かつてトイガンメーカーとして知られた「ヨネザワ」というメーカーの製品、エアコッキングハンドガン「ワルサー P38」です。
昔、家族が親戚の子供に贈るために購入したものを自宅の片付け中に発掘したもので、良品どころか、購入時の包装紙すらそのままの未開封状態でした。
中身は、銃本体とBB弾、説明書というオーソドックスな構成です。
箱には、「飛距離30メートル」と堂々と書いてありますが、凄い誇大広告ぶりです。(HOP UP機能など存在しない時代の製品ですからねぇ…)
全体の形状は、実銃を良く再現しており、意外(と言っては失礼ですが)リアルな印象です。
特に、同時期に発売されていた東京マルイ製エアコッキングハンドガンのワルサー P38では、内蔵ピストンの寸法のせいでスライド後端が長すぎた為、見た目の印象ではヨネザワ製に一日の長がありました。(東京マルイ製は現在でも流通していますね)
見ての通り、リアルの対極にあるようなオリジナルデザインのセーフティです。
もはやセーフティというより、スイッチですね。
古いトイガンは、製造するメーカーでも玩具という認識が強かったようで、このような思慮のない設計が良く見られます。(当時でも、モデルガンはリアル志向でした)
今となっては、むしろ時代を感じさせてくれる分、ユニークで興味深いです。
マガジンは、当時一般的だった割り箸型です。弾の装填はリップ部分からプチプチ詰め込みます。
リップの弾の保持がしっかりしており、仮に予備マガジンを携行する際も安心です。
セーフティのいい加減さとは違い、マガジンキャッチは実銃通り機能します。
カッチリとした動きで、操作していて気分が良いです。
この製品の一番のウリは、擬似ブローバック式の部分につきます。
エアコッキング式ですが、一般的な物がスライドを引いてコッキングするのに対し、ヨネザワルサーはスライド後退状態が通常時で、スライドを押し込むことでコッキングします。
トリガーを引くと弾が発射され、同時にスライドが元の位置に戻る為、「ブローバックしたような気分になる」というわけです。
この状態でトリガーを引くと勢いよくスライドが後退します。
オール樹脂製で軽い銃ですが、勢いよくスライドが後退するので手首に“カツン”と来る反動が小気味良いです。(さすがに“ガツン”とはきません)
初速は0.20gBB弾で計測して「43m/s前後」でした。
対象年齢10歳以上なので、妥当なパワーでしょうか。
0.20g弾だと重力に引かれすぎて悲しい事になりますが、0.12g軽量弾を使えば、お座敷シューティングで使う分にはそこそこ飛んでくれます。
実射性能は、現在のトイガンとは比べるべくもないですが、設計の古い点、前述の通り、セーフティが実銃と違っていたり、刻印部分がモールドではなく印刷だったりといった部分が、今となっては新鮮に感じます。
まだメーカーがエアソフトガンに対してモデルガン的リアリティを考慮していなかった時代の製品ならではの面白さがありますね。