ベトナム人民軍の特殊部隊「ダッコン」で使用されている迷彩服の現用品です。
ダッコンは漢字表記で「特工」、ベトナム戦争中に誕生した、潜入・破壊工作・偵察を任務とした精鋭部隊です。
ダッコンでは人民軍一般部隊に先駆けて、古くから迷彩服が使用されており、製造時期や任務に合わせて様々なデザインの物が見られますが、迷彩柄に関しては一貫して「ダックハンター迷彩」が用いられています。
画像の迷彩服は近年製造された物で、人民軍共通のフォーマットである「襟章」「胸章」「名札」「臂章」が取り付けられています。
一般歩兵部隊の迷彩服とのデザイン上の違いとして、ジャケットの裾にゴムが内蔵してある短ジャケット・スタイルになっています。
袖の形状です。
左上腕部に臂章が縫い付けられています。
臂章にはベトナム語で「ベトナム人民軍」の表記がされています。
袖はカフスボタン式です。
ボタンは1個のみで、サイズ調節はできません。
襟章は「K08」タイプで、肩章を使わない時用の複合型階級章です。
ダッコンの兵科章ピンが取り付けてあり、階級は「中尉」です。
襟章の裏面にヘアピン型の取り付け金具があり、襟のスリットに通して装着します。
襟は折り襟で第1ボタンが設けてあります。
画像は開襟状態です。
画像のように、折り襟状態にもできます。
肩には肩章取り付け用のループが設けてあります。
この点から、略式の制服としても使用できるデザインだとわかります。
左胸ポケット上部に、胸章が縫い付けてあります。
右胸ポケット上部に、名札が取り付けてあります。
名札はベルクロ式の台座が縫い付けられており、取り外し式です。
未使用品のため無地ですが、本来は名前の刺繍がされています。
ジャケットには胸ポケットが2個設けてあります。
ポケットのデザインは「K58軍服」以来のプリーツの付いた形状ですが、隠しボタン式になっています。
胸ポケットのフラップは、ボタン1個で留めてあります。
ジャケットの前合わせは隠しボタン式で、表からはボタンが露出しない作りです。
ボタンは樹脂製で、合計7個取り付けてあります。
ジャケット裏地の様子です。
迷彩生地の裏面は、枯草色単色で、リップストップ生地の薄手の質感が良くわかります。
襟首近くにタグが縫い付けてあります。
タグの表記から、2016年製の軍正規品だとわかります。
サイズ表記は「6」、1から順にサイズが大きくなるので、USサイズのL寸あたりに相当します。
ダッコン迷彩服の背面形状です。
ダックハンター迷彩柄が特徴的です。
一般歩兵部隊の迷彩導入後も変わらず使われ続けている事から、擬装能力への高い評価が推測できます。
ジャケットの裾の両端に、ゴムが内蔵されており、身体へのフィット感を重視した作りです。
ダッコン迷彩ズボンです。
迷彩柄が目立つので裁断がわかりづらいと思いますが、基本的には一般歩兵部隊の迷彩服と似たようなデザインです。
膝に当て布による補強がされているのも「K07迷彩服」と共通する特徴です。
画像に見えるボタンは、裾をまくって半ズボン式にする際に使います。
ベトナム軍服ではおなじみの、ズボン裾を纏めるボタンが付いています。
ウエスト周りの様子です。
ズボン用ベルトを通すためのループがあり、前合わせの第一ボタンは露出しています。
前合わせはジッパー式です。
ベトナム人民軍に限らず、軍用ズボンはボタン留めが多いのでジッパー仕様は珍しいほうだと思います。
ズボン内側にタグが縫い付けてあります。
軍正規工場のメーカー・タグとサイズ表記タグで、「2016年製・サイズ6」と読み取れます。
ズボン背面の形状です。
使用されている素材は薄手のリップストップ生地です。
ベトナム人民軍の素材選定から類推して、この被服は軍官用だと考えられます。(士兵用の現物は手元にない為、多分に推測を含みます)
背面に、フラップ付きの尻ポケットが2個設けてあります。
尻ポケットのフラップはボタン留めです。
ズボン両側にスリットポケットがあり、袋部分は緑色の布地が使われています。
ズボン側面の形状です。
カーゴポケットが付いていないので、スマートに見えます。
ベルト-ループに沿って、ベルクロ式のウエストサイズ調節タブが設けてあります。
「K07迷彩服」にも共通する特徴です。
ズボン裾のまとめ用ボタンの様子です。
裾をまくり上げ、半ズボン型にした状態です。
側面から見ると、内蔵されている裾固定タブの使用状態がよくわかります。
ダッコン迷彩服の着用状況です。
画像は共生地で作られたベレー帽を着用したところです。
ベレー帽は主に式典やパレードの行進の際に見られる物です。
「A2ヘルメット」と「ピストルベルト」を身に着けた、訓練時のスタイルです。
軍靴は一般的なズック靴のほか、ジャングルブーツに似たデザインの黒色戦闘靴も使われています。
着用例では外見の類似した中国製「07式作戦靴」を代用しています。