中国人民解放軍 82-2式プラスチック手榴弾 (訓練用・モデル品)

中国人民解放軍の現用装備である「82-2式全塑无柄鋼珠手榴弾」の訓練用模擬弾です。

 

 

人民解放軍では、主に柄の付いた「木柄手榴弾」の系譜が長く使われていましたが、1980年代から各国軍に倣った柄の無い「卵形手榴弾」も開発され、並行して配備されています。

 

 

柄の無いタイプの手榴弾は人民解放軍においては主に製造コストや機械的信頼性の面から主力とはならなかったものの、古くはソ連軍の「RG-42」「F-1」「RGD-5」等の手榴弾がソ連軍事技術者の協力のもとライセンス生産されていました。

中ソ関係が悪化し、技術者が引き上げて後は中国独自の技術により木柄手榴弾が発展しましたが、1979年の「中越戦争」においてベトナム人民軍の使用したアメリカ製グレネードランチャーの威力に着目し、世界標準の新型手榴弾の開発に着手、1980年代に「82式」の名称を持つ各種卵型手榴弾が開発されました。

 

 

今回入手した物は、その中でも「82-2式プラスチック手榴弾」をモチーフにした、訓練用の模擬手榴弾です。

 

 

この模擬弾は大まかな形状を再現しただけの模擬弾ですが、他にも素材や構造まで精巧な複製品もあるようです。

 

 

外観は信管やレバーまで含めた一体成形のゴム製で、わずかに金属製の安全ピンのみ別パーツといった構造です。

 

 

あくまで実用品としての割り切りか、パーティングラインも派手に付いたままの大雑把な作りです。

 

 

安全ピンは付いていますが、撃発機構は再現されておらず、単なる飾りとなっています。

 

 

模型としてのリアリティは低いですが、ポーチの詰め物としてはサイズ・形状とも申し分ないアイテムと言えそうです。

 

 

「82-1式」では従来の摩擦点火式信管が使われていましたが、「82-2式」からは米軍のようなスプリングによる機械点火式が導入され、作動の確実化と操作の簡略化がされており、実用性が向上しています。

 

 

弾殻の底部は卵状に丸くなっており、縦に置いてもすぐに転がってしまいます。

 

 

実弾に準じた使用感になるよう、中におもりが詰めてある為、手に持ってみると適度な重量感があります。

実弾と同じ重さだとすれば、「67式木柄手榴弾」よりも小型・軽量で、扱いやすい手榴弾だと思います。

 

 

各種ダミー手榴弾と並べてみました。

 

 

米軍の「M67手榴弾」と比べても、コンパクトに出来ています。

 

 

従来の「67式木柄手榴弾」と比べると、弾頭部分とほぼ同サイズで、柄が無い事でかなり持ち運びやすくなっています。

手榴弾自体も、「67式」は弾殻が破裂しては破片効果を発揮するのに対し、「82式」では弾殻内部に大量の鉄球を内蔵した構造で威力が増しています。

一方で柄が付かないぶん投擲距離は短くなると思われ、特性に合わせて使い分けがなされていると推測されます。

 

 

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