混在している状態で、すべての「K07」が更新されるかどうかも不明な状況です。