労農赤軍のヘルメット ~ ソ連軍 SSh-40 ヘルメット (実物)

労農赤軍(ソビエト・ロシア軍)が第二次世界大戦で使用した「SSh-40」カースカ(ヘルメット)です。

ソビエト連邦時代の軍用ヘルメットは、大別して4種類ありました。

 

 

【ソ連軍のヘルメットの種類】

◎SSh-36・・・1936年頃採用。フランス軍アドリアン型ヘルメットを参考にしたと思われる形状で、顎紐はコットンウェッブ製。内装は1枚布を紐で絞って調整する巾着型。

◎SSh-39・・・1939年頃採用。外装がなめらかな曲面となり、近代的な印象になった。引き続き顎紐はコットン製で、内装は巾着型。

◎SSh-40・・・1940年頃採用。SSh-39の改良型で、外見は変わらず、クッションを縫い付けた3枚革で作った新型内装に変更された。ドイツ侵攻時にはSSh-36を含む新旧ヘルメットが混在した状況だった。

◎SSh-60・・・1960年ごろ採用。SSh-40型の改良版で、顎紐を4点支持の茶革製に変更された。程なく新型のSSh-68が登場するが、ソ連崩壊まで、より旧型のSSh-40も含めて、多数混在していた。

◎SSh-68・・・1968年頃採用。外観がより尖った印象になった。顎紐や内装は変わらず。装備更新の遅い後方部隊や、旧ソビエト連邦圏の東欧各国では今でも見かけることが多い。

 

 

現在のミリタリーサープラス市場では、流通在庫のタイミングや実物・レプリカの別はあれど、上記全種類のヘルメットがおおむね入手可能です。

 

 

「SSh-40」は第二次世界大戦時、独ソ戦直前に制式化されたヘルメットで、旧型の「SSh-36」を更新しつつ、「大祖国戦争(第二次世界大戦のロシアでの呼称)」で使用されました。

ソ連軍では装備が新型に更新された後も旧型装備を使い潰す為、1980年代頃までは普通に「PPSh-68」と混用されていました。

 

 

全体に丸っこい印象で、同時期のイタリア軍のヘルメットと似た印象を受けます。(映画「戦争のはらわた」では、イタリア軍のヘルメットでソ連軍装備を代用していました)

 

 

私の入手した物は実物未使用新品でしたので、表面塗装も綺麗に保存されています。

ロシアン・グリーンと形容される、わずかに艶のある緑色が魅力的です。

 

 

内装はハンモック式です。

三つあるパッドの裏側には硬めのクッション材が入っており、ヘルメット本体に頭が接触しないように作られています。

構造はソ連軍のヘルメットに共通の物で、後の「SSh-68」でもそのまま継承されています。

防寒帽の上から被れるように、内部は極力シンプルな構造になっています。

 

 

顎紐はカーキ色の綿製で、同じくカーキ塗装されたバックルを使い固定する、シンプルな構造です。

のちのヘルメットでは革製の顎紐が採用されますが、コレクター視点では保存する際にカビやひび割れの心配がない綿製の方が都合が良いです。

 

 

ヘルメットの内側にはサイズ表記がスタンプしてあります。

ヘルメットの規格が一目瞭然ですが、中古品の中には再塗装で消えてしまっている物もあります。

 

 

ヘルメットのサイズは、内部の紐の締め具合で調整します。

毛皮の防寒帽の上から被る場合を考慮して、緩めに作られていますが、意外にも頭へのフィット感はかなり良好で、各国軍の実物ヘルメットと比べても、長時間被っていて負担にならない良い出来だと思います。

 

 

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